※この記事は2021年6月6日に掲載されたものです。

ゼロから10億円の資産形成術

 みなさん、こんにちは。前回は、私が実際に富裕層のみなさんの資産運用の相談に応じている中で分かった共通ポイントを、ご紹介しました。

「実録・資産家たちのお金の増やし方1:富裕層の資産運用、4つの共通点」を読む

 今回は趣向を変えて、ゼロから10億円以上の資産を築いた4人の超富裕層のエピソードを交えて、その素顔と資産運用の方法をご紹介してみたいと思います。

 テレビなどで、お金持ちの方のお宅拝見やインタビューでは、その派手な生活ぶりが紹介されますが、4人の富裕層の方々は、どちらかといえば控えめで、一見、資産家とは分からない、しかし人生を楽しむことにはこだわりを持っています。

 一般的にはゼロから多額の資産を得るには起業し、オーナーとして育てた後、会社を売却して資金を得ることが中心になりますが、これも株式投資の一つの形です。形はさまざまですが、株式投資が大富豪の道につながる確実な方法であることは事実なのです。

 では早速、企業オーナーを含め、ゼロから資産を築いた方にスポットを当ててみたいと思います。

大富豪への道1:目的をはっきり持ち、興味本位で投資しない

東証1部上場で50億円以上のキャッシュを得た起業家

 まずお一人目は、不動産会社を一代で、東証1部上場の大手ディベロッパーに育て上げた起業家A氏です。

 A氏はもともと著名な大手ディベロッパーに勤務し、投資用マンションや分譲マンションの販売をしながら経験を積み、30歳ごろ、先に独立した先輩の会社の役員となりました。

 やがて、ご自分で会社を立ち上げ、優秀な幹部にも恵まれて、事業は順調に拡大。ジャスダック上場、さらには東証1部上場に至りました。その間、約15年ほどです。

 この成功には、なんといってもA氏の強いカリスマ性がありました。

 ご自分にも身内にも仕事の進め方には妥協がなく、お客さまへの気配りや対応の早さにこだわり、強い意思を全身から発するような方でした。

 また、徹底的な現場主義で、自ら頻繁に現地を視察したり、社員たちと一緒に仕事をしたりする姿勢も人を引きつけたのだと思います。

 ご自身の資産運用といえば、本業に役に立つからと、経済状況や景気動向の肌感覚を磨くためにマーケットをチェックし、不動産投資の利回りと比較して分散投資の観点から利回り妙味のある金融商品に投資をするといった合理的な方で、金利収入獲得をメインとしていました。

 自分自身が理解できる分野に投資をし、自分にとって必要でない分野には投資をしないというように、非常にはっきりした目的をお持ちでした。金融商品ごとに興味本位で投資をしない、これがA氏の資産運用の秘けつだったようです。

大富豪への道2:宝くじで高額当選も質素につつましく、安定商品で運用

宝くじで一気に億万長者になった元会社員

 お二人目は宝くじに当選し、一瞬で富裕層になったB氏です。

 ごく普通の4人家族の会社員だったB氏は、コツコツ購入していた宝くじが当たり、なんと6億円以上の現金を手にしました。

 一般的にこのような大口当選の事実はあまり他の方には知られたくないものだと思います。B氏も家族以外にはあまり知らせず、これまで通り、変わらない生活をしていました。

 しかし、当選資金が入金される銀行はその事実をいち早く知ります。当然、すぐさま専任の担当者がつき、頼みもしないのに、資産の置き方や運用提案がされます。金融機関のお目当ては投資信託と、外貨建ての一時払い年金保険です。

 早速、当選金の3分の1がオーストラリアドル建ての保険に、3分の1が複数の毎月分配型の投資信託に、そして残りが一部定期預金と富裕層専門の担当部署に回されて、その他の金融商品となりました。

 マーケット環境やタイミングもありますが、結果的には運用成績はあまりよくなく、B氏は為替の含み益を抱えたまま、オーストラリアドル建ての保険は、高額の解約手数料がかかるため、いったんは解約できずにいました。

 しかし、投資信託は損切りして、金融機関との「お付き合い」を終えることにします。

 その後の資産運用は、個人向け国債や外貨建ての信用力の高い債券などにして、一部を自分の判断で運用するもの、個別株式や株式型の投資信託にする以外は、安定的商品で固めています。

 とてつもない高額当選で富裕層になったにもかかわらず、普段の生活は一層質素に、お人柄も謙虚でていねいで大変つつましい方でした。当選で変わったものと言えば、「小さな戸建てを建てたことと、お仕事は無理しないで済むようになったことくらいです」とお話になる笑顔がとても印象的なB氏でした。

大富豪への道3:トレーディングで5億円超

独自の売買プログラミングで多額の資産を築いた個人投資家

 三人目は独学で株式などの売買プログラムを作成し、自宅でのトレーディングで5億円超の資産を築いた個人投資家のC氏です。

 年齢は30代。もともとは会社員をしていましたが、仕事のかたわら、株式のネット取引を拡大し、専業の個人投資家となって成功を収めました。

 C氏はごく一般的なマンションに一人暮らし。複数のモニターが専業ネット投資家を思わせる仕事部屋ですが、お話を伺うときのお人柄は物腰柔らかく、とてもていねいで理知的にお話しされます。

 その生活ぶりも、いたって質素です。普段の生活で目立つようなことはせず、日中は取引とプログラムの管理修正を行い、増えた余裕の時間で趣味を楽しむ生活をされていました。

 C氏の資産の大半は、株式投資のポートフォリオです。それとは分けた保全資産として、他の富裕層投資家と同じく、米ドル建ての債券に分散投資しており、こちらは金融機関の専任担当者からの提案とサポートでじっくり保有するスタイルでした。

 私個人としては、独自の取引プログラムの中身が気になるところですが、そこは非公開情報。SNS(交流サイト)でもC氏は出てこないため、その存在は今も神秘的なままです。

大富豪への道4:事業で築いた資産を全方位フル回転で資産運用

時流に乗る鋭いビジネス感覚で莫大な資産を築いた弁護士

 四人目にご紹介するのは地方都市の一等地に本社を構える弁護士法人の代表であるD氏です。

 開業してから既に20年以上たっていますが、時流に乗る鋭いビジネス感覚で事業を順調に拡大させ、一代で巨額の資産を築かれました。

 その資産は法人本体と、D氏個人と、D氏の資産管理会社に分けて管理されています。

 金融機関との取引においても、それぞれの口座を持ち、さらに資金を国内外の不動産や金融機関の富裕層担当部門であるプライベートバンキング、そして、ご自身で管理する部分と色分けして運用を行っていました。

 D氏は敏腕事業家らしく、資産運用においても合理的かつアグレッシブなスタイルで、ここがタイミングと見れば多額の借り入れを行って不動産投資や外貨建ての債券投資を行い、利ザヤを確実に取ります。

 その投資判断を行うD氏の分析や銘柄選別はシビアのひと言。

 債券取引は、株式市場のような取引所取引ではないため金融機関との相対取引となり、一般的には価格などの情報が少なく、金融機関からの情報に頼ることになります。が、D氏はご自身で徹底的に状況を調べ上げ、投資候補となる債券の状況や利回り水準に、納得がいくまで担当者と打ち合わせを行い、リスクをうまく取りながら運用資産を拡大させていました。

 プライベートでは幼いお子さまをでき愛し、家族と過ごす時間を大切にされ、よく海外旅行にも行かれていました。その紳士的なお人柄とは対照的に、個人的に管理する資産部分では、ネット取引で株式の信用取引やFX取引も行っており、事業で築いた資産をまさに全方位フル回転で資産運用に回して運用効率を最大化する攻めの投資家でもありました。

大富豪の共通点

 いかがでしたでしょうか。このように、今回はゼロから資産を築いた超富裕層というテーマで普段表に出ない方々を紹介しましたが、まだまだ紙面の都合上紹介しきれなかった方々もたくさんいます。

 相続資産を除けば、超富裕層は企業オーナーが多いことは事実です。ただし、私がこれまで仕事を通じて接してきた富裕層の方々は、みな紳士的で落ち着きと余裕があり、仕事にもプライベートにも真剣であるということで共通しています。

 そしてピンチな状況でも資産を効率的に働かせることでさらに資産を増やしているのです。

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