トウシルでは、投資初心者の皆さんに向けて、これから1週間の日本や世界の株式市場を“予習”する記事を配信することになりました!

 株式投資を始めると世界中の経済・金融ニュースに、自然と敏感になります。資産形成もできて、経済の勉強にもなる。そんな一石二鳥の効果がある株式投資をお楽しみください。 

 それでは、今週6月第3週(14日~20日)のトピックスです!

東京五輪はどうなる?それ以上にワクチン接種回数に注目!

 ニュースやSNSなどを見ると、7月23日(金)に開会式が迫った東京五輪を「開催すべきか、中止すべきか」という激しい議論が行われています。

 ただ、世界的に見ると欧米では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、感染者が減少傾向にあります。そのせいもあって、東京五輪の開催の是非は、市場を大きく動かす要因にはなっていません。

 株式市場はどちらかというと「明るい未来」に目を向けがち。マーケットが今、注目しているのは、コロナ感染者数よりも国内のワクチン接種の回数や普及率の方です。

 先週の6月10日(木)には、国内の接種回数が1,000万回を突破。ワクチンを1回以上接種した人の割合は、総人口の10%を超えました。

 ワクチン接種が進めば、多くの人が「海外はまだ無理だけど、国内旅行をしたい」「我慢していた買い物やイベントを楽しみたい」と思うはずです。

 そうした思惑もあり、6月に入ってからは、運輸、ホテル、旅行代理店、外食、アパレル、結婚式場、コンサート企画会社といった「アフターコロナ関連企業」の株がじわじわと上昇しているのです。

「コロナ禍が収束したら、あなた(=一般の消費者)がしたいこと」に市場の関心が集まっているので、これはある意味、チャンスです。

「自分の周りを見渡してみて、みんなはアフターコロナにどんなことを行いそうか?」を想像することが、有望な株を発見するきっかけになるからです。その意味でも、ワクチン接種の回数がさらに加速するかどうかに注目しましょう。

海外ではインフレ加速。17日未明のFOMCが最重要!

 実際、日本以上にワクチン接種が進んでいる欧米では経済の再開、人々の移動が本格化して急速に景気がよくなりつつあります。

 しかし、それに伴って困った事態も発生しています。それが物価上昇、インフレの加速です。

 先週の6月10日(木)には、米国の5月の消費者物価指数が前年同月比5.0%増と、実に13年ぶりの大幅な伸びを記録しました。

 今週も6月15日(火)夜には米国の生産者物価指数や小売売上高が発表され、15~16日(水)にはドイツ、フランス、英国の消費者物価指数、16日には中国の小売売上高といった、物価や個人消費に関する指標が相次いで発表されます。

 これまでの株式市場では、「コロナで世界中が不景気なのに株価だけは絶好調」という、不思議な状況が続いてきました。

 その理由は、世界中の中央銀行がコロナで落ち込んだ景気を回復するべく、大量のお金を世の中にばらまいてきたからです。

 そのお金の一部が株式市場に流れ込むことで、株価がどんどん上昇してきましたが、物価上昇が続くと一般の消費者が困ってしまいます。

 物価上昇を抑えるため、各国の中央銀行が急にお金の蛇口を閉めたらどうなるでしょうか? 株式市場からもせきを切ったようにお金が流れ出していくかもしれません。

 そうした懸念が高まる中、今週15日から16日(日本時間17日未明)には、世界の金融市場に非常に大きな影響を及ぼす会議が米国で開催されます。

 それが米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)。米国の中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)が今後の金融政策を決める会合です。

 その席で「物価上昇は一時的なものなので、今後も金融緩和を続けます」という声明が発表されれば、市場に安心感が広がるでしょう。

 一方、「物価上昇が急すぎるので金融緩和を止める時期を早めるかもしれない」といった発言があると、世界中の株式市場が急落に見舞われるかもしれません。

 FOMCの金融政策発表を受けて、17日(木)には日本市場も大きな動きに見舞われる可能性がありますので、皆さんもどうか注意を持って観察してください。

 世界の経済の動きが日々、反映されるダイナミックな場所、それが株式市場なのです。