今週の予想
緊急事態宣言延長で経済停滞懸念。2万9,000円台でのもみ合いか
4月はじめの予想では、経験則(アノマリー)では、ゴールデンウイークに向けて株価は高いとしました。しかし、新型コロナウイルス第4波に対する非常事態宣言の継続に加えて、米株が一時軟調だったこともあり、4月21日(水)には2万8,419円まで下落。そこから反発するも上値の重い展開となっていました。
しかし、連休明けの5月6日(木)は、4都府県に発令している緊急事態宣言を5月末まで延長する方針を政府が固めたと報じられたものの、株価は+518円の2万9,331円と大幅高となりました。
この大幅上昇の背景の一つには、たまっていたショートカバー(買い戻し)と、コロナワクチン接種の普及に伴う経済の正常化を期待した部分があります。
日本のワクチン接種率は2%と先進国では最低の割合ですが、大手証券会社のレポートでは「ワクチン接種率が10%に達すると株価は上昇に弾みがつく」という予想があります。5月連休明けから高齢者などへのワクチン接種が本格化することになりますので、連休明けの株価の大幅上昇は、これを先取りした動きかもしれません。
ところで、4月の連休前の上昇は不発に終わりました。米国の格言の一つに、「株は4月に買って5月に売れ」というものがありますが、4月に買われていないので、5月は緩やかな上昇となり、「ボーナス月の6月に高値」という、次のアノマリーに向けた上昇があるかもしれません。
それには上述したようなワクチン接種の普及のスピードがポイントとなります。
日経平均のチャートは、目先では3月24日の2万8,379円を安値とし、4月6日の3万208円を高値とする三角保ち合いになっており、この中で煮詰まって、25日移動平均線(6日時点2万9,411円)に差し掛かったところです。
まだ、往来相場が続くこともありますが、3万円を回復して6月高値に向かうには、まず25日移動平均線を確実に突破して、4月6日の3万208円を抜く必要があります。実現には、NYダウ平均株価が史上最高値を更新するような堅調な動きを続けることや、ハイテク株中心のナスダック総合指数が調整を終えて出直ることが前提です。
5月末までの延長に、12日から新たに愛知と福岡の2県も緊急事態宣言が追加されることになったことで、経済活動の停滞が懸念されるため、企業決算をにらんだ個別株物色が中心となりそうです。
今週の指標:日経平均株価
日経平均の日足チャートは、25日移動平均線(6日時点2万9,411円)に差し掛かったところであり、25日線を明確に上へ抜けて、4月6日の3万208円を上回れば、6月高値も期待できます。しかし、その前提は米株式が上昇を継続するという前提が必要です。
今週は緊急事態宣言の5月末までの延長と12日から愛知と福岡が追加されますので、経済活動の停滞懸念で2万9,000円台でもみ合いとなる可能性があります。
今週の指標:NYダウ平均株価
前週は、ハイテク株が軟調な動きとなってナスダックを中心にさえない展開でした。しかし、先週はNYダウは5日続伸し、3日連続の最高値更新となって5月7日(金)は、3万4,811ドルまで上昇して、終値は3万4,777ドルで引けました。
4月雇用統計が予想を大きく下回りましたが、逆に金融緩和の長期化観測から金利が低下し、株が買われる状況となりました。
主要な州でパンデミック対応のために設定された規制も、ほぼ全てが今週中に解除される予定のため、労働市場や景気の回復にさらに拍車がかかりそうです。経済活動の再開につれて景気循環株が引き続き相場の上昇を支えることになりそうです。
FRB(米連邦準備制度理事会)は金融緩和策縮小の考え方を示さず、当面、大規模緩和を維持するとみられ、株式の上昇をサポートすることになります。
今週の指標:ドル/円
今週のドル・円は、底堅い動きが想定されます。
先週発表の4月雇用統計は予想を下回ったことで、FRBの長期金融緩和観測の維持から、ドルが売られましたが、今週は経済指標が好調ならば経済正常化期待がさらに高まり、ドル買い・円売りが継続することになります。4月の米消費者信頼感指数が市場予想を下回れば、ドル安に振れる可能性もありますが、一方で4月の米小売売上高が市場予想を上回れば、ドル買い・円売りが高まります。
先週の結果
ゴールデンウイークを含む2週間は、前半軟調だが後半は2日で戻りを試す
先々週(4月26日~30日)の予測では、2万9,000円を中心としたもみ合いで2万8,500~2万9,500円のレンジの中の動きとしました。
これまでの経験則では、ゴールデンウイークに向かって上昇という確率が高かったものの、今回は難しいとしました。それは、新型コロナ感染拡大を防止する非常事態宣言の発令にもかかわらず、人の流れは減少せず感染者が拡大しているところへの警戒感があるためです。
結果的には、連休を前にして手控えムードが強まり、ポジション調整の売り圧力も強まり、日経平均は2万9,000円を中心に高安を日々交互に繰り返す方向性の定まらない展開が続きました。先々週末には一気に手じまい売りが出て、▲241円の2万8,812円と2万9,000円を割り込んで引けました。
イエレン米財務長官がインフレ問題を懸念していないと明確な発言をしたことで、インフレや利上げへの警戒感が後退し、5日のNYダウが4月16日以来の史上最高値を更新。そのため、連休明けの6日(木)の日経平均は一時+617円の2万9,430円まで上昇し、終値は+518円の2万9,331円と大幅反発しました。
日本の連休中の米国市場は、ナスダックは軟調が続いたものの、NYダウは5月6日(木)までは、4日続伸で連日の最高値更新でした。
週末の7日(金)は、非常事態宣言が今月末までの延長と追加の地域が加わる予定となったことで、株価は反落が予想されましたが、日経平均はしっかりした動きで+26円の2万9,357円で引けました。ただし、米国での4月雇用統計発表を控え、様子見ムードもありました。
日経平均は、2日間で予想外の大きな上昇となりましたが、チャート(柴田罫線も同様)を見ると、2月高値から上値を切り下げているものの、逆に4月21日の直近の安値2万8,419円からは下値を切り上げており、三角保ち合いが煮詰まりつつある形となっています。何かキッカケ次第で上下どちらかに振れる可能性があります。
日本市場の引け後の週末の米国市場は、注目の4月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は市場予想の97.8万人を大きく下回る26.6万人と減少し、失業率が3月の6.0%から5.8%への低下が、逆に6.1%と増加し悪化しました。しかし、これが逆に金融緩和長期化観測期待から株価の支援となり、NYダウは3日連続の史上最高値更新。S&P500も3日続伸で6営業日ぶりの史上最高値更新となりました。
為替は1ドル=108.59円の円高となったことで、シカゴの日経先物は+20円の2万9,410円となっています。
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