今週の予想

米利上げ観測早まり、日経平均は大きく下放れ

 先週前半の日経平均は、S&P500種株価指数の連日の最高値更新や、円安基調もあってハイテク株中心に買いが優勢でしたが、中盤から後半にかけては、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ時期の前倒しが示唆されたことなどから警戒感が広がり、売り先行となりました。

 チャートから今後の動きを想定すれば、日経平均は15日(火)に2万9,480円まで上昇して、75日移動平均線(18日時点2万9,096円)を抜きましたが、日足では2月高値の3万714円から引かれる上値抵抗線で頭打ちとなり、17日の終値(2万9,018円)は再び75日移動平均線の下となってしまいました。さらに18日の終値は2万8,964円と2万9,000円を割っています。

 この水準を維持できれば、日足、週足ともに三角保ち合いの煮詰まりの状態にあるといえます。

 ところが、日本市場の引けた週末の18日(金)の米国では、利上げ観測が2022年に前倒しとなったことで、NYダウは▲533ドルの3万3,290ドルとなり、柴田罫線(チャート)では5月10日の3万5,091ドル、6月7日の3万4,820ドルのダブル天井に近い二点天井となって売り転換が出現しており、大きな調整となる可能性があります。

 そうなると日経平均は2月16日の3万714円を起点とする上値を切り下げる動きから抜け出せず、6月2日の2万8,565円を守れなければ、5月13日の2万7,385円を目指し下値を試す動きになっても、おかしくありません。

 今週はとりあえず、米国の利上げ観測を受けて、米株式の動きと、それに日本市場がどう連動するのか、様子を見るところです。日本の場合は、ワクチン接種の状況が下支え要因となります。

 米国株式の当面の状況についていえば、先週、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレやその成長見通しを引き上げ、利上げ開始を前倒ししたものの、2023年までは、現行の超緩和が続くことになります。このため、日米ともに株価が大きく下げたところは買いチャンスとなります。

今週の指標:日経平均株価

 先週のFOMC以降の早期の金利引き上げをめぐる、米金融政策当局者の発言や長期金利への影響によって、日米の株価の落ち着きどころが焦点となります。

 日経平均は、まず25日移動平均線(2万8,767円、18日時点)を試し、守れなければ6月2日の2万8,565円を試すことになります。その下は5月13日の2万7,385円を目指すことになります。

先週の動き

 先週の予測では、日米ともに15~16日のFOMCの結果公表に注目としました。FOMCの内容で、資産買い入れの早期縮小の観測が高まれば上値は重くなり、逆の内容では株価上昇のサポート要因になるとしました。

 その方向がハッキリしないため2万9,000円を挟んだ±300円のもみ合いとしました。ただし、先々週の6月7日にザラ場の高値2万9,241円を突破すれば、75日移動平均線も抜けることになり、柴田罫線でも「ろく買」という買い法則が出て、一段高を想定しました。

 結果的には、FOMCの楽観的な見方から15日(火)に+279円の2万9,441円となり、7日のザラ場高値と75日移動平均線を突破しましたが、残念なことに柴田罫線では上昇幅が足らず「ろく買」の買い法則は出ませんでした。

 その結果、16日(水)は持ち高調整で▲150円となり、17日(木)はFOMCでは2023年までに2回の利上げが示唆され、インフレ見通しが引き上げられました。これによって、ドル/円が110円台半ばまで買われました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 米国株式の見通しとしては、利上げの開始が前倒しされることになっても、早くても2022年の終わりか、または2023年になるとの見方があります。今後、数週間は機関投資家のリバウンドなどが重しとなるものの、金融政策がかなり緩和的である状況には変わりはなく、今後も相場をサポートすることになりそうです。

 FRBがインフレやその成長見通しを引き上げ、利上げ開始時期を前倒ししたものの2023年までは現行の超緩和が続くことになります。下げたところは買いチャンスということです。

先週の動き

 先週の予測では、15~16日のFOMCを控え、動きづらい展開になるとし、さらに今回のFOMCでは、経済見通しと政策金利の見通しが発表されるため、内容次第では大きな動きにもなるとしました。

 結果的に、NYダウはFOMCを控え様子見から軟調な動きが続いていましたが、16日(水)のFOMCでは予想外に2023年までに2回の利上げの可能性が示唆されました。

 さらに週末の18日(金)は、セントルイス連邦準備銀行総裁が最初の利上げは2022年中になるとの見方を示したことで、早期利上げ観測が高まり、NYダウは▲533ドルの3万3,290ドルと5日連続の大幅安となりました。5月10日の3万5,091ドル、6月7日の3万4,820ドルとダブル天井に近い形での売り転換となりました。

今週の指標:ドル/円

 心理的なフシ目の110円をしっかりと抜けましたが、1ドル=110円台では多くのドル売りも観測されています。

 また、米長期金利の低下につながる材料が出た場合は、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる場面もありそうです。

 FRB議長は「さらなるデータで緩和縮小に関して言及する可能性がある」との見方も伝えています。FOMCでの予測をもとに金利引き上げは正当化されつつあります。

先週の動き

 先週の6月15~16日のFOMCで成長とインフレの見通しが引き上げられたことや、2022年末までに利上げが開始される可能性が示されたことから、ドル買いが活発となりました。

 17日には一時、1ドル=110.82円まで上昇しましたが、米国株は早期利上げを警戒して下落したことで、リスク選好的なドル買いは一服しました。

 その後、18日にはFRBが金融緩和の縮小について協議を開始したと報じられたことで、ドル買いが一時、優勢となったものの、リスク回避の円買いが増えたことで、1ドル=110.04円まで下落し、引け値は110.14円でした。

先週の結果

週初は2万9,480円まで上昇。その後、3日続落で2万9,000円台を割る

 先週の予測では、2万9,000円前後のもみ合いが煮詰まっており、上か下への動きとなる局面としました。

 直近の動きとしては、下値は25日移動平均線(2万8,621円、10日時点)、上値は75日移動平均線を少し上に抜けた7日(月)時点の高値2万9,241円とし、ここを上に抜けると上放れの形になるとしました。

 柴田罫線でも2万9,241円以上の引線で引けると、買い法則「ろく買」になるとしました。

 結果的に15日(火)に前日のナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことで、日本市場でもハイテク株が買われ、日経平均は、一時2万9,480円まで上昇し、終値では+279円の2万9,441円となりました。

 日経平均の形としては、目先、三角保ち合いの上放れでしたが、柴田罫線では上昇が少し足りず、買い転換まで上昇できませんでした。

 結果的には、その後、3日連続安となり週の終値は▲54円の2万8,964円と2万9,000円を割り込んで引けました。

 理由は、15日(火)の+279円の2万9,441円の上昇が、FOMCを前に楽観的な見方から、ドル安・円高で為替が推移し、値がさハイテク株中心に買われたためでした。 

 16日(水)は、翌日のFOMCの結果公表を前に持ち高調整の売り優勢となって▲150円の2万9,291円となり、さらに17日(木)は注目のFOMCでは2023年末までに2回の利上げの可能性が示唆されました。

 このため、インフレ見通しが引き上げられたことで、長期金利が上昇し、ドル買いで110円台半ばまで上昇し、NYダウは▲265ドルの3万4,033ドルとなりました。 これを受けて日経平均は▲272円の2万9,018円と大幅続落となりました。 

 週末の18日(金)は、前日のナスダックが大幅反発(NYダウは▲210ドルと4日続落)したことで、ハイテク株が買われ+118円の2万9,136円で寄り付くものの、その後、伸び悩み、後場になると下げに転じました。

 この日の日本銀行の金融政策決定会合は、現状維持と想定通りの内容でしたが、週末で新規の手掛かり材料に乏しく、先物に断続的な売りが出て、一時▲60円まで下げ、終値は▲54円の2万8,964円と3日続落となりました。

 週末18日(金)の米国市場は、早期利上げ観測が強まり、主要3指標そろって大幅下落となりました。

 セントルイス連銀総裁のインタビューで最初の利上げが2022年中になるとの見解を受け、NYダウは▲533ドルの3万3,290ドルと5日続落の大幅下落となりました。

 10年債利回りは1.443%と前週比0.07%と低下し、金融セクターは下落となりました。

 柴田罫線では、NYダウは5月10日の3万5,091ドル、6月7日の3万4,820ドルとダブル天井に近い形からの売り転換となっており、本格調整の可能性があります。