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「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)は自動車業界に100年に1度の大変革をもたらすといわれています。日本、欧米、中国などで脱炭素の取り組みを前倒しで進める動きが強まる中、EV(電気自動車)へのシフトが想定を上回るスピードで進み始めました。EVは電池の重量が重く、航続距離延長には軽量化が必須とされます。軽量化は『化学・繊維企業』に追い風とみられ注目されます。
【ポイント1】各国の政策対応などを受けEVシフトが進む
菅内閣は成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、2050年までに温暖化ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を目指す中で、2030年台半ばにはガソリン車の新車販売ゼロを目指す方向とされます。特に、日本、欧米、中国などで脱炭素の取り組みを前倒しで進める動きが強まる中、EVへのシフトが加速し始めました。重い電池を搭載したEVの航続距離を延長するためには、車体の軽量化が欠かせず、金属製だった部品・部位の樹脂化が進み始めています。追い風を受けて『化学・繊維企業』は軽量化ニーズの取り込みを加速しています。
【ポイント2】『化学・繊維企業』は取り組みを強化
三井化学はポリプロピレンにほかの樹脂や添加剤を加えた混合材料(PPコンパウンド)で、世界2強の一角を占めます。PPコンパウンドは、耐衝撃性と剛性を向上した材料です。需要の拡大などに合わせて生産能力の増強を進め、事業強化を図る方針です。また同社は住宅の断熱材向けやEVの吸音材向けなどで高まる需要に対応して、ポリウレタン原料を増産します。設備増強などに400億円を投じ、生産能力を現在の約5割増に引き上げる方針です。
4月16日、セーレンは欧州初の生産拠点として、東欧のハンガリーに自動車資材の新工場を建設すると発表しました。投資額は55億円で、2022年12月に車の軽量化につながる素材の量産を始めます。環境規制の強い欧州で高まるEV需要を取り込みます。また炭素繊維複合材料を手がける東レや帝人もEV向け拡大を進めています。
【今後の展開】樹脂への幅広いシフトには課題
自動運転は、時間を要する見通しなのに対して、前倒しでEVへのシフトが進み始めました。炭素繊維や樹脂を加工した複合材料では国内企業の競争力は高く、軽い樹脂へのシフトは『化学・繊維企業』に強い追い風となっており、増産の動きも相次いでいます。今後金属から樹脂へのシフトが幅広く進むには、価格の引き下げなど課題もあり、『化学・繊維企業』の取り組みが注目されます。
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