今週の予想
2万7,800~2万8,800円のレンジの中の動きを想定
先週の日経平均株価を見る限り、17日(月)に2万7,632円まで下げて、終値は2万7,824円と2万8,000円を下回ったものの、18日以降は大きく上下動しつつも終値では2万8,000円台を回復。5営業日のうち4日が日足で陽線となっており、今回の急落場面での短期的な底値を確認したように見えます。
米株式が堅調ならば戻りを試すことになりますが、三角保ち合いを下放れしているため、当面の上値は2万8,800円水準であり、そうなると予想レンジは2万7,800~2万8,800円となります。
今後の動きですが、新型コロナウイルス感染抑制のための政府の緊急事態宣言は、それ以外の他県への感染拡大防止に力を入れるものの、高止まりしたまま、経済への不安も高まっています。
そんな中で、日本でも高齢者へのコロナワクチン接種が始まりました。接種率は時間とともに高まっていくと思われ、高止まりしている新型コロナ感染も減少に向かうことになり、日常生活を取り戻して経済が正常化へ向かうことになります。
大手証券会社のレポートなどによると、コロナワクチンの接種率が10%になると、株価は上昇に転じるというものがあります。
一方で、気がかりなのがビットコインの波乱です。
ビットコインは2月にイーロン・マスク率いるテスラがビットコインを15億ドル(約1,600億円)購入していることが明らかとなり、4月には大手交換取引所のコインベースがナスダックに上場したこともあり、ビットコインは4月14日には6万4,000ドル超の最高値をつけました。
その後、5月12日にイーロン・マスク氏が「ビットコインでのテスラ車購入の支払いを停止」を発表したことで急落し、19日には一時3万ドル近辺まで下落しました。最高値からの下落率は5割を超え、半値まで叩き売られました。株式市場にとって懸念されるのは、ヘッジファンドで巨額の損失を被ったところがあれば、損失補てんによって、株価が下落して全体に波及するリスクです。
今の株式市場の大きな上下動は、期待と不安がせめぎ合っている局面にあります。
日経平均は、5月13日の安値2万7,385円からの戻り歩調(先週は17日[月]の2万7,632円)にありますが、チャート(柴田罫線)で三角保ち合いの下放れした形を見ると、2万8,800円以上は強力な上値抵抗ゾーンとなっています。
日足チャートで説明すると、デッドクロスした25日移動平均線(20日時点2万8,903円)と75日移動平均線(20日時点2万9,216円)の下に位置しています。これが好転するためには、少なくとも75日移動平均線を突破しなければならず、それを確認するまでは様子見が基本となります。多少は日柄調整が続くことになり、当面は2万7,800~2万8,800円のレンジの動きを想定するところです。
今週の指標:日経平均株価
先週は大きく上下動しつつも週の終値では2万8,000円台を維持し、日足で見ると5営業日中、4日が陽線となり2万8,000円台を固めたように見えます。
米株が堅調であれば戻りを試す期待もありますが、柴田罫線で見ると、三角保ち合いの上限に達するには2万8,800円を突破しなければならないことがわかります。国内の新型コロナウイルスの感染者が高止まりの状況では、上値は限定的で日柄調整がまだ必要と思われます。
今週の指標:NYダウ平均株価
先週、FRB(米連邦準備制度理事会)が公表したFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録を受けて、インフレに対する対策が立ち遅れるとの警戒感は後退しつつあります。そうなると長期金利の上昇も一服しているため、ハイテク株の買い戻しが期待できるとの見方があります。
また、例年は4月15日が納税申告期限でしたが、新型コロナ感染拡大のため今年は5月17日まで延長されたことで、そろそろ新たな資金が株式市場に流入することも予想されます。
今週の指標:ドル/円
直近で発表された経済指標(製造業関連)は予想を上回っており、米国経済の正常化を期待したドル買いが直ちに縮小する可能性は低いといえます。ただし、FRBによる量的緩和政策縮小の思惑も消えていないため、リスク回避的なドル売りが大きく広がる状況にはありません。1ドル=109円水準でのもみ合いが続きそうです。
先週の結果
大きく上下動しつつも、18日以降は終値で2万8,000円台を維持
先週の予測では、前週末にNYダウがインフレ懸念による下落からの反発となってきたことで、この戻りが続くようなら日経平均も下げは限定的になるとしました。ただ、NYダウが多少戻しても三角保ち合いを下放れしているので、上値は限定的としました。
特に国内では緊急事態宣言が月末まで延長された上に追加の県が出ており、新型コロナウイルスの感染拡大が止まるかどうかの様子見となりそうで、そうなると米国株式がしっかりしても、日経平均は2万8,000円台での動きとなり、上値は限定的としました。
結局は、米株式は週半ばから堅調な動きとなったことで、日経平均は時間外の米株先物や中国株、台湾株の動きを受けて、大きな上下動となりました。
日経平均は17日(月)の安値2万7,632円、18日(火)の高値2万8,481円の間で2万8,000円を挟んで大きな上下動でした。4月の2万8,400円前後の水準の下限を抜けたことで、この2万8,400円水準が上値ゾーンとなっています。特に2万8,000円を終値で切ると調整が長引くため、火曜以降は2万8,000円をザラ場では切っても終値では2万8,000円台を回復して引けました。
また、週末の21日(金)は前日の米国市場が久しぶりに主要3指標そろって大幅上昇となったことで、日経平均も+171円の2万8,269円で寄り付き、一時+313円の2万8,411円まで上昇。その後、いったん上げ幅を縮小する場面もありましたが、大引けにかけて持ち直し+219円の2万8,317円で引けました。
大きく上昇したものの市場の見方は、当面、手掛かり材料はなく、日経平均は2万8,500円のフシ目も回復できませんでした。これだと2万8,000円台での日柄調整をしながらのキッカケ待ちとなりそうです。
21日(金)の日本市場の引け後の米国市場は、マチマチの動きとなりました。
主要3指標は上昇してスタートするものの、経済指標は好悪マチマチで、ビットコインが前日の4万ドルから3.5万ドル台へ再び大きく下落したことで、ハイテク株が下落し、前日に4日ぶりに反発したナスダックは反落となりました。
米フィラデルフィア連銀総裁は、量的緩和縮小協議を早めに開始すべきとの見解を示しており、長期金利の低下が長く続く期待が後退していくことになります。
シカゴの日経先物は+30円の2万8,380円でした。
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