最近の投資成績はいかがですか?

 ゴールデンウイークが終わり、2021年もすでに4カ月が経過しました。皆さんの最近の投資成績はいかがでしょうか?

 ここ最近は買われる銘柄がコロコロ変わることもあり、なかなか利益を上げづらいなあ、というのが筆者の感覚です。特に4月に入ってからは、周りの個人投資家からも一様に、「利益が取れない」「小さな損失が積み重なる」という声が聞かれます。

 実際、4月に入ってから個別銘柄は値下がりを続けているものの方が多いですし、4月21日には年初来安値更新銘柄が200を超えるなど、日経平均株価の動き以上に厳しい値動きになっているといえます。

「うまくいっていない」パターンには2種類ある

 このように、なかなか利益を得ることができない、もしくは損失が積み上がってしまっている状況が続くと、「うまくいかないなあ」と強く感じることになります。

 ただ、この「うまくいっていない」には2種類あることを押さえておく必要があります。

自分以外の投資家は利益を伸ばしている

 一つは、他の投資家が順調に利益を伸ばしているにもかかわらず自分はそれができていない場合です。このケースは、根本的に株式投資の手法自体から見直していく必要があります。他の投資家がみな順調なのに、自分だけ調子がよくないというのは避けていかなければなりません。

自分も他の投資家もうまくいっていない

 もう一つが、自分自身もうまくいっていないけれど他の投資家も同様にうまくいっていない、というケースです。これは、自分の投資手法うんぬんではなく、純粋にマーケットの地合いが悪く、多くの銘柄が値下がりしているのが原因であることが多いです。

 したがって、このケースでうまくいかないのは当然なのです。信用取引で空売りでもしない限りは買った株が値上がりしないと利益が得られないわけですから、大部分の銘柄が下がっている局面では、株を持っていればいるほど損失を被ることになります。

うまくいかないからといって無理に勝負をしない方がよい

 なかなか思ったような成果が出せないと、焦ってしまって無理な勝負を無意識にしてしまう個人投資家の方も多いようですが、それはリスクが高い行為です。

 そもそも多くの株が値下がりしているのですから、利益を得られないのは当たり前の話です。それなのに、例えば数少ない上昇トレンド銘柄に資金を集中して投資し、損失を一気に取り返そう、と考えてしまいがちです。

 また、4月のような非常に利益を得にくい状況であっても、例えばツイッターなどのSNS(交流サイト)で、すご腕トレーダーが「今月もこれだけ稼ぎました!」などと言っているのを見て、「私も同じように稼がないと!」と無理はやめるようにしてください。

 そもそもすご腕トレーダーと同じような成果を出すのが無理な話ですし、人によっては話をかなり盛っている可能性だってあります。

 損失が出ているということは、現状のマーケットで利益が得られにくい環境にあるわけです。そんな中で勝負にいっても、失敗してしまう可能性の方が高くなるのは、冷静に考えれば分かることです。頭に血がのぼったり焦ったりして、知らぬ間に勝負に向かってしまうことのないよう、十分気を付けてください。 

 個別銘柄の多くが下降トレンドになっているような時期は、物理的に値上がりが見込めないのですから、利益を上げようがありません。無理をせず、株式投資に回す資金も小さめにして、キャッシュを多めに持って変化の兆候が出るまで待つのが無難です。そして、投資に回す資金を小さくすることで、気持ちを落ち着かせることができます。

「利益を得る」から「大きな損をしない」への気持ちの切り替えが大事

 私たちが株式投資をしているのは、利益を得るためです。目的は人それぞれだとは思いますが、「利益を得るために株式投資をしている」こと自体は共通しています。

 でも、この「利益を得る」という気持ちを、どんなときでも持ち続けるべきかといえば、実はそうではありません。

「利益を得る」から、利益はあきらめて「大きな損をしないようにする」と気持ちを切り替えないといけない時期があるのです。

 例えば、株価が順調に上昇していたところ、突然急落したという状況です。

 株価が順調に上昇しているときは、「利益を得る」という気持ちでいて何ら問題ありません。「株を持っていればしっかりと利益が増えていく」時期だからです。

 ところが、株価が下落に転じると、直近で買った株は軒並み損失となりますし、もともと保有していた株も含み益があっという間に削られてしまいます。つまり、「株を持っているだけで損失が膨らむ」時期に変わったのです。

投資経験が長くなると自然に体感できるはずだが…

 筆者は長年株式投資をしていますが、ある日、突然気持ちが切り替わるということがあります。

 多くの銘柄が上昇トレンドで、実際に多額の株を保有しているようなとき、当然ながら多少の株価調整局面があります。いわゆる押し目というものです。株価が25日移動平均線より上にある範囲内での株価下落があっても、特に気にせず保有を続けます。

 ところが、株価下落が続き、保有株が軒並み25日移動平均線を割り込み、それでも株価の下落が止まらないような局面になると「ああ、だめだ」とか「多額の株を持っているのは危ない」と直感的に感じるのです。

 筆者はこれを「『利益を得る』から『大きな損をしない』への気持ちの切り替え」と呼んでいます。4月21日に年初来安値更新銘柄が200を突破した日もそれを感じました。

 実は、この気持ちの切り替えがとても大事で、要は攻めのモードから守りのモードに切り替える、利益はあきらめて多少の損失は許容するが、大きな損失だけは何としても避ける、という気持ちにシフトチェンジするのです。

 おそらく、投資経験が長くなれば直感的に「これは守り優先にしないと危ない!」と感じることができるようになるのですが、初心者・初級者の方は難しいかもしれません。

 したがって、株価の下げ始めの印である25日移動平均線割れで保有株をいったん売却しておくことを習慣づけるのがよいと思います。これを守りさえすれば、たとえ株価が大きく値下がりしたとしても、大きな損失を避けることができます。

 順調に上昇を続けていた株が突然、手のひらを返したように急落することは珍しくありませんし、バブル崩壊はまさにこのパターンです。

 今後、いつ株価が急落したとしても大きな損失を避けることができるよう、常に冷静な気持ちで判断するためメンタルを整えておきましょう。