今週の予想

今週も様子見続く

 先週末の6月米雇用統計の結果を受けて、主要3指標は大きく上昇するも、シカゴの日経先物が伸びていません。そのため、引き続き新型コロナウイルス感染者が東京で拡大していることを嫌気し、今週の日経平均も、上値は重く下値を探る展開が想定されます。

 新型コロナ感染者の増加により五輪への警戒感が根強く、外国人投資家が日本株から資金を引き上げる動きにつながっているとの見方もあります。

 さらに、これまで半導体関連株が買われて日経平均の指数を引き上げていましたが、先週は日経平均の下落率(前週比▲1.0%)となりました。半導体関連株の代表である東京エレクトロンでは▲4.2%、アドバンテストで▲4.4%と値下がりしており、調整懸念が出ています。

 また、今週は日経平均やTOPIX(東証株価指数)などの指数連動型ETF(上場投資信託)の決算日に絡む分配金の捻出売りも想定されており、上値は重くなるといえます。

 日本株式の上昇は、7月下旬から本格化する日本企業の決算内容次第となりますので、もうしばらく我慢が必要と思われます。好業績銘柄の大きく下がったところを少しずつ買い下げていくことになります。

今週の指標:日経平均株価

 現状の日米の動きを見る限り、米国株の上昇に日経平均は連動していません。やはり新型コロナの感染拡大が東京で止まらないため、経済正常化が遅れるとの見方が相場を押し下げているといえます。

 特に今週は、日経平均やTOPIXなどの指数連動型ETFの決算に絡む分配金の捻出売りが想定され、上値が重い状況が続いています。

 さらに米国では、7月4日の独立記念日(5日まで3連休)を境にバカンス休暇の準備に入るとされており、外国人投資家がポジション調整に動く可能性もあります。2万8,000~2万9,000円のレンジの中で2万8,500円を中心に下値を探る展開が想定されます。

先週の動き

 先週の予測では、日本市場は新型コロナの感染者の拡大が懸念され上値は重く、2万9,000円水準でのもみ合いとなりそうだとしました。

 結果的には、米国株式の上昇にもかかわらず、懸念は東京の新型コロナ感染者の再拡大へ目が向き、週始めの2万9,121円(終値では2万9,048円)をピークに、7月1日(木)に2万8,624円の安値をつけて、4日連続安となりました。週末こそ米株高、円安もあり反発しましたが、+76円の2万8,783円で終りました。

 引け後の米国市場では、6月雇用統計は強い結果となって米国株式は大きく上昇しましたが、シカゴの日経先物は+15円の2万8,775円となっており、今週の日経平均の弱さを暗示しています。

今週の指標:NYダウ平均株価

 先週末の6月雇用統計は、予想を上回る強い結果となったものの、失業率や賃金の伸びは予想を下回ったことで、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策で早期の金融緩和縮小は後退し、長期金利が低下したことで、株価は主要3指標そろって上昇となりました。

 NYダウも6月7日の3万4,820ドルを終値で超えてくると、史上最高値に再挑戦することになります。

今週の指標:ドル/円

 1ドル=111円台後半から112円近辺までに利益確定売りを狙ったドル売り圧力があります。しかし、ドル/円は111円近辺で底堅い動きが想定され、7月7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録で量的緩和策の早期縮小について肯定的な見方が多く見られる場合は、リスク回避のドル売り・円買いが後退し、ドルが買われて112円台水準が意識されます。

先週の動き

 6月29日発表の6月CB消費者信頼感指数や30日発表の6月ADP雇用統計が市場予想を上回る伸びを受け、リスク選好的なドル買い・円売りとなりました。

 さらに7月1日のフィラデルフィア連銀総裁が「今年の終わりにテーパリング開始を支持する」と述べたことで、1ドル=111.60円まで買われる場面もありましたが、2日は6月米雇用統計の結果が、雇用者数は伸びたものの、失業率は増加したことでインフレ加速懸念は後退し、1ドル=111.04円で引けました。

先週の結果

米国株が堅調にもかかわらず、新型コロナの感染再拡大で4日連続安

 先週の予測では、2万8,500~2万9,500円のボックス圏の中で、2万9,000円を中心としたもみ合いを想定するものの、2万9,000円台では上値は重くなるとしました。

 コロナワクチン接種が進展しているものの、それ以上に新型コロナ変異株による感染拡大、特に東京の感染者が増加しているため、経済停滞の懸念も高まり、外国人投資家の買い手が引いていることが挙げられます。

 週後半には6月米雇用統計が控え、様子見ムードにつながりました。

 日経平均は、6月21日に2万7,795円まで急落したものの、23日には2万9,007円まで上昇し、週の終値では2万9,066円となって急落前の水準を取り戻しているものの、日足チャートは、いったん三角保ち合いをつくって下放れしているため、再上昇を確認するには75日移動平均線や15日の2万9,480円を上に抜く必要があるとしました。

 結果的に先週の動きは、週始めこそ2万9,121円まで上昇して、先週末の終値2万9,066円をスタートに米株式の堅調さや円安基調にもかかわらず4日連続安となり、週末のみ+76円の2万8,783円と反発して引けました。

 先週は、買い手控えムードの中、想定したように新型コロナのインド型である「デルタ株」の感染拡大が嫌気され、米株式が堅調だったにもかかわらず下値を探る展開を余儀なくされ、7月1日(木)には、2万8,624円まで下落しました。2万8,500~2万9,500円のボックス圏の中で下限を探る展開となりました。

 ただ、週末の2日(金)は、値ごろ感から押し目買い優勢となり、5日ぶりに反発に転じ、+76円の2万8,783円でした。同日夜に発表が予定されている6月米雇用統計の結果を見極めたいということから積極的な買いは見送られました。

 2日(金)の日本市場の引け後の米国市場では、6月雇用統計で非農業部門雇用者数は予想を上回りましたが、失業率はやや悪化し、賃金の伸び率も予想を下回り、10年債利回りは低下し、ドル/円の前日の111.50円から111.04円に下落しました。

 その結果、FRBの金融政策の見通しに大きな変化がなかったことで、株式市場は主要3指標そろって大幅上昇し、S&P500種株価指数は7日連続の最高値更新、ナスダック総合株価指数も3日ぶりに最高値更新となりました。

 しかし、シカゴの日経先物はわずか+15円の2万8,775円と伸びていませんでした。