今週の予想

6月は上昇しやすい月。75日移動平均線を突破できる条件は?

 今週も先週と同じように、下値では終値での25日移動平均線(2万8,644円、3日時点)を守り、上値では75日移動平均線(2万9,225円、3日時点)の間での動きとなり、75日移動平均線を上回ることができるかどうかが、ポイントとなります。

 上回る条件としては、国内の新型コロナウイルスのワクチン接種状況の進展と、米国株の上昇があれば、日本株は6月に上昇して高値をつけるというアノマリー(経験則)があり、ボーナスシーズンを前に期待が高まるところです。

 国内では新型コロナワクチンの職場や大学での接種が近く始まるとの見通しもあり、接種者が増加して、経済正常化へ期待が高まるところです。

 さらに、先週末の米国株式は、注目の5月米雇用統計が予想を下回ったことで、過度なインフレ懸念が和らぎ、10年債利回りが低下。主要3指標とも上昇しました。

 しかし、最高値までNYダウ平均株価はあと335ドル、S&P500種株価指数もあとわずかとなっていますが、ナスダック総合指数は最高値が2月16日の1万4,175ポイント、4月29日の1万5,211ポイントとダブル天井をつくり、上値を追えない状況ですので、気にかかるところです。

 先週の日経平均は、3日(木)に2万9,157円まで上昇して、4日(金)の終値が2万8,941円と日足チャートは、75日移動平均線(2万9,225円、3日時点)に差しかかろうとしていますが、ここがフシ目(2万9,300~2万9,500円)になり、戻り売りが続くところですので、果たして突破できるか。

 上昇しやすいアノマリーがある6月ですが、高値圏で乱高下しやすいところでもあるので、個別銘柄は「突っ込み買いの叩き売り」とし、上昇した場合は、いったん利益確定優先となります。

今週の指標:日経平均株価

 今週の日経平均は、米株式、特にナスダックの上昇が続けば、日本のハイテク株も上昇し、上値の重い75日移動平均線を試すことになります。

 国内では、ワクチン接種も進展し、経済正常化期待が高まっており、6月は経験則(アノマリー)で高値をつける期待もあります。米国株式が上昇不足なら日経平均は2万9,000円水準でのもみ合いが続くことになります。

先週の結果

 先週の日経平均は、高値が3日(木)の2万9,157円、安値は2日(水)の2万8,565円とほぼ想定通りでした。上値は75日移動平均線にアタマを抑えこまれる形でしたが、下値は25日移動平均線を終値では割り込むこともなく、下値を固めつつあるといえます。

 日本でも新型コロナワクチン接種の進展がスピードアップし、経済正常化が視野に入れられる状況となってきました。特に話題となったのは、週末に大台の1万円目前に迫ったトヨタ(7203)で、8日連続の上場来高値を更新しました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 NYダウは高値まであと335ドル、S&P500もあとわずかですが、ナスダックは2月16日の1万4,175ポイント、4月29日の1万4,211ポイントとダブル天井をつけたまま上値が重い形となっており、これを抜けられれば米株式の再上昇となります。長期金利の行方に注目となります。

先週の結果

 先週のNYダウは、雇用統計が前月よりは強い内容となったものの、市場予想を下回ったことで過度なインフレ懸念が和らぎ、金融緩和縮小懸念も後退。株価は主要3指標そろって上昇しました。

 S&P500は最高値まであとわずかとなり、NYダウは+179ドルの3万4,756ドルとなって、チャート(柴田罫線)では終値ベースで5月6日の3万4,548ドルを上回り最高値まであと335ドルとなっています。

 日経平均の上昇のカギを握る米株式は、インフレ懸念(長期金利上昇)が高まっていて、5月の雇用統計が強い予想だったことで、株価はもたついていました。

 しかし4日(金)の5月雇用統計は、内容は強かったものの、市場予想に届かなかったことで、過度なインフレ懸念が和らぎ、長期金利も前回の1.627%から1.555%へと低下し、ハイテク・グロース株中心に主要3指標そろって上昇となりました。

今週の指標:ドル/円

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、大規模な金融緩和策の長期間維持の方針を変えているようですが、米国経済の正常化によってインフレ進行の可能性は残ります。

 5月米雇用統計の内容を見ても雇用情勢は改善しつつあることから、テーパリング(資産買い入れ規模の縮小)は根強いといえます。ドルが買われても、1ドル=110円台ではドル売りが増えるとの見方が多く、ドルの一段高は期待しにくいということになります。

先週の結果

 6月1日発表の5月ISM製造業景況指数が予想を上回り、3日発表の5月ADP雇用統計も予想を上回ったことで、ドル買いが活発となり、1ドル=110円台前半まで買われました。

 しかし、4日発表の5月米雇用統計は、市場予想を下回ったことで、米長期金利が低下し、ドル売り・円買いが活発化して、ドル/円は109円台前半までドルが売られましたが、週末は109.53円で引けました。

先週の結果

先週は、想定した2万8,500~2万9,300円のレンジの中でのもみ合い

 先週の予測では、前週末の2万9,000円台回復が本物かどうかは、75日移動平均線を突破しなければならないとしました。

 前週末の動きでは、25日移動平均線を軽くクリアしたものの、75日移動平均線には届きませんでした。

 その結果、先週は75日移動平均線にアタマを抑えこまれる形でもみ合い、25日移動平均線も終値では割り込むことはありませんでした。突破するには、国内の感染者が減少し、ワクチン接種の進展が早まるかどうかにかかるため、もう少し時間を要するとしました。

 そのため、先週は2万9,000円をはさんだもみ合いとなり、レンジとしては2万8,500~2万9,300円としました。

 結果的には、想定したように高値は3日(木)の2万9,157円、安値は2日(水)の2万8,565円の間のもみ合いとなり、週の終値は▲116円の2万8,941円と想定したレンジの中ほどで終わりました。

 先週は、週明けの5月31日(月)は米国市場が休場で参加者が少ない中、中国の5月製造業PMI(購買担当者景気指数)が予想を下回り、上海株式が下落したことで、先物売りから▲129円の2万9,019円で寄り付きました。

 後場になると一時▲357円の2万8,791円まで下げ、終値は▲289円の2万8,860円となりました。先々週末の28日(金)の日経平均の+600円の2万9,149円から大幅反発の調整売りとの見方があります。 

 6月1日(火)は、前日の米国が休場で材料がない中、+138円の2万8,998円で寄り付き、一時+215円の2万9,075円まで上昇するものの、一転、先物売りで▲248円の2万8,611円まで下落しました。しかし、後場、中頃には持ち直し、終値は▲45円の2万8,814円で引けました。朝高後の急落はCTA(商品投資顧問業者)がらみの先物売りによるものと言われていました。

 2日(水)は、寄り付きは▲83円の2万8,730円と3日続落スタート。一時▲248円の2万8,565円まで下落しましたが、その後、コロナワクチン接種の進展期待で反発し、後場、直後に+189円の2万9,003円まで上昇しました。その後は、戻り売りで上値は重かったものの+131円の2万8,946円と3日ぶりに反発しました。 

 3日(木)は、前日の米国株式は主要3指標が小幅上昇したものの、日経平均は▲55円の2万8,890円で寄り付き、先物に断続的な買いが入ったことをキッカケに、+211円の2万9,157円まで上昇しました。後場には2万9,000円水準でのもみ合いとなり、終値は2万9,058円と2日連続の上昇でした。 

 4日(金)は、米長期金利の上昇を背景に3日の米国市場が下落した流れを受け、売りが先行し、一時▲293円の2万8,764円まで下落。売り一巡後は下げ渋って▲66円の2万8,991円まで戻しました。しかし、買い進む動きにはならず、▲116円の2万8,941円と3日ぶり反落して引けました。

 4日(金)の米国市場では、注目の5月米雇用統計で非農業部門雇用者数は、前月の27.8万人から55.9万人増へと大きく改善しましたが、市場予想の65.0万人を下回ったことで、過度なインフレ懸念は和らぎました。

 その結果、10年債利回りが前回の1.627%から1.555%へ低下。ハイテク株が軒並み高となり、主要3指標そろって反発し、S&P500は最高値にあとわずかまで接近しました。

 為替はドルが売られ、ドル/円は109円台半ばへと前日比0.77円の円高・ドル安に。

 シカゴの日経先物は+190円の2万9,120円でした。