再び成長株優位の展開になるか?

 株式投資で銘柄選びをするとき、大きく分けて「成長株」と「割安株」という二つのカテゴリーに分類されます。そして、この二つは選び方そのものが異なります。

 簡単に言えば、成長株は売り上げや利益が伸びているかどうか、一方、割安株はPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標から見て割安と判断できるかどうか、というそれぞれの点に注目します。

 2013年ごろからは基本的に成長株の方が、割安株よりも強い展開が続いていましたが、2021年は割安株や景気敏感株(景気に連動して業績が動く銘柄。鉄鋼、化学、海運など)が買われる局面も多くなっています。

 それでも直近は、再び成長株が買われつつある展開になってきて、この動きが本格化するかどうか、筆者としても大いに関心があります。

大きな利益を目指すなら、やはり成長株。でもリスクに注意

 というのも、やはり大きな利益を目指すのであれば成長株に投資すべきだからです。

 実際、2012年11月から続くアベノミクス相場において、株価が10倍、20倍、もしくはそれ以上の上昇を見せた銘柄も数多くありますが、それらはみな成長株でした。

 割安株であれば、せいぜい2~3倍の上昇がいいところですので、筆者としても成長株の方が魅力的に映ります。

 ただし、成長株の方が割安株よりリスクが格段に高いのも事実です。成長株は将来の利益成長という期待感から、常に割高な状況にあることが多いためです。

 そのため、一たび利益成長が鈍化したり、利益が減ってしまったりすると、株価が5分の1、10分の1にまで下落してしまうことも珍しくありません。

 したがって、成長株に投資するのであれば、売却や損切りについてのルールを設定し、それを順守し、大きな損失を避けることが必要になってきます。

成長株選び、3つのポイント

成長株選びのポイント1:業績

 では、筆者はどのような視点で成長株を選んでいるのか3つのポイントからお伝えしたいと思います。

 まず一つめは、当たり前ですが業績です。株価が大きく上昇している銘柄の業績を見ると、その大部分が毎年増収増益、今後の予想も増収増益となっています。

 もちろん、そうでない銘柄であっても株価が大きく上昇するケースもありますが、可能性からいえば、毎年増収増益となっている銘柄の方がより大きく上昇することが期待できます。

 したがって、例えば『会社四季報』を見て、毎年10%以上売り上げや利益が伸びている銘柄を探し、来期以降の予想も10%以上の増収増益になっているものをリストアップするとよいでしょう。

 増収増益であっても、その率が大きくないとあまり株価も反応しないので、10%以上といったような高めの基準を設けた方がよいと思います。

成長株選びのポイント2:投資信託・外国人の持ち株比率

 二つめは、投資信託や外国人の持ち株比率です。成長株として株価の大きな上昇が実現するには、個人投資家の買いだけでは到底足りません。機関投資家や外国人投資家といった、プロ投資家が大量に買ってくれることが株価上昇の原動力になります。

 したがって、彼らが魅力的な投資対象と思っているかどうかを確かめる必要があります。

 そのために手っ取り早く確認できるのが投資信託や外国人の持ち株比率です。こちらも『会社四季報』に載っています。

 もし持ち株比率がゼロとか、ゼロに限りなく近いのであれば、彼らの投資対象になっていない可能性が高いので、筆者も投資対象から外します。

 理想は数%程度で、かつ増加傾向にあるものです。投資信託や外国人がその銘柄を買い進めていることが分かるからです。

 10%以上になっていても問題はありませんが、すでに投資信託や外国人がかなり買っている状態ですから、もし業績のピークアウトなどで株価が天井をつけたなら、彼らの売りで大きく下落する可能性もある点には注意しておきましょう。

成長株選びのポイント3:売買高

 3つ目のポイントは「売買高」です。言い換えれば、流動性です。

 筆者は株式投資において流動性を重視しています。流動性が乏しい株は注文の数が少ないので、買いたくてもかなり高い株価でないと買えない、売りたくてもそもそも買い注文がないので売れない……ということになりかねません。

 株式投資のメリットの一つが「いつでも売れること」です。特に、「危ない!」と思ったとき、すぐ売却してキャッシュに換えることができるかどうかが重要です。

 ですから、どんなに業績が好調であっても、売買高が少なく流動性が乏しい銘柄には筆者は投資しません。

 筆者は売買高の多寡を確認する一つの目安として、自分が投資したいと思っている株数の、100倍の売買高がコンスタントにあるかどうかを見るようにしています。

 例えば、投資したいと思っている株数が1,000株であれば、その100倍の10万株の売買高が日々あるならば売買高は問題なし、と判断します。

 もちろん、あえて流動性リスクを取って、売買高の少ない銘柄を投資対象とする方法もあります。流動性リスクがある分、そうでない銘柄より割安になっていることも多いからです。

 なお、売買高が少ない銘柄の多くは、外国人投資家や投資信託の持ち株比率がゼロやほぼゼロに近いことが多いです。

 プロ投資家も売買高が少ない銘柄は大量に買い仕込むことが困難なため、敬遠しているということがこの点からも分かります。

 やみくもに銘柄選びをしようとしてもなかなか難しいもの。見るべきポイントを絞っておいた方が、お目当ての銘柄を見つけやすいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。