日経平均株価が3日間で2,000円の下落

 先週(5月10~14日)の日本株は大荒れの展開となりました。

 特に5月11日から13日の3日間で、日経平均株価が2,000円の下落となり、個別銘柄も年初来安値を更新するものが400銘柄を超えました。

 年初来安値更新銘柄がこれほどまでに増加するのは、2020年3月のコロナ・ショック時以来のことで、突然の株価急落に肝を冷やした方も多かったのではないでしょうか。

株価が急落したときどのように行動していますか?

 ところで皆さんは、株価が急落したとき、どのように行動していますか。いろいろなパターンがあると思いますが、大別すると、「買う」人と「売る」人になるでしょう。

 このように株価が急落したとき、投資家によって行動が異なるというのは、とても興味深い事実です。どちらがよい、悪いということはありませんが、それぞれの行動に、メリットもありますし、注意点もあります。それらを踏まえた上で行動しているならば、ご自身で納得して行動していることになりますから、それでよいと思っています。

 でも、特に根拠もなく、なんとなく行動しているのであれば、問題ありと言えそうです。それぞれの行動のメリットと注意点をしっかりと押さえた上で、ご自身の意思で対応を判断していただきたいというのが、筆者の思いです。

株価急落時の「買う」ことのメリットと注意点

 まず、株価が急落したときに株を買う、という方についてです。いわゆる「逆張り」をするタイプはこちらに当てはまります。

 なぜ株価急落時に株を買うかといえば、そのメリットは純粋に「安く買うことができるから」です。ある銘柄の株価がもともと1,000円だったのが、800円まで値下がりすれば、今までより安く買うことができるのは自明の理です。

 ただ、注意点としては、買った後も株価が大きく下がってしまう可能性もあるということです。そもそも「安くなった」と思って買っているので、さらに株価が値下がりしても買った株を売らずに持ち続けることが多いはずです。その結果、多額の含み損を抱えた塩漬け株を作ってしまうリスクが高くなってしまうのです。

 また、株価下落に伴って買いを増やしていくため、想定を超えて大きく下落した場合は、買いポジションが膨らんでいる(=株式に多額を投資している)分、損失の額が大きくなりがちな点も要注意です。

株価急落時の「売る」ことのメリットと注意点

 一方、株価急落に伴い、株を新たに買うのではなく、保有している株を売るという方もいます。「順張り」をするタイプが当てはまるのはこちらです。

 なぜ保有している株を売るかといえば、さらなる下落で損失が膨らんでしまうのを防ぐために、できるだけ早期に売ってしまいリスクを軽減させるためです。

 いったん売ってしまえば株価がそこからさらに大きく下落したとしてもダメージはありませんから、多額の損失を未然に回避し、防御力を高めることができます。

 注意点としては、売った株の株価が反転し、大きく上昇してしまう場合です。すでに売ってしまった後は、確かにその後の株価下落での損失拡大は抑えられますが、逆に株価が上昇に転じた場合は、得られるはずだった利益を逃してしまうことになります。

 したがって、売った後に株価が上昇したら買い直しを行う、などの対策をとる必要があります。

筆者は今回の株価急落で「買う」「売る」のどちらの行動を取ったか?

 では筆者は、今回の株価急落で株を買ったのか売ったのか、一体どちらだと思いますか。私は「売る」の方でした。実際、今回の急落局面で保有株の大部分を売却しました。

 筆者は逆張りではなく順張りの投資を行っていることはご存じの方も多いと思いますが、順張りであるならば、この3日間の下落で、下がっている株を買い向かうということはあり得ないはずです。

 なぜなら、ほとんどの銘柄が25日移動平均線を割り込み下降トレンドに転じ、さらなる株価下落に警戒すべき状況になっていたからです。

 筆者はたとえ株が安く買えたとしても、買った後さらに大きく下落して含み損を抱えた塩漬け株を作ってしまっては元も子もないと考えています。投資資金に限りがある個人投資家の資金効率を考えれば、資金の滞留を招き、「死に金」につながる塩漬け株の存在は明らかにマイナスです。

 それよりも、保有株を早期に売ることで、さらなる下落により損失が拡大するのを防ぐのをより優先すべきと考えています。株式投資はたった一度の大きな失敗で、回復が見込めないほどの致命傷を負ってしまうことになりかねないからです。

 さらなる下落により大きな損失を抱えるリスクがある一方で株を安く買い仕込めることを望むのか、それとも反転上昇に乗り遅れて利益を逃すリスクがある一方で、大きな損失を確実に避けることを望むのか…?

 考え方は人それぞれですが、筆者は株式投資で成功するために必要なことは「大きな失敗をしないこと」と思っています。利益を得る機会を多少逃してでも、大きな失敗、大きな損失を避けるべきと考えていますが、皆さんはどうお感じでしょうか?