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国や自治体、企業が取り組むべき気候変動対策を定めた改正地球温暖化対策推進法(『改正温対法』)が5月26日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。温暖化ガスの排出を実質ゼロにする期限を、「2050年までの実現」と明示し、2050年にゼロにする政府目標の法的な裏付けとなります。これを受けて政府目標達成に向けて、官民あげてエネルギー、自動車などを中心に脱炭素への取り組みが加速するとみられます。
【ポイント1】『改正温対法』が成立、脱炭素への取り組みが加速
国や自治体、企業が取り組むべき気候変動対策を定めた『改正温対法』が5月26日、参院本会議で可決、成立しました。カーボンニュートラル、「2050年までの脱炭素社会の実現」を明記し、中期目標として2030年度の温暖化ガス排出を2013年度比46%減、2050年にゼロにする政府目標の法的な裏付けとなります。
『改正温対法』は自治体に再生エネルギーの導入目標の開示を義務付け、実行計画を立てて導入を進めてもらうことや、企業の排出量についても事業所単位で公表、脱炭素の取り組みを見える化するのが特徴です。成立を受けて官民ともエネルギー、自動車などを中心に脱炭素への取り組みが加速、開発競争も激しさを増すとみられます。
【ポイント2】日本は、全固体電池や水素では先行
蓄電池では、日本は一度の充電で走れる距離が延びる次世代の全固体電池の開発で世界をリードしています。トヨタ自動車やパナソニックなどが特許出願で優位に立っています。水素の分野でも、日本勢は特許出願で優位に立っており、日本製鉄は水素還元製鉄に取り組む方針です。
一方、太陽光パネルの世界市場では、価格面で勝る中国製が世界出荷の8割近くを占めています。海上風力機器でも風車本体の生産では欧州勢などが先行している状況にあります。日本はフィルム型で軽量の「ペロブスカイト型太陽光パネル」で巻き返しを狙っており、洋上風力では東芝がGEと基幹設備の製造などで提携し、欧州勢などに対抗します。
【今後の展開】脱炭素に向け、官民での取り組みや提携などに注目
4月に開催された気候変動サミットで各国は意欲的な温暖化ガス排出目標を発表し、日本では政府目標の法的な裏付けとなる『改正温対法』も成立しました。脱炭素への取り組みが加速しますが主導権確保を狙って、研究開発などで競争激化が予想されます。再生エネルギーやEVなどは巨大市場ですが、一方で技術、コスト、資金面などで解決すべき課題が山積しています。日本は全固体電池、水素などでは先行していますが、官民での取り組みや大胆な企業間の提携などにより、競争力を確保していくことが求められます。
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