タクスズキさんのプロフィール

 ゲーム会社に入社後、1年4カ月でブログ収入が月給を越えたのを機にプロブロガーとして独立したタクスズキさん。

 2017年からソーシャルレンディング(※)、ロボアドバイザー、投資信託の積み立て、FXの自動売買など「ほったらかし系」を軸にさまざまな投資を開始しました。

 当時はまだ創成期だった仮想通貨(暗号資産)への投資も始め、長期保有を軸にほったらかし投資を実践し、資産は1億円に到達。セミリタイアを達成しました。

 ブログ「20代が個人で資産運用してみるブログ」YouTube「フリーターから資産1億円を達成するまでの奮闘記」など数々のネットメディアで情報を発信しています。

※ソーシャルレンディング…インターネット上で個人投資家から小口の資金を集め、融資を必要とする中小企業に貸し出すサービス。借り手企業は返済額と金利を毎月支払い、運営会社がそのうち数パーセントを取得した残りが個人投資家の利回りとなる。

投資スタイル

 ビットコインの長期保有の他、ロボアドバイザー、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)、米国株など、さまざまな投資ジャンルに挑戦しています。

金融商品の種類 投資先・銘柄名など 割合
仮想通貨 ビットコインなど 75%
インデックスファンド 全米株式、全世界株式インデックスファンド(iDeCo口座) 15%
米国株 SPDR ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF(SPYD)
AT&T(T)など
8%
ロボアドバイザー 株、債券、不動産、金 2%

銘柄選びの基準

  • 個別株は成長もしていて、高配当が狙えること。米国市場に上場するETF(上場投資信託)も、米国の高配当株に分散投資することで分配金収入が見込めるものを選択。  
  • 仮想通貨は時価総額が上位で、しっかり審査に通った上で国内の取引所に上場していることを基準に投資。
  • iDeCoで投資しているインデックスファンドは今後も成長が見込める全米株式、全世界株式に長期積み立てを続ける予定。

銘柄を売るときの基準

  • 仮想通貨は2017年以来、ガチホ(値動きがどうあれ保有し続けること)。個別株は+10%で基本的に利益確定する。
  • 「利益確定は正義」。これからも上がり続けるとは思わず、含み益があるうちに売却。「もう少し持っていればもうかった」と後悔するぐらいがちょうどいい。

初心者時代の体験談

Q:投資を始めて最初の成功体験を教えてください。
A:ETFが何かすらわからないときに始めたロボアドバイザーで順調に資産が増えたことです。

 ロボアドバイザーで順調に資産が増えたことが最初の成功体験の一つです。

 投資したロボアドバイザーは、投資に関する簡単な質問に答えるとその結果をAIが分析して、米国のETFに分散投資してくれるというものでした。

 しかし、当初は「ETFとは何か?」すら、よくわかりませんでした。にもかかわらず含み益ができたのでうれしくなり、そこから投資にのめり込むようになりました。

 株やETF、債券など金融商品のことがよくわからない状態から始めても、投資していくうちに「損したくない」という気持ちが芽生えて、勉強するようになります。

 初心者の方もまずは少額で始めて、あとから勉強したほうが、理解も進みます。「まずやってみる!」という気持ちが大切です。

Q:初心者時代の失敗談を教えてください。
A:はやりのAI関連株で含み損。FXトレーダーの本をマネして1日7万円の損など、理解不足や他人のマネでは失敗してしまうことが多いです。

 AI(人工知能)がはやっていたので、ニュースでなんとなく耳にし、当時爆上がりしていた関連銘柄を大した分析もせずに購入したことです。

 数千円の含み損を抱え、怖くなり損切りしました。その後も下落し続けたので、損切りして良かったと思いつつも、「よくわからない株を買ってはいけない」ということが身に染みました。

 ウォーレン・バフェットが「レポートを書けないうちは投資するな」と言っていますが、まさにその通りだと思います。

 また、あるFXトレーダーの本を読み、その手法をマネしてみたところ、1日で7万円の損をしたのも苦い経験です。こちらも、よく理解しないまま、他人の真似をしても失敗することが多い、という教訓になりました。

Q:資金が少なかった時代にやってしまった失敗や、後悔していることなどを教えてください。
A:少額から投資できるからといって、信託報酬の高い微妙な投資信託を適当に買ってしまいました。

 少額資金で購入できる金融商品も増えて、いろいろ試せるからといって、信託報酬が高額なバランス型ファンドやアクティブファンドなど、微妙な投資信託を買ってしまったことです。

 投資信託はコストの安い優良なファンドを厳選すべきです。

 ただ、100円からの少額資金で買える分、適当に投資してしまうことも多く、その投資信託を買った事実を忘れてしまうことも……。

 その後は、自分の資産ポートフォリオにある銘柄すべてをきちんと記録しておくようになりました。

Q:さまざまな成功・失敗を経て確立した投資手法や投資哲学を教えてください。
A:「ドルコスト平均法」の威力は絶大。自分がどんな投資に向いているか、自己分析も必要です。

 しっかり投資や金融商品の勉強をし、将来有望と思える銘柄をガチホしながら、「ドルコスト平均法」で積み立て投資するのが最強だと思います。

 価格が安いときにたくさん買えて、高いときにはあまり買わなくてすむドルコスト平均法は負けにくい投資法だと思うので、初心者の方は定額積み立てから始めるのがいいと思います。

 人間、誰も大底では買えませんし、最高値で売ることもできません。「尻尾と頭はくれてやれ」という投資格言のように「平均点を目指す」のがいいですね。

 また、自分がどんな投資に向いているかを自己分析することも大切です。僕の場合、値動きがある商品は向いていないと自己分析しているので、今は債券タイプのソーシャルレンディングの資産配分を多めにしています。

 また、裁量トレードのセンスもないので、FXの自動売買やロボアドバイザーのように、システムに任せる投資もいいなと思っています。やはり感情のある人間が投資をするのは難しいです。

タクスズキさん流・少額ポートフォリオ

1,000円で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
ビットコイン 仮想通貨 ―― 40%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) インデックスファンド 米国株 40%
eMAXIS Slim 全世界株式 インデックスファンド 全世界株 20%

●この銘柄を選んだ理由

 1,000円だと大きく増える体験がしづらいと思いますが、少しでももうかった経験ができそうなビットコインをメインに選びました。

 ハイリスクではありますが、長期保有で増える経験ができそうかなと思います。

 投資信託はこれまでの実績を見ても今後に関しても、米国経済の成長は止まらないと思うので、米国S&P500のインデックスファンドを買って、市場全体に投資しておけばいいと思います。

 米国株だけだとリスクがあるので、念のため、全世界株式インデックスも買います。

1万円で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
インベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ) ETF 米国株 40%
SPDR S&P500ETF(SPY) ETF 米国株 30%
ビットコイン 仮想通貨 ――  30%

●この銘柄を選んだ理由

 米国市場に上場するETFでは、S&P500に連動するSPYもいいのですが、それ以上に利益を狙えそうなナスダック100総合指数に連動するインベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ)のほうが面白いと思い、比率を増やしました。

 GAFA(グーグルの親会社、アップル、フェイスブック、アマゾン)にも投資しつつ、他のいろいろな有望ハイテク株に分散投資でき、大きな値動きに期待できます。

3万円で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
インベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ) ETF 米国株 40%
SPDR S&P500ETF(SPY) ETF 米国株 30%
ビットコイン 仮想通貨 ―― 23%
ソフトバンク(9434) 個別株 日本株 7%

●この銘柄を選んだ理由

 手堅そうな高配当銘柄であれば、値動きでの損も配当収入で回避しやすいので、単位未満株での購入になりますが、携帯キャリアで今後の成長も見込めるソフトバンクを1株入れて個別株に投資するのもあり、と判断しました。

 他は1万円投資プランと同じです。ビットコインは長期的な視野で見ると、まだまだ有望で、いずれ1BTC=1,000万円までいってもおかしくないと思っています。少額投資だからこそ買っておいて、大きな値動きに期待したいです。

10万円で投資するなら?

商品名 商品の種類  投資先 割合
インベスコQQQトラスト・シリーズ1(QQQ) ETF 米国株 30%
SPDR S&P500ETF(SPY) ETF 米国株 30%
ビットコイン 仮想通貨 ―― 20%
ソフトバンク(9434) 個別株 日本株 10%
SPDR ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF(SPYD) ETF 米国株 10%

●この銘柄を選んだ理由

 あくまで配当や分配金が好きな僕のような人間の考えるポートフォリオですが、個別株は選定が難しくリスクが高いので、ある程度将来の予測が立てやすいソフトバンクのみとします。

 個人的には個別株より分散投資できるETFのほうがいいと思っているので、米国S&P500の採用銘柄から高配当株を集めたSPDR ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF(SPYD)を加えました。

 組み入れ銘柄には高配当で有名な米国タバコ株なども入っているので、分配金が欲しい人にとってSPYDは魅力的な投資対象ですし、成長が見込める企業も組み入れられています。

 株主配当や分配金は再投資して、複利運用の効果で効率的に資産を増やしましょう。さらに値動きでの利益を狙うために、たくさん勉強した結果、やはり将来有望だと思うビットコインにも資産の20%は投資しておきたいですね。

つみたてNISA枠またはNISA枠で投資するなら?

商品名 商品の種類 投資先 割合
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) インデックスファンド 米国株 70%
eMAXIS Slim 全世界株式 インデックスファンド 全世界株 30%

●この銘柄を選んだ理由

 いつでも引き出し可能なつみたてNISAで米国のS&P500と全世界株式のインデックスファンド2本に投資するのが王道ではないでしょうか。

 株だけだと怖い方は、三菱UFJ国際投信「eMAXIS」シリーズのバランス型ファンドでもいいと思います。

 ただ、過去のデータだと、債券などに分散するより米国株に集中投資したほうがリターンは高いです。

 短期の含み損は気にせず、長期で利益を出したいなら、この2本をつみたてNISAで長期保有して、非課税の恩恵を得ていくのが良いと思います。

投資ビギナーへのアドバイス

Q:初めて買った銘柄を売るときのタイミングや気を付ける点について教えてください。
A:長期投資では含み損は気にしない。短期売買では+10%で利益確定する。

 大前提として、将来有望な銘柄を選び、中期〜長期で運用するのが僕のおすすめです。そうすれば投資で損するリスクは減ると思います。

 長期投資の場合は含み損が出ても、慌てて売らないようにしましょう。将来有望なら、また値上がりして利益を出せるはずです。余裕を持った「暇な投資」が基本です。

 一方、もし1カ月、数カ月など、短期間で利益を出したいなら、+10%ほど含み益が出たら売るべき。

 2018年の仮想通貨取引で経験しましたが、短期的な投資では多額の含み益があっても、すぐに含み損に転落することもあります。

 含み益があると、まだまだ上がると欲張ってしまいがちですが、それは危険。短期売買において利益確定は正義です。

Q:少額での投資が大きな利益を生んだのはどんなタイミングでしたか? 
A:たまたま、偶然、投資した仮想通貨で大きな利益を得ることができました!

 2017年に「VALU」という、個人が発行する疑似株式を売買するフィンテックサービス(2020年3月末に終了)に投資するため、ビットコインを1万円ほど買ってみました。

 その後もVALUで投資するために買い増していって総額30万円ほどになったのですが、気付いたら、ビットコインの価格が50万円、100万円と上がっていきました。

 正直、たまたま、偶然の成功ですが、ビギナーズラックというのは本当にあります。

 その後は、仮想通貨について猛勉強して、ネム(NEM)などいろんな銘柄に積み立て投資することで、含み益が増加。時流に乗る重要性を学びました。

 ただ、利益確定ができず、含み損を抱えたことで利益確定の重要性も学びました。

 チャンスに乗るためにも、情報収集はしっかりしておきましょう。有名なトレーダーさんのTwitterチェックがおすすめです。

 興味のある投資先が出てきたら本などで学ぶのも大切。そして、チャンスをつかんだら、しっかり利益確定しましょう。

▼タクスズキさんインタビューを読む

人気投資ブロガー・タクスズキさん 前編:20代から堅実に増やし、将来に備える投資とは?
人気投資ブロガー・タクスズキさん 中編:ほったらかし投資で本業に集中
人気投資ブロガー・タクスズキさん 後編:100円からでも投資を始めてみよう!