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2021年前半のスター銘柄は今も高値圏をキープ

 2021年も半分が終了しました。まずは今年前半、東証1部銘柄の中で時価総額と流動性に富む500銘柄(TOPIX500)の中で上昇率上位の銘柄を振り返ります。

【TOPIX500構成銘柄2021年前半上昇率ベスト10(2020年12月30日終値~2021年6月30日終値)】

  1. 日本郵船(9101・海運)134.4%
  2. リコー(7752・精密)84.2%
  3. ニコン(7731・精密)82.0%
  4. レーザーテック(6920・電機)78.3%
  5. 住友ゴム工業(5110・ゴム製品)72.8%
  6. 商船三井(9104・海運)69.5%
  7. 東芝(6502・電機)66.6%
  8. 西松建設(1820・建設)63.7%
  9. 荏原(6361・機械)62.3%
  10. 日立製作所(6501・電機)56.5%

 上記に続いて、コニカミノルタ(4902・電機)横浜ゴム(5101・ゴム製品)アイシン(7259・輸送用機器)JCRファーマ(4552・医薬品)大日本住友製薬(4506・医薬品)富士フイルムホールディングス(4901・化学)ウシオ電機(6925・電機)マツダ(7261・輸送用機器)などが続きます。

 ベスト10にランクインした銘柄は(アクティビスト[=モノ言う株主]の買い増しがきっかけとなった西松建設を除き)、海運、精密、電機、ゴム製品、機械のセクターに位置する銘柄で、ベスト10以下でも似たような傾向が見られています。

 医薬品セクターはコロナに絡む銘柄が上昇しています。このことから、東京株式市場も欧米株式市場と同様に、昨年11月にファイザー社がコロナワクチンを完成したことから始まった世界的な「景気回復期待」を背景として、個別銘柄への物色が進んだことが再確認できます。

 特筆すべきことは、これら銘柄の株価は今もほぼすべてが高値圏をキープしていることです。つまり、株式市場を取り巻く大きな流れには今も変化がないと理解することができます。

 また、数十年ぶりに高値を更新する銘柄も散見されることから、買われる銘柄に向くパワーも数十年ぶりの強さと考えることができるかもしれません。

年後半は消費関連株の動きが活発化する公算大

 年後半は、やはり経済活動再開期待=消費回復期待の影響を受ける銘柄に注目することとなりそうです。

 内需の消費関連株が浮上してくる想定で、原動力はもちろんワクチン接種進展です。もはやコロナワクチンの予防効果には疑いがなく、接種開始に出遅れた日本も欧米の初期を上回るペースで接種が進んでいます。

 また、当初想定されていなかった「職域接種」の貢献も大きく、役職員だけでなくその家族や、子会社・取引先までが範囲とされ、年齢の区別なく希望者を募っています。高齢者から若年層へという流れだけでなく、全世代同時進行で接種が進んでいます。

 盛夏には接種率30%、秋には同50%が見込まれますが、(欧米の例では)50%を超えると、活動が一段と活発化し、消費回復の勢いが増してくるとされています。

 政府は11月末までに希望者全員への接種を掲げていますが、ワクチン接種の後期段階では接種ペースが鈍化し、接種率80%ラインを達成するにはインセンティブがないと難しいことも定説となりつつあります。

 それでも消費は回復していき、株式市場では先駆けて動きが見られると思われます。

 NTTドコモの携帯電話の位置情報データでは、6月最後の土日(6月26~27日)の東京・銀座の午後3時台の人出は、60~70代が5月最終週の土日(5月29~30日)と比べ39%増加したことが示されています。この伸び率は他のいずれの年代(10~50代)と比べても高く、特に70代は45%増と大きく伸びたとのことです。

 先行してワクチン接種を完了した高齢者がけん引する格好で、消費が回復していくことになりそうです。

 消費関連銘柄でも、ファストフード・郊外店・ファストファッションはコロナ禍によるダメージが比較的小さく、EC・ドラッグストアは追い風を受けた業態です。それらを除いた、これまであまり注目されなかった銘柄の中から、年後半の大出直り銘柄が出てくるかもしれません。

 この観点から注目される銘柄をピックアップし「モデルポートフォリオ」の対象としてみます。単一銘柄選択よりも広範囲な選択によるメリットが享受できる可能性がある時ではないでしょうか。

2021年後半、大出直り銘柄になる可能性ありの消費関連10銘柄

コード 銘柄名 株価(円)
8136 サンリオ 2,037
4680 ラウンドワン 1,441
7616 コロワイド 2,083
7458 第一興商 4,420
2371 カカクコム 3,385
9024 西武ホールディングス 1,333
3612 ワールド 1,478
8233 高島屋 1,250
9843 ニトリホールディングス 19,915
2222 寿スピリッツ 7,540
※株価データは2021年7月7日終値ベース

サンリオ (8136・東証1部)

「ハローキティ」「マイメロディ」 などキャラクター商品の企画・販売が主力の企業です。テーマパーク「サンリオピューロランド」「ハーモニーランド」の運営も手掛けています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ラウンドワン(4680・東証1部)

 ボウリングを中心に、カラオケ、ゲーム、時間制スポーツなど複合エンタメ施設を展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コロワイド(7616・東証1部)

 居酒屋を主力とする外食チェーンです。上場している外食企業の中で、売上高は第6位になります。焼肉「牛角」、回転ずし「かっぱ寿司」、定食「大戸屋ごはん処」の運営会社も傘下に擁しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

第一興商(7458・東証1部)

 業務用通信カラオケ「DAM」で業界首位、シェア6割超。直営カラオケ店「ビッグエコー」や飲食店を広く手掛けています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

カカクコム(2371・東証1部)

 グルメサイト「食べログ」と、国内最大価格比較サイト「価格.com」の運営が主力です。「食べログ」を通じた外食店予約が再び大きく動き出す可能性があります。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

西武ホールディングス(9024・東証1部)

 東京北西部、埼玉西部地盤の「西武鉄道」と、国内最大級のホテルチェーン「プリンスホテル」を中核に、レジャー、不動産、建設なども展開しています。大苦戦のホテルの持ち直しが期待されます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ワールド(3612・東証1部)

 婦人、紳士、子供服が主力の老舗総合アパレル企業です。コロナ禍で不採算店舗の撤退を加速させ、事業スリム化を達成しています。消費活動再開によって大きく持ち直す可能性もあります。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

高島屋(8233・東証1部)

 百貨店業界3位の老舗百貨店です。日本橋(東京)、横浜(神奈川)、難波(大阪)が三大基幹店です。訪日客需要剥落は痛いものの、徐々に国内富裕層需要が回復しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ニトリホールディングス(9843・東証1部)

 全国トップの家具・インテリア製造小売り企業です。自社開発商品が大半で、 海外輸入比率は9割を超えます。子会社にホームセンター「島忠」を擁しています。東京市場の代表的なグロース株のひとつです。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

寿スピリッツ(2222・東証1部)

 和・洋菓子の大手企業です。土産やギフト用の「地域限定菓子」製販会社を多数束ねています。国内旅行の回復が追い風になるとみられます。食品セクターの主要銘柄のひとつです。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)