2万9,000円前後のもみ合いで、上か下への煮詰まりの動きへ
今週は、日米市場ともに15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が注目となります。
現時点では当局者による発言を踏まえると、早期に量的緩和の縮小の議論が始まる可能性は低いとみられています。
しかし、経済見通しなどを通じて大規模金融緩和の出口を探る要因が出てくれば、市場は反応して長期金利上昇へと進むことになります。この観測が高まれば相場の重荷となり、逆の場合は株価を押し上げる要因となります。
テーパリング(量的金融緩和の縮小)が目先のリスクとして意識されますが、すぐに金融引き締めにつながるわけではありませんし、国内でのワクチン接種加速による経済正常化への期待が、日経平均の下値を支えることになります。
先週の日経平均も、25日移動平均線(2万8,621円、6月10日時点)を下値に、上は75日移動平均線(2万9,147円、10日時点)の間でのもみ合いとなりました。ただし、先週の6月7日にザラ場では2万9,241円と、いったん75日移動平均線を抜きましたが、終値では2万9,019円でした。
この動きで言えることは、75日移動平均線を抜けて、7日の2万9,241円を終値で抜けると上放れの形になることです。この場合、柴田罫線では「ろく買」という買いの型となります。
日足で見てみると、6月に入ってからの日経平均は2万9,000円を挟んでのもみ合いとなっており、下値は25日移動平均線が下値支持線となって、チャートは2万9,000円前後で三角保ち合いが煮詰まる動きとなっています。
ここで大ざっぱに三角保ち合いが上放れ、下放れした場合を想定してみます。
上放れは、上述した7日の2万9,241円を抜くことですが、この場合は5月13日の安値2万7,385円からの上昇となって、3万円台を目指すことになる可能性があります。
逆に下放れした場合で、25日移動平均線(2万8,621円)を割り込めば、5月13日の2万7,385円の安値を目指す可能性もあります。
三角保ち合いの上放れ、下放れの結果としての想定を一つのシナリオとして頭に入れておくのがよいでしょう。
今週の指標:日経平均株価
今週は、日米ともに15~16日のFOMCが注目となります。
量的金融緩和策の縮小時期に関して、どのような発言が出るのかが焦点となります。早期縮小の観測が高まれば、上値は重くなり、逆の場合は株価のサポート要因となります。
一方、国内ではコロナワクチン接種が加速しており、経済正常化への期待で株価のサポート要因となり、基本的に日経平均は、2万9,000円を挟んだ±300円が想定されます。
また日経平均は、6月に入ってからの2万9,000円を挟んだもみ合いで、日足では三角保ち合いとなって煮詰まりつつあります。先週の6月7日のザラ場高値2万9,241円を突破すれば75日移動平均線も抜けることになるので、3万円台を目指す可能性も。柴田罫線では「ろく買」という買い法則となります。
先週の動き
先週の予測では、米国株式、特にナスダック総合株価指数の上昇が継続すればハイテク株が上昇し、日経平均もハイテク株中心に上昇し、75日移動平均を試すことになるとしました。
しかし、先週の米国株式は最高値圏でもみ合うものの、S&P500種株価指数は10日(木)に最高値をつけるものの、NYダウ平均株価とナスダックはもう一つという感じでした。
国内におけるワクチン接種が加速しているものの、すでに経済正常化期待はかなり織り込んでおり、反応が弱くなっています。
注目されていた米5月CPI(消費者物価指数)は予想を大きく上回りましたが、インフレ懸念には結びつかず、逆に長期金利が低下したことで、株価は底堅い動きで終わりました。
今週の指標:NYダウ平均株価
今週の15~16日のFOMCを前に動きづらい展開となりそうです。
ワクチン接種による経済正常化期待はあるものの、景気敏感株は新型コロナウイルス感染拡大前の水準をほぼ取り戻しているため、新しい材料がなければ高値圏で売りに押される状況となっています。
ただし、長期金利が安定していれば、ハイテク株にとってはプラスで、ナスダックを支えることになります。
今回のFOMCは、経済見通しと政策金利の見通しが発表されるため、内容次第での動きとなりそうです。
先週の動き
先週は、10日(木)の5月米CPIを前に様子見で上値の重い展開でした。結果、米CPIは市場予想の+4.7%を超える+5.0%となりました。
しかし、それによってインフレ懸念は高まらず、逆に長期金利が低下したことで、S&P500は5月7日以来の史上最高値更新となり、NYダウも反発しました。
さらに週末も長期金利の低下によって、S&P500は2日連続の史上最高値を更新し、NYダウは+151ドル高の後、▲137ドルまで下げましたが、終値では+13ドルの3万4,479ドルに。上値の重い展開となっており、あとは今週のFOMC待ちとなります。
今週の指標:ドル/円
6月15~16日のFOMCでは、テーパリングが議論されるとの見方も出ています。しかし、金融政策の早期変更の可能性は低いとみられているようです。そうなると現行の金融緩和政策の長期化が意識されることになり、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小することになります。
ただし、市場のインフレ期待は失われていないため、FOMCでは緩和縮小について議論される見通しです。
先週の動き
先週は、8日の4月求人件数は過去最高を記録、また10日の5月CPIは市場予想を上回りました。
本来ならば、米長期金利上昇でインフレ率が上昇し、株価にとってはマイナスになるところですが、長期金利が低下し、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小しました。前年比ベースでの物価上昇率は、6月以降鈍化するとの見方が強まり「FOMCの当局者はインフレ圧力が高まっても一時的なものとの見方を変えないだろう」という見方が広がっているようです。
先週の結果
先々週に引き続き、日経平均は25日移動平均線と75日移動平均線の間のもみ合い
先週の予測では、上昇するためには75日移動平均線を突破できるかどうかとしました。
先週は、下値では、終値では25日移動平均線(2万8,644円)を守り、上値では75日移動平均線(2万9,225円)の間での動きとなっており、先週はここを上に抜けることができるか注目としました。そのためには、国内でワクチン接種が進行し、海外では外国の株式がもう一段上昇することが期待されました。
結果的には、米株式は最高値に接近する動きが継続しましたが、もみ合いが続きました。
国内ではワクチン接種率は高まりましたが、これだけでは材料不足で2万9,000円を挟んだ上下200円ほどの動きに終始し、週末は▲9円の2万8,948円と2万9,000円を割り込んで引けました。
先週は、週半ばまでは日米ともに10日の米5月CPIの発表を控えて様子見ムードが強く、方向感のないもみ合いとなっていました。
その注目の5月CPIが市場予想を上回る伸び(前年同月比+3.8%)となったにもかかわらず、長期金利が低下しました。市場は、消費者物価指数→長期金利上昇→株価下落という懸念で様子見となっていましたが、そのようにはなりませんでした。
11日(金)は、朝方は米国で長期金利の低下を背景に上昇した流れを受け、買い先行となりましたが、日経平均は2万9,000円を超えると売り物が出て下落し、2万8,900円を切ると買いが入って上下動し、方向感のない動きでもみ合いました。
週末ということで、手掛かり材料が乏しく様子見ムードとなって、▲9円の2万8,948円で引けました。
日本市場の引け後の米国市場は、翌週にFOMCを控えていることもあり、上値の重い展開となりました。しかし上述したように、5月消費者物価指数が高い伸びを示し、市場予想を上回りましたが、インフレは一時的との見方から長期債利回りは低下し、10年債利回りは2月下旬以来となる、1.43%割れまで低下しました。
株価は主要3指標そろって底堅い動きとなり、S&P500は+8ポイントの4,247ポイントと2日 連続の最高値更新となりました。NYダウは+13ドルの3万4,479ドル、ナスダックは+49ポイントの1万4,069ポイントでした。
シカゴの日経先物は+120円の2万9,000円となりました。
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