前回はNISA(少額投資非課税制度)の口座で対応する商品やサービスについて触れました。NISAを活用する場合、「○円で購入する」という風に金額で指定できて、100万円の枠を有効に活用しやすいのは国内の株式投資信託です(一部株式を金額指定で購入できる会社もあります)。今回は金融機関に取り扱う国内の株式投資信託についてもう少し詳しくみていきたいと思います。

 2013年7月10日現在、大半の証券会社では、自社で取り扱う、つまりこれまで特定口座などで購入できた株式投信のほぼすべてをNISA口座でも取り扱うと公表しています。ただし、いくつか確認しておきたいこともあります。

 

(1)分配金を再投資できる投信を選べる?

 1つ目は「分配金を再投資できるコース」を選択できるかどうかです。決算のときに分配金がでた場合、私たちが分配金を受ける方法には次の2つがあります。

 投資信託の中にはこのコースのいずれかを選択できるもの、どちらか一方しか選べないものがあります。金融機関によっては、NISA口座で取り扱うのは「分配金受取コースのみ」という会社もあります。その場合、分配金を再投資するコースは選べませんから、分配金を再投資することはできず、分配金を受取るしかありません。事前にしっかり確認しておく必要がありますね。

 

(2)分配金はどの口座で再投資する?

 投信の分配金を再投資するコースを選べる場合でも、分配金がどの口座で再投資されるのかは金融機関によって異なります。

 たとえば、「NISA口座で100万円の枠に達するまでは再投資され、超過したら課税口座(特定口座など)で買い付ける」という金融機関もあれば、分配金の再投資はNISA口座ではなく、課税口座(特定・一般口座)になるという会社もあります。こちらも確認しておきたいポイントです。

(3)投信の分配金を再投資する場合も新規購入としてカウントされる

 また、NISA口座内で分配金を再投資できる金融機関でも、知っておきたいのが「分配金の再投資も新規の買い付けとみなされる」ことです。

 たとえば、70万円で株式投資信託を購入し、分配金2万円が再投資されたとします。その場合、2万円は新たな購入「枠」を使ったとみなされるので、使える枠が残っていなくてはなりません。たとえば、100万円の枠を使ってめいっぱい投資信託を購入し、その投資信託が分配金を出したようなケースでは、NISA口座内で分配金を再投資することができなくなってしまいます。

 使える枠がない(途中で100万円の枠を使い切ってしまった)場合には、原則、分配金は一般口座・特定口座で再投資されることになります。

 こうしたことは、課税口座(特定口座など)で投信を購入する場合には、それほど気にしなくてもすんだことかもしれません。しかし、NISA口座を使って、分配金を再投資して資産を積み上げたいというかたは、金融機関ごとに取り扱う投信の違いや、分配金を再投資するときの口座などを、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。

 もっとも、資産形成を目的とする現役世代は、そもそも1年決算か半年決算で、極力分配金を出さない投信を選ぶのが大前提です。長期に投資を考えた場合、同じ投資信託でも、分配回数の少ない投資信託の方が、投資効果が高まります。