2021年前半の運用成績はいかがでしたか?

 早いもので、2021年も半年が経過しました。2021年前半の運用成績はいかがだったでしょうか?

 もしご自身の2021年前半の運用成績が、例えばプラス10%だった場合、プラスマイナスゼロだった場合、マイナス10%だった場合は、どのように自己評価すればよいのでしょうか?

 単に損益率だけ見れば、当然プラス10%が最も優れていて、マイナス10%が最も劣っているわけですが、実はそれだけだと自身の運用成績を正確には評価できない可能性があるのです。

日経平均株価と自分の投資成績を比べてみる

 筆者は、自身の運用成績を評価するとき、単に損益率を見るのではなく、あるものと比較することにしています。

 最もメジャーな比較方法は、株価指数と比較することです。

 2021年前半であれば、2020年末~2021年6月末までの日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、マザーズ指数といった株価指数の上昇率と、自身の運用成績とを比較すればよいのです。

 例えば日経平均株価なら、2020年末の2万7,444円17銭から、2021年6月25日には2万9,066円18銭まで上昇していて、上昇率は5.9%です。ご自身の運用成績がこれを上回っていれば、大いなる成功といえるでしょう。

 中小型成長株が投資対象の中心という方は、日経平均株価だとあまり中小型成長株の動きと連動しないので、マザーズ指数とご自身の運用成績を比べる方がよいと思います。

 もし、自身の運用成績がプラス10%だとしても、日経平均株価が30%上昇しているなら成功しているとは言い難いという判断になります。

 逆に、自身の運用成績がマイナス10%でも、同じ期間の日経平均株価が20%下落しているなら、十分立派な成績を上げることができている、というわけです。

ぜひ比べておきたい「信用評価損益率」と自身の投資成績

 ただ、近年は、特に日経平均株価と個別銘柄との値動きが大きく異なることが多く、「日経平均株価が大きく上昇しているのに自分の持ち株はサッパリ…」という状況が往々にして起こります。

 そこで、ぜひチェックしておきたいのが「信用評価損益率」です。

 信用評価損益率とは、個人投資家が信用取引で買っている株につき、含み損益がどのくらいあるのかを示したもので、毎週その数値が発表されます。

 筆者は、この信用評価損益率の推移が、個人投資家の平均的な運用成績におおむね近いものと考えています。

 2020年末から2021年6月までの信用評価損益率の数値の変化を見て、これと自身の運用成績と比べれば、他の個人投資家と自分との比較ができるようになるのです。

 2020年12月30日時点での信用評価損益率はマイナス12.40%でした。これが、2021年6月18日時点ではマイナス8.76%となっています。

 つまり、2021年の約半年間で、「マイナス12.40%-マイナス8.76%=プラス3.64%」が個人投資家の平均的な損益であると推測できます。これと自身の損益率とを比較すればよいのです。

株価指数や信用評価損益率とあまりにも投資成績がかけ離れている場合は?

 もし、日経平均株価などの株価指数や、信用評価損益率と比べて、多少成績が劣っている程度であれば特段問題ありません。例えば2021年前半の運用成績がマイナス5%くらいであれば、十分許容範囲といえます。

 日経平均株価と個別銘柄の値動きはかなり異なりますし、信用評価損益率にしても、信用取引を用いる個人投資家たちが好む銘柄と異なる銘柄に投資していれば、投資成果は多少異なって当然だからです。

 でも、株価指数や信用評価損益率と比べ、明らかに成績がよくない場合はさすがに注意が必要です。

 例えば、日経平均株価が2021年前半で5.9%上昇し、信用評価損益率も2021年前半で3.64ポイント改善しているにもかかわらず、自身の運用成績は半年でマイナス30%に達している…といったケースです。

 ここまで大きな差が生じているとなると、根本的に株式投資のやり方が間違っている可能性が高くなります。

 それは、損切りのタイミングが遅いとか、株価が高いところでいつも買ってしまっているとか、1銘柄に集中投資した結果その株が大きく下がってしまった…というようにです。

 やはり、大きな損失というのはできる限り避けなければなりません。

 個人投資家の平均的な運用成績にすら大きく劣るような場合は、しっかりとその原因を追及して、軌道修正すべきところは速やかに修正し、今後は大きな損失を出さないように気を付けてください。