株式市場で先週起こった動きを復習し、今週の動きを予習する週刊トピックス。6月28日(月)から7月2日(金)までの今週は、ちょうど2021年の前半が終わり後半に向かう大切な1週間です。

FRBの早期利上げ観測による市場の動揺はいったん収束

 先週21日(月)の日経平均株価は、米国中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)が示唆した早期利上げという金融政策変更の余波を受け、前週末比953円の大幅安で始まりました。

 しかし、同日夜の米国株が持ち直したことで、翌22日(火)には873円もリバウンド上昇。その後も底堅く推移し、米国の代表的株価指数S&P500は史上最高値を更新して終わりました。

 25日(金)には、米国の個人支出を算出する際に使う「PCEデフレーター」という物価指標が発表され、価格変動の激しい食品、エネルギーを除いた5月の「コアデフレーター」は前年同月比3.4%増と、物価上昇がさらに加速しました。

 しかし、予想通りの上昇率ということもあってか、「利上げはまだ先の話」という楽観的な雰囲気が市場を支配しました。

 米国株をはじめ世界の株価は昨年3月のコロナショック以降、ほぼ一貫してずっと上昇してきたため、ちょっとした「気迷い」で急落することもあり得ることが、先週の「株価急落、すぐにリバウンド上昇」の教訓かもしれません。

 前日の24日(木)にはバイデン米国大統領が共和党を含む議会上院の超党派と1.2兆ドル(約130兆円)のインフラ投資で合意したと発表。

 老朽化した道路、橋の修復や電気自動車向け充電設備やブロードバンド通信網の整備に5,790億ドル(約64兆円)を新規に支出するという合意内容も、株価の持ち直しに貢献しました。

 株式市場ではこうした国策や新産業の創設、新技術の普及といったテーマや材料で人気になる株も多く、「国策に売りなし」ともいわれます。今後、日本でもクリーンエネルギーや5G通信網に関連した株が注目を集めそうです。

好調な日本の製造業の行方は!?今週発表の日銀短観に注目

 今週木曜日からは2021年も後半戦の7月に入ります。米国では7月4日(日)の独立記念日から9月第1月曜日のレイバー・デー(労働者の日)までの期間は、株価が上昇しやすい「サマーラリー」のシーズンといわれています。

 そんな中、日本国内では、7月1日(木)に発表される「日銀短観」に注目が集まりそうです。

「全国企業短期経済観測調査」が正式名称の短観は、日本の中央銀行である日本銀行が全国およそ9,500社の景況感を調査した、日本では最重要の経済指標です。

 最近や先行きの景気を「良い」「さほど良くない」「悪い」の中から回答してもらい、「良い」から「悪い」を引いた数を「DI」という指数にして年4回、発表しています。

 3月の業況判断DIでは、大企業の製造業で前回比+15ポイントの大幅改善、大企業の非製造業で+4ポイントの持ち直しと、3期連続で好転しました。

 海外の景気回復を受けて業績回復が続く製造業の景況感が今回、どれぐらい加速するか、コロナ禍でいまだにマイナス圏にある非製造業の景況感がどの程度、改善するかに関心が集まりそうです。

 好調な製造業の業況判断DIもあって、今年の株式市場では、自動車、鉄鋼、化学といった日本を代表する輸出企業の株価が堅調に推移しています。

 海外との貿易で潤う海運株は特に絶好調で、その代表的企業である日本郵船(9101)は2021年に入って株価が2倍近くまで上昇している程です。

 日経平均株価は2万9,000円前後、東証株価指数TOPIXは1,900ポイント台で一進一退を続けていますが、個別企業の株に目を向けると、景気動向次第で株価倍増も夢ではないのが株式投資の魅力といえるでしょう。

 7月2日(金)には、世界中で最も注目度の高い経済指標といわれる「米国雇用統計」の発表も控えています。

 6月の失業率や非農業部門の新規雇用者数などが明らかになりますが、あまりに良い数字が出るとFRBの早期利上げ観測が強まり、株式市場が乱高下する、という「不思議な動き」になる可能性もあるので注意しましょう。