今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは110.00

下値メドは107.40

経済制限が解除されるにつれ、人はもっと楽しむためにお金を使うようになる

4月の米雇用統計は、スゴかった。

 といっても、数字が強かったわけではない。結果は悪かったです。何がスゴいかというと、そのやらかしぐあい。米国はワクチン打って経済再開、経済指標は軒並み強い。雇用統計も当然強いはず。多くのエコノミストが、雇用者数は100万人超え、もしかしたら150万人もありえると予想するなか、ふたを開けてみたらたったの27万人とは。これだけ重要なのに、これだけ大外れする指標もめったにない。もちろん重要な指標は他にも多くあるけれど、FOMC(米連邦市場委員会)の政策金利で、利上げを予想しているのに結果は利下げだった、ということはまずありません。雇用統計、スゴい。

 BLS(米労働省労働統計局)が5月7日に発表した雇用統計では、4月のNFP(非農業部門雇用者数)は26.6万人の増加にとどまりました。雇用はレジャー・サービス業を中心に大きく伸びたものの、派遣業や宅配業の減少で一部相殺されました。失業率は6.1%にわずかに上昇。

7日(金曜)のドル/円は、雇用統計発表後に急落。

 この日は109.07円からスタート、東京時間にいったん108.93円まで下げるも大事に至らず、雇用統計を待ちながら109円台前半で静かな取引を続けました。NY時間に入り、 NFPの良い数字を期待して指標発表前に109.28円まで浮上してこの日の高値。しかし発表後は一気に急落、108.33円まで円高に動いて安値をつけました。終値は108.61円(前日比▲0.48円)。終値108円台は4月29日以来6営業日ぶり。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和縮小開始が遅れるとの思惑から10年米債利回りは一時1.46%前後まで急低下。一方、株式市場では、金利上昇懸念がやわらぎダウ平均は史上最高値を更新。

 雇用統計の失望からのドル失速という流れで、ユーロは対ドルで急上昇。この日の安値は東京時間午後の1.2053ドルで、1.200台をキープしたまま雇用統計をむかえ、発表後は2月の高値に迫る1.2173ドルまでジャンプしました。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

頭を使って正しく投資をすれば、金が自動的に金を生む。それが投資の面白さだ – ジム・ロジャース

4月米雇用統計 Maybe I’m Amazed

失業率

 4月の失業率は6.1%で横ばい。昨年4月の最悪期に比べると著しく改善していますが、コロナ流行前の2月時点(失業率3.5%)よりも、まだ約2.6パーセントポイント高い。失業率は米国の州によって違いがあり、例えば観光やレジャーの依存度が高いハワイ州やNY州では高止まりする一方、製造業の多い州では低下が目立つ。4月の失業者は980万人。こちらも前月とほぼ変わらずで、昨年2月時点(580万人)よりまだ400万人多い状況。

NFP(非農業部門雇用者数)

 4月の非農業部門雇用者数(NFP)は26.6万人増加しましたが(3月77.0万人増、2月53.6万人増)、昨年2月のコロナ流行前に比べると、まだ820万人(5.4パーセントポイント)少ない状況。

 4月のレジャー・サービス関連の雇用は、33.1万人増加。コロナによる移動制限の解除が各州で進んでいることを反映。このうち半分以上は、飲食店(18万7,000人増)関連で、娯楽・ギャンブル(7万3,000人増)や宿泊施設(5万4,000人増)でも増加が目立ちました。レジャー・サービス分野の雇用は、1年間で540万人増加したものの、コロナ直前(20年2月)に比べると280万人(16.8%)減少。

平均労働賃金

 4月の非農業部門雇用者全体の平均時給は、前月比21セント増の30.17ドル(前月4セント減)。民間企業の一般職の平均時給は、20セント上昇して25.45ドル。経済再開に伴う労働需要の増加が、賃金の上昇圧力になっている可能性を示しています。ただし、平均時給は業種によって大きく異なり、また2020年2月以降の雇用の変動が大きいため、平均時給の動向の精確な予測はまだ難しい状況

在宅勤務

 4月に新型コロナを理由に在宅勤務をした被雇用者の割合は18.3%で、前月の21.0%から減少。また新型コロナによる会社の休業や倒産を理由に働けなかった人は940万人で、前月の1,140万人から少なくなっています。

レイオフ

 4月の失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は210万人。一時解雇者はコロナ直前(20年2月)よりもまだ140万人多いものの、コロナ直後(20年4月)の1,800万人からは大幅に減少。一方、永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は350万人とほぼ横ばいで、コロナ直前に比べてまだ220万人多い。労働参加率は61.7%で前月とほぼ変わらず、コロナ直前よりまだ1.6パーセントポイント低い。

今日の注目通貨:ドル/円

ドル/円:今週の予想レンジ ↑110.18円、↓107.44円

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は108.81円。108.81円より上ならばドル買い優勢、108.81円より下ならばドル売り優勢。

 2021年これまでの高値は110.97円、安値は102.59円。平均値は106.78円、値幅は8.37円。
1日の最大値幅は1.03円、最小値幅は0.18円。平均値幅は0.57円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて4.59円の円安。

110.97円 : 2021年 高値
110.85円 : 04月 高値
110.70円 : 第4レジスタンス(HBO)
110.18円 : 第3レジスタンス

109.66円 : 第2レジスタンス 
109.56円 : 04月 61.8%
109.50円 : 第1レジスタンス
109.16円 : 04月 平均値

108.81円 : ピボット

108.76円 : 04月 38.2%
108.13円 : 第1サポート

107.96円 : 第2サポート
107.48円 : 04月 安値
107.44円 : 第3サポート

106.92円 : 第4サポート(LBO)
106.37円 : 2021年 03月 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

2021年 ドル/円データ