株式市場で起こった最新ニュースをわかりやすくお伝えする連載「トレンドマーケットスクールTOKYO」がスタートしました。経済の勉強にもなり、ビジネスにも資産形成にも役立つ投資のことを一緒に学びましょう!

 今週7月5日(月)から9日(金)は、2021年の後半がスタートする新たな1週間になります。

日銀短観による国内株の反応は薄い?米国株は依然好調!

 先週7月1日(木)、日本銀行が景気の現状や先行きを企業に聞き取り調査した「日銀短観」が発表されました。

 大企業・製造業の業況判断指数は前回3月に続き大幅改善し、2018年12月以来の高水準になりました。一方、非製造業は今回調査で1年3カ月ぶりにプラス転換。特に、コロナ禍で大打撃を受けている宿泊・飲食サービス、遊園地や劇場など対個人サービスの3カ月先の景気見通しが大幅に改善しました。

 一言でまとめると、「製造業は好調が続き、非製造業も明るい」といったところでしょう。

 しかし、株価は反応薄で、先週の日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は伸び悩みました。絶好調だった米国株にあまり連動しない展開になっているのが気がかりです。

 製造業に関しては1ドル111円台まで進んだ円安が追い風ですが、好調だった2021年前半からの失速懸念もあり、日本株停滞の一因になったようです。

 一方、ワクチン接種の拡大もあり、外食企業の株価は、サイゼリヤ(7581) 、「丸亀製麺」のトリドールホールディングス(3397)が今年に入って一番の高値(「年初来高値」といいます)を更新したほか、巨額赤字で破綻懸念のある居酒屋・外食企業の株価も大幅に値上がりしています。

 海外では、2日(金)に6月の米国雇用統計が発表され、非農業部門の新規雇用者数が予想を上回る85万人増となりました。しかし、失業率は5.9%と前月比0.1%悪化しました。

「雇用回復は順調だが、まだ時間がかかる。よって利上げも先」という思惑から、NYダウ平均、S&P500、ナスダック指数がそろって史上最高値を更新しました。中でも、S&P500は7日間連続の史上最高値更新です。

「つみたてNISA」を始めている投資家の間では、このS&P500に連動するインデックスファンドが大人気になっていますが、今年に入って含み益がどんどん拡大し、にっこり! といったところではないでしょうか。

今週は小売・外食企業の決算相次ぐ。円安は輸出株に追い風

 4日(日)に行われた東京都議会選挙では、事前の自由民主党勝利という予想とは異なり、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が健闘しました。

 コロナ禍にもかかわらず7月23日(金)から始まる予定の東京五輪を推し進め、今秋に衆議院選挙を控える菅義偉首相にとっては、不安の残る結果になりました。

 現政権が不安定で、政治が不透明な状況は、株式市場にとってはネガティブです。

 今週は流通・小売・外食企業に多い2022年2月期第1四半期(2021年3~5月)の決算発表が相次ぎます。

 主だったところでは、7日(水)のイオン(8267) 、8日(木)のセブン&アイ・ホールディングス(3382) ローソン(2651) 、9日(金)のビックカメラ(3048)吉野家ホールディングス(9861) などです。

 小売りセクターの2大巨頭といえるイオンリテールとセブン-イレブン・ジャパンの3~5月の店舗売上高は前年より若干伸びていますが、前年同期が初の緊急事態宣言発令中だったことを考えると、伸び率が低いままです。

 決算の内容や発表で、翌日の株価がどのように動くかに注目しましょう!

 また、8日(木)には日本の5月の国際収支、経常収支が発表されます。経常収支は日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示すもので、黒字額が大きいと日本の輸出企業の株にも好影響といえます。

 年初には1ドル103円台だった米国ドルは111円台に到達。約8円も円安ドル高に振れていることもあり、今後も日本株を引っ張るのは円安で国際競争力の高まる自動車や半導体関連など輸出株になりそうです。

 いまだ東京は梅雨真っただ中ですが、株式市場がいち早く梅雨明け宣言をして、好調な米国株に連動するような上昇を始めることに期待したい1週間です。