※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の天海源一郎氏が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日本株急落なぜ?消費関連株とワクチン接種加速」
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★筆者が選ぶ10万円株一覧は3ページに掲載しています。
ワクチン接種は全世代同時進行でスピードアップ
6月9日に行われた菅首相(自民党総裁)と野党党首による党首討論で、首相は、コロナワクチンの接種回数が6月末に4,000万回を超えるとの見通しを示し、さらに「10月から11月にかけて希望する国民全てに終えることも実現したい」としました。
首相のこの発言は、閣議決定した経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」にも明記され、正式な政府目標とされています。「思っていたよりもワクチン接種の進展が早い」との印象を持った人が多いでしょう。
さらに、ワクチン接種を企業などが行う「職域接種」も急展開しています。大手航空会社、ANAホールディングスは接種を6月13日から始めています。
同社は7月末までに、国際線の運航乗務員や客室乗務員に1回目の接種を終える見通しで、対象となる乗務員は約1万人としています。順次、グループ従業員への接種も進め、従業員の家族や委託先企業への対象拡大も検討するとしています。
職域接種について厚生労働省は企業や医療機関を対象にした「手引き」を作成しており、正規・非正規・派遣などの雇用形態で区別することを「望ましくない」と明記し、雇用形態による区別を事実上認めない見解を示しています。
これに加え、自衛隊が運営する大規模接種会場でも自治体が発行する接種券を持つ64歳以下について16日から接種予約を受け付けています。これまで高齢者から若年層へ、年齢別に進むと理解されていたワクチン接種の進展は大きく変化することになりました。
65歳以上の高齢者への接種は7月末におおむね完了(政府の見解)し、同時に他世代への接種も進んでいく見通しです。
政府、自治体、企業が三位一体となる形で、政府目標の「10月から11月にかけて完了」は実現されるものと思われます。この状況を受け、経済活動はワクチン接種完了を待つことなく、再開の動きが強まることが確実視されます。
消費関連株にはコロナ前を超えるものが見られる
株式市場はいち早く反応を示しています。筆者が独自に個人投資家の注目度が高い消費関連株をピックアップし、単純平均した消費関連株指数で見ていきます。
この指数が2020年のコロナ急落前の水準をすでに超えていることに注目してください。株式市場は実体に先駆けて動き、期待を反映することから、経済活動再開=個人消費回復が日本経済に与えるインパクトが大きなものとなることを暗示しています。
【筆者独自「消費関連株指数」採用銘柄】
■レジャー
- ラウンドワン(4680・東証1部):時間制スポーツ、ゲームの「ラウンドワン」を運営
- イオンファンタジー(4343・東証1部):イオンSC内で遊戯施設を展開
■ビジネスホテル
- 共立メンテナンス(9616・東証1部):「ドーミーイン」などを運営
■会員制リゾート
- リゾートトラスト(4681・東証1部):高級リゾートクラブ「エクシブ」を運営
■スポーツクラブ
- 東祥(8920・東証1部):「ホリデイスポーツクラブ」を運営
■外食
- 鳥貴族HD(3193・東証1部):焼き鳥居酒屋「鳥貴族」を展開
- コロワイド(7616・東証1部):居酒屋「甘太郎」ほか「牛角」などを展開
- アークランドサービスHD(3085・東証1部):とんかつ、かつ丼の「かつや」を展開
- 物語コーポレーション(3097・東証1部):食べ放題「焼肉きんぐ」を展開
- FOOD&LIFE COMPANIES(3563・東証1部):回転ずし「スシロー」を展開
■大規模小売り
- 三越伊勢丹HD(3099・東証1部):「三越」「伊勢丹」のデパート最大手
- ヤマダHD(9831・東証1部):家電量販店最大手「ヤマダデンキ」を展開
- パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532・東証1部):ディスカウント「ドン・キホーテ」を展開
■カラオケ
- 第一興商(7458・東証1部):業務用通信カラオケ「DAM」は業界首位、直営カラオケ店「ビッグエコー」を展開
■貸会議室
- TKP(3479・マザーズ):貸会議室を広く展開、ホテル運営も手掛けます
■運輸
- JR東日本(9020・東証1部):鉄道最大手、首都圏・東日本が地盤です。
- ANAHD(9202・東証1部):国内線、国際線ともに国内空運首位。
この他にも、ここからの株価上昇が期待される「消費関連株」は多くあります。
ワクチン接種が急進展してくるに従い、過去と比べ感染再拡大は(あったとしても)限定的との見方も広がると思われます。株式市場は敏感に反応するでしょう。
消費関連株は、海外市場とは連動しない東京市場単独の動きとして株式市場の「物色の柱」になる公算大です。消費関連株の中から10万円で投資可能な銘柄を例として取り上げます。
10万円で投資可能な消費関連株
株価データは2021年6月16日終値ベース。
SKIYAKI(3995・マザーズ)
音楽アーティストなどのファンクラブ運営(グッズのEC[電子商取引]展開など)、ライブ制作を手掛けています。会員限定ライブなどによって有料会員は増加傾向です。
・1年日足チャート
スタジオアタオ(3550・マザーズ)
実店舗、ECで自社ブランドの婦人用バッグ・財布などを販売しています。ネット比率が高く従業員インフルエンサーによるマーケティングに力を入れています。
・1年日足チャート
エイチ・ツー・オー リテイリング(8242・東証1部)
阪急阪神ホールディングス、東宝と共に「阪急阪神東宝グループ」の中核企業です。阪急百貨店、阪神百貨店、食品スーパーの「オアシス」、総合スーパーの「イズミヤ」などを展開しています。
・1年日足チャート
藤久(9966・東証1部)
手芸専門店「クラフトハートトーカイ」をショッピングセンター内、ロードサイドに展開しています。巣ごもり需要増加で懸案の経営再建は進展した格好です。
・1年日足チャート
力の源ホールディングス(3561・東証1部)
博多ラーメン店「一風堂」が主力です。海外展開強化と共に国内は季節限定商品や宅配強化を進めています。
・1年日足チャート
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