1.「動画」が引き起こすスマートフォンの中身の変化

スマートフォンの中身に大きな変化が起きています。

2015年12月からiPhoneが減産し、それが日本の電子部品メーカーの業績に大きなダメージを与えました。そのため、スマートフォン市場は「成熟化」した、即ち数量的に大きな伸びはもはや期待できないと言われるようになりました。

ところが、スマホの「中身」とそれを取り巻く環境に大きな変化が起きていることがわかってきました。

スマートフォンで動画を扱う人が急増しています。動画を撮ってSNSにアップする人やビデオを見る人、ストリーミングだけでなくダウンロードして見る人が増えているのです。その結果、スマホのストレージメモリが大容量化しています。数年前までは32~64GBで十分だったストレージメモリに128GB、256GBといった大容量メモリを選択し、かつ、有料のクラウドサービスを使う人が増えています。スマホ内に保存し切れなくなると、クラウドサービス上に保存するのです。スマホのストレージメモリやメモリカードにはNAND型フラッシュメモリが使われています。

また企業部門では、多くの企業でビッグデータブームが起こっています。企業活動で収集できるデータをできるだけ集めて今後の事業活動に役立てようという動きです。必ずしも体系的なデータでなくでも良く、乱雑なデータでも大量に集めれば統計処理によって使えるようになるというのが、今のビッグデータの世界です。このデータの中には、文字、数、音声、画像、映像(動画)が含まれます。

IoTブームも企業部門のデータ増大に拍車をかけることになりそうです。上述のように、個人のスマホの中のデータもクラウドに蓄積されていきます。グラフ1はスマホ、パソコンを含めた広義のIoT(インターネットに繋がれた機器の全て)の個数の推移を示したものです。膨大な数の機器がインターネットに繋がれて、そこからのデータが日々データセンターに蓄積されていくのです。

このようなビッグデータブームの中でクラウドサービスが成長しています。代表的なクラウドサービスのAWS(アマゾン・ウェブ・サービス、アマゾン・ドット・コムの1部門)の業績をグラフ2に示しましたが、急成長しています。この成長に合わせてデータセンター需要も増加していますが、このデータセンターの中に、数年前から少しづつSSD(ソリッドステートドライブ、NAND型フラッシュメモリを組み合わせた記録媒体)が入り始め、昨年から大きな動きになってきました。HDD(ハードディスクドライブ)からSSDへの置き換えが始まっていますが、これは、クラウドやデータセンター業者が、差別化のためにデータの高速処理を実現したいからです。

このように、個人部門で起きているスマホでの動画の増加、企業部門でのHDDからSSDへの置き換えによって、NAND型フラッシュメモリの需要が伸びているのです。

NAND型フラッシュメモリのこの重要な動きが、上場廃止リスクがあるにもかかわらず、株式市場で東芝が注目される理由と思われます。東芝は世界第2位のNAND型フラッシュメモリメーカーだからです。

グラフ1 世界のIoTデバイス数の推移及び予測

(単位:百万個、出所:平成28年版情報通信白書、元出所はIHSテクノロジー、注:通信はスマートフォン、WiFIインフラ、基地局など、コンシューマは家電、パソコン周辺機器、フィットネス用機器など、産業用途はオートメーション、照明、エネルギー関連、セキュリティなど)

グラフ2 AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の業績

(単位:百万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成)

グラフ3 NAND型フラッシュメモリの市況

(単位:ドル、多値品、出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成)

表1 NAND型フラッシュメモリの市場シェア

2.大容量の動画のやりとりが電子部品需要に影響する

個人と企業が大量の動画を通信回線を使ってやり取りするようになると、通信網を強化する必要があります。スマートフォンの通信回路も強化する必要もあります。また、5G(第5世代移動体通信)へ向けた動きが少しずつ出ています。今の4Gの実効速度、毎秒10メガビットに対して5Gは毎秒100メガビット、最高速度は同じく1ギガビットから20ギガビットに拡大します。中国では2017年後半から基地局等のインフラ整備が始まり、2018年になると端末で5G対応が出てくると言われています。韓国でも2018年の平昌(ピョンチャン)オリンピックにおいて試験的な5Gインフラを整備する計画です。日本ではNTTドコモが2020年めどに5Gサービスを導入する模様です。

スマホでドラマや映画を見る人が多くなると、画面は大型のほうが見やすいので大型のスマホの需要が多くなります。そのため、ディスプレイも大判の液晶や、電力消費量の少ない有機ELディスプレイが搭載されるようになり始めています。

カメラも重要です。高性能イメージセンサーと手振れ補正用アクチュエータを標準搭載したスマホが多くなりそうです。

また、大容量高速通信が多用されるようになると、電力消費量が大きくなります。そのため、電池もより大容量のものが要求されるようになると思われます。また、電力消費を少なくするために有機ELディスプレイのニーズが増えるという面もあると思われます。

3.アップルはiPhone8に強気?中国勢は高級スマホに注力

スマートフォンの市場を数量面で見ると、過去のような高い伸びは無理としても、安定成長が実現出来る状況になってきました。例えば、2016年10-12月期のiPhone販売台数は、前年比4.7%増の7829万台となり、2016年1-3月期から3四半期続いた前年割れに歯止めがかかりました。2016年9月発売のiPhone7シリーズの中で大型の7Plusの需要が多いためと思われます。

スマホ市場では、中国スマホの高級化が目立っており、これが日本の大手電子部品メーカーの業績にポジティブに影響しています。特に、ファーウェイ、オッポなどの大手メーカーがハイスペックのスマートフォンを販売しています。表2は2016年10-12月期のスマートフォンの世界出荷を見たものですが、中国スマホ大手の伸びの大きさが目立ちます。中高級スマホの分野で中国スマホの存在感が大きくなっているのです。iPhoneほど高級部品を大量に使っているわけではありませんが、電子部品メーカーにとっても大きな変化です。

日系電子部品メーカーの多くは、1年前からiPhone減産を補うために中国スマホ向けに拡販しています。電子部品メーカーは各社とも顧客名をコメントしませんが、これが業績に寄与しており、iPhone向けの比重が以前ほど大きくなくなっている模様です。上述のようなスマホで動画を扱う動きは世界的な流れですが、この結果、低級スマホから中級スマホへ、中級スマホから高級スマホへの需要シフトが、少しずつ起きていると思われます。

もっとも、iPhoneは依然として重要です。今年秋(9月?)に発売されると言われている新型iPhoneについて、巷間言われているのは、現在のiPhone7シリーズの上位機種としてiPhone7sシリーズ(画面サイズ4.7インチの「7s」と5.5インチの「7sPlus」、液晶ディスプレイ搭載)の2機種が発売されます。また、これに加え、全く新しい5.8インチの「iPhone8」(有機ELディスプレイ搭載)が発売されると言われています。そして、アップルが最も力を入れているのがこの有機EL搭載のiPhone8と言われています。

iPhone8はデザインが大幅に刷新される模様です。例えば、全面フルディスプレイとなり、ホームボタンはなくなると言われています。大容量バッテリーを搭載し、かつ、電力消費が少ない有機EL搭載なのでバッテリーの持ちが大きく改善する模様です。

また、フロントカメラ(画面側のカメラ、インカメラ)に3D画像認識機能が搭載されるとも言われています。これによって、顔認証、虹彩認証(瞳の模様を認証する)だけでなく、自分の顔をAR、VRの画像上に登場させることが出来るようになるのではないかと言われています。

このように、iPhone8には様々な先端技術が詰め込まれると思われるため、それらを制御するために各種の高級部品がより多く使われると思われます。ヒットした時には、日本の大手電子部品メーカーへの影響も大きくなると思われます。

グラフ4 iPhone販売台数

(単位:万台、出所:アップル社資料より楽天証券作成)

グラフ5 スマートフォンの価格帯別世界出荷台数

(単位:100万台、出所:ソニーIRDAY2016を参考に楽天証券作成、注:ソニーIRDAY2016の資料では、スマートフォンの価格帯について、メーカー出荷価格ベースで低価格帯100ドル以下、中価格帯100~250ドル、高価格帯250ドル以上となっているが、価格帯別の販売価格を楽天証券で推定し言い換えた)

表2 スマートフォンメーカー上位5社の出荷数量と市場シェア

4.東芝メモリ事業の今後に注目したい

今のスマホの中身の変化、大容量ストレージの増加=フラッシュメモリーの需要増加という構図でまず注目されるのは東芝です。ただし先週同様、現時点では東芝に対する投資判断を行わず、状況分析のみを行います。これは私の考え方ですが、投資判断を行う大前提は、第1に上場が維持されることです。第2に真正の財務諸表があり、その会社の中身(売上高と利益だけでなく、債権債務の状態)が明らかになっていることです。この条件のいずれも今の東芝は満たしていません。

この2つの条件が満たされる時期を考えると、3月14日、15日が重要になります。東芝は、内部管理に大きな問題がある会社であるとみなされたため、2015年9月15日から東京証券取引所、名古屋証券取引所の特設注意市場銘柄に指定されています。期間は1年間でしたが、1年後の2016年9月15日に東証、名証に対して内部管理体制確認書を提出し、特設注意市場銘柄の指定が解除されるように審査を受けていましたが、12月19日に不合格通知が出て、同指定が6カ月間延長されることとなりました。

次は今年3月15日以後速やかに東証、名証に内部管理体制確認書を再度提出することになりますが、これに合格しない場合上場廃止となります。審査にどの程度の期間がかかるのか不明です(前回は提出してから不合格通知が出るまで約3カ月かかりました)。東芝の株価を見るときには、この上場廃止リスクに留意する必要があります。

2番目の条件である真正な財務諸表については、2017年3月期3Q(2016年10-12月期)決算の提出期日が3月14日です。それまでに東芝の3Q決算が確認できると思われます。ここで、2月14日の説明会において説明のあった原子力部門の損失見積もり(損失増加要因)61億ドル以外に損失見込みがないのかどうか、そして半導体メモリ事業の業績が確認できると思われます。この両方、即ち東芝の真の損失見積もりがいくらなのか、半導体メモリ事業の利益はどの程度出ているのかが確認できることで、債務超過を解消し、当面の資金繰りに備えるため、あるいはその先の成長に備えるために資金がいくら必要なのかが導き出されてきます。この点では、2月24日に報じられた東芝の原発子会社ウェスチングハウスが連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当する)の申請を検討しているというニュースも変動要因になります。現時点ではあくまでも可能性の話ですが、仮に連邦破産法11条(チャプターイレブン)の申請が成れば、原子力事業の損失を確定させることが出来る可能性が出てきます。

なお、2月14日の説明会では、東芝作成の財務諸表では2016年12月末の株主資本は1912億円の赤字、即ち東証基準で債務超過、2017年3月末も資本対策を行わなければ1500億円の債務超過になるとされています(楽天証券投資WEEKLY2月17日号を参照)。

2Qまでのメモリ部門の業績とフラッシュメモリ市況から推測すると、東芝メモリ事業の今期営業利益は1200~1500億円、来期は1500~2000億円と思われます。NAND型フラッシュメモリ市況は、2016年6月の2.1~2.4ドルから2017年2月の3.0~4.0ドルまで上昇しているため、東芝メモリ事業には増産による操業効果、市況上昇による価格効果、この間の円安メリットが発生していると思われます。私の試算では、想定時価総額は1.5~2.0兆円ですが、強気に見積もれば2.5兆円前後になる可能性もあります。

2月24日付け日経新聞によれば、東芝メモリ事業の新会社の売却比率は過半数、新会社の企業価値2兆円以上が売却の候補会社選定の条件になり、3月下旬の臨時株主総会で正式に決まる模様です。同記事によれば、候補者の選定は3月初旬から始め、来期中の売却完了を目指すとなっています。

同記事で名前の挙がっている出資を検討している会社は、ウエスタンデジタル(東芝とフラッシュメモリ生産で協業するサンディスクを傘下に持つ)、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジー、鴻海(ホンハイ)精密工業です。他の報道ではアップルの名前も出ていました(アップルの目的はフラッシュメモリの安定供給と思われます)。最初の3社はフラッシュメモリの同業になります。

メモリ事業の持分売却を行えば、売却益によって債務超過状態は解消されると思われます。3月末までに解消できなければ東証2部に指定替えになりますが、来年3月までに債務超過を解消すれば上場は維持できます。ただし、これは上述の内部管理体制確認書が合格すること、追加損失があったとしても売却益で補える範囲であることが前提になります。

注:東芝メモリ事業を承継する会社は「東芝メモリ株式会社」となりました。

5.電子部品大手の動き

電子部品メーカーで投資妙味を感じるのは、以下の5社です。通信系電子部品の村田製作所、高性能イメージセンサーのソニー、スマホカメラ用アクチュエータのアルプス電気、スマホ用電池のTDK、HDD用スピンドルモータの日本電産などが注目されます(液晶、有機ELともにディスプレイ材料大手である日東電工もスマホ分野の有望企業ですが、先週報告したので割愛します)。

グラフ6 電子部品大手の売上高

(単位:億円、四半期ベース、会社資料より楽天証券作成)

グラフ7 電子部品大手の営業利益

(単位:億円、四半期ベース、会社資料より楽天証券作成)

村田製作所

村田製作所は、スマートフォンを初めとする電子機器で多用されるチップ積層セラミックコンデンサ(電圧制御に使う)の世界シェアトップで35~40%のシェアを持っています。特に超小型の高級品に強い会社です。また、電波の雑音を取り除くSAWフィルタでも世界シェア45%の最大手です。このほか、LTE以降の高速通信で必須の部品であるデュプレクサ(送受信を同時にやり取りする)で30~40%のシェアを持つなど、通信系電子部品に強い会社です。そのため、これまで述べたような動画と動画の通信がスマホを変える流れでは、活躍が期待される企業です。

今期は大手顧客向け通信モジュール(WiFiモジュールなど)の納入シェアを削減されたことと円高デメリットによって、減益見通しです。3Q決算は32.7%営業減益、通期会社予想も、27.4%営業減益の見通しです。ただし、4Qは11.4%営業減益見通しなので、減益幅は縮小しつつあります。これは、iPhoneの減産が前4Qほどではないこと、中国スマホへの拡販が進んでいるためです。為替レートが4Q会社見通しの1ドル=100円に対して円安(4Qは1ドル=112~116円)で推移していることも業績のプラス要因です。

グラフ8 村田製作所の用途別売上高

(単位:百万円、四半期ベース、出所:会社資料より楽天証券作成)

ソニー

ソニー半導体部門の業績が回復して来ました。スマートフォンや高級カメラ向け高性能イメージセンサーを生産する同部門の営業利益は、iPhone減産と熊本地震のダメージによって前4Q736億円の赤字、今1Q435億円の赤字と大赤字になりました。それが、iPhone減産が終わったこと、熊本地震の被害が回復したことによって、今2Q42億円の赤字、3Q272億円の黒字と急回復しています。会社側の4Q見通しは16億円の黒字ですが、この中に不採算事業の整理損が含まれており、イメージセンサーからの営業利益は3Qに近い高水準なものになる見込みです。中国スマホでデュアルカメラの搭載が増えているためです(カメラの眼が2つになるとイメージセンサーも2つになる)。

今期の半導体部門営業利益は190億円の赤字ですが、来期は800~1000億円になる可能性があります。ゲームと並んで、半導体(イメージセンサー)がソニーを牽引すると思われます。

表3 ソニーのセグメント別営業利益:通期ベース

アルプス電気

スマホ向けアクチュエータ(カメラの絞り機構)の世界シェア70~80%の会社です。アルプス電気を含めどの電子部品メーカーも顧客名は明かしませんが、スマホのスペック表を見ると、iPhone7では、「7」がオートフォーカス(AF)用アクチュエータ、デュアルカメラ搭載の「7Plus」には、AF用、手振れ補正用の2種類のアクチュエータが搭載されています。また、中国スマホにとってiPhoneは重要なベンチマークなので、デュアルカメラ搭載の中国スマホが販売されるようになっています(例えばファーウェイの高級スマホ)。ただし、AF用に比べて価格の高い手振れ補正式アクチュエータはまだ中国スマホで採用されていません。今後の注目点は、デュアルカメラ搭載機種が増えるiPhone7s、8の売れ行き、中国スマホでのデュアルカメラ搭載機種の増え方と、手振れ補正用アクチュエーターが中国スマホにいつ採用されるかです。

TDK

TDKの重要なポイントは電池です。TDKはリチウムイオンポリマー電池で世界シェア50%の大手です。特に高級スマホ向けに強いメーカーです。スマホにおける電池の重要性は上述した通りです。ただし、ソニー電池事業を買収する村田製作所もスマホ用電池の強化には関心を示しており、近い将来競争が激しくなる可能性はあります。

TDKは、通信用半導体の大手クアルコムと戦略的提携を行っており、今4QにSAWフィルタを中心とする高周波部品事業をクアルコムとの合弁会社に移管しました。この際に、この合弁会社の当社持分の51%をクアルコムに売却したため、1490億円の売却益が発生することになりました。これによって、今期営業利益は2130億円となる見込みです(前期は934億円)。残りの持ち分も今後売却する予定です。

スマホ向け事業で重要なSAWフィルタ事業を自社から切り離してクアルコムに売却することには賛否があると思われます。会社側の目論見は安定成長できる分野、特に自動車分野へ投資するための資金を獲得すること、クアルコムのリファレンス(クアルコムのようなスマホ用CPUのメーカーが顧客企業に配布しているスマートフォンの標準設計書。これに特定メーカーの部品が掲載されると、スマホメーカーに採用される可能性が大きくなる)にTDKの部品が掲載されること、クアルコムが買収した世界最大の自動車用半導体メーカーNXPセミコンダクターズと連携したいといううことなどです。

日本電産

日本電産は株式市場での評価が高い会社ですが、この評価は自動車向けモータを中心に、一般産業向け、家電向けなどのモータ事業がグローバルに拡大していることを評価したものと思われます。当社が約80%のシェアを持ち高採算のHDD用スピンドルモータは、これまでの見方では緩やかに減少が続く見通しでした。

ところが、スマホの動画ブーム、ビッグデータブームが起こり、スマホのストレージ容量拡大とデータセンターの記憶容量増設が相次ぐ中で、NAND型フラッシュメモリが品不足を起こし、スマホに優先供給されるようになっています。その結果、データセンター向けSSDが足りず、その代わりにHDDが増設されるようになっています。そのため、日本電産のHDD用スピンドルモータも、数量の減少見通しには代わりはないものの、従来よりは緩やかに減少し、単価が緩やかに上昇するという見通しが描けるようになりました。その結果、これまで緩やかに減少してきたHDD用モータの売上高は当面横ばいとなり、採算向上によって業績への影響が少しずつ大きくなる可能性がでてきました。

長期的には、データセンターのHDDがSSDに置き換えられる動きは変わらないと思われますが、会社側の見通しでは2021年3月期まではこれまで減少してきたHDD用モーターの売上高が横ばいとなる見通しです。

2021年3月期までには、受注が積み上がっているパワーステアリング用モーターなどの自動車向けが更に伸びると思われます。それにHDD用モーターの収益寄与が加わることで全体の業績を押し上げる効果が期待できると思われます。