今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.60

下値メドは107.55

コロナはグローバルな問題だが、インフレはローカルな問題

 27日(火曜)のドル/円は一段円安。この日は108.05円からスタートして、安値も108.05円。NY時間夕方までかけて108.78円まで上昇してこの日の高値をつけました。勢力を保ったまま終値は108.74円(前日比+0.65円)。終値108円台は2営業日連続。

「108円台後半の売り」と「107円台後半の買い」は、買い方が連勝。2営業日連続で円安優勢となっています。この流れが続くのでのしょうか。今はドル安というより円安。他通貨はドルに対して堅調です。

 円安の理由のひとつになったのが、日銀がこの日(27日)公表した展望レポートが、現日銀総裁の任期中に物価目標2%を達成できない「インフレ敗北宣言」と受け取られたこと。主要中央銀行が緩和縮小に動く気配を見せるなかで日銀は今後しばらく緩和政策を続けることがほぼ確定したようです。コロナはグローバルな問題ですがインフレはローカルな問題です。

 最近の米指標が絶好調であることは為替Walkerでも何度か触れましたが、この日の4月米消費者信頼感指数も121.7と強く、コロナ流行前の2019年の水準まで戻っています。ワクチン接種が進む米国ではCDC(米国疾病予防管理センター)が、「(一部)マスク着用を免除」と発表。一方日本のワクチン接種率は未だ1.3%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中では最下位で、世界平均の7.0%からも大きく遅れています。マーケットはワクチン接種率を理由にポンドやユーロが買っています。日本の状況は円買いには結びつきません。

 今夜、FOMC(米連邦市場委員会)が政策金利を発表します。

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、米経済が依然として強力な政策援助を必要としていると述べています。悲観しているわけではなく、むしろ慎重ながらも楽観的で、「経済がより早く成長し、雇用創出がより早く始まるところにいると感じる」と、景気急回復のとば口に立っていることを示唆しています。

 パウエル議長は、「現在の経済に対する最大リスクは、新型コロナの感染再拡大」と考えています。変異株の感染拡大は、強力な政策支援が必要というパウエル議長の考えの根拠になっています。なので、今回はタカ派のパウエル議長を期待することは難しいですが、最近の経済データに見る力強さを見ると、これからはハト派を演じることのほうが難しくなってくるでしょう。

 今回のFOMC、ここがポイント。次ページをご覧ください。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
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主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

居酒屋で大ジョッキを飲まなかった分が、エアコン買い替えの貯金になる 

※「毎ヨミ!為替Walker」は、4月29日~5月9日まで休載です。次回掲載は5月10日より再開します。

The Greatest Show

 FOMCは、今夜28日(日本時間29日早朝)に政策金利を発表し、パウエルFRB議長は記者会見を行います。

 FOMCメンバーは現在、政策に関するお喋り厳禁のブラックアウト期間中なので、何が話し合われているのか知ることはできませんが、マーケットではすでに緩和縮小の検討を開始するのではないかという憶測が広がっています。

 今回のFOMCは、ドットチャートも経済見通しの発表もありません。したがって注目は声明文の文言になります。具体的には、「(最大雇用と物価安定の目標に向けて)著しい進展が見られるまで、暫く時間がかかる」という箇所が削除されるのか、ということ。

 削除されるということは、「進展している」ことをFRBが認めることで、「緩和縮小」に向けて動き出すことを暗に意味します。 そうなれば、次回6月の会合において「インフレ率が軌道に乗っている」と宣言して緩和縮小の議論を発表するという段階に進むことが現実となってきます。

 もちろん、パウエル議長がガイダンスの中ではっきりと「緩和縮小の準備を始める」と認めることはないので、今夜は次回6月会合の伏線探しです。

 FOMC結果発表後の東京市場は昭和の日で休場。マーケットが普段より薄くなるため注意が必要。

今日のキーワード: FOMC、インフレ、緩和縮小、パウエル議長

 長期金利は「ありのままに(Let it Go)」というのがFRB(米連邦準備制度理事会)のスタンス。金利が上昇しているのは、「米国の景気見通しに対する自然な反応」であり、抑える必要はないと考えています。

 しかし、FRBはインフレに対しては慎重というか、ある意味楽観的な見方を持っています。今年の春から夏にかけてのインフレは、単に統計上の理由(実際には起きていない)か、あるいは一過性の現象にすぎない。ワクチン普及と移動制限解除で物価に一時的な上昇圧力がかかることがあっても、インフレの構造的改善までには至らない。なぜなら供給サイドが反応してある時点で需要を相殺するから。インフレは発生してもすぐ終息するとわかっているので、見せかけの兆候は一切スルー(無視)する、というのがFRBのメンバーの見解。

 しかし、インフレ率が急上昇すると、供給が追いつかないリスクもまた高まることも考えられる。中央銀行の「シナリオ」通りに経済が動いてくれるかどうかは不明。FOMCは日本時間明日早朝に、政策金利を発表します。

ドル/円:予想レンジ ↑109.37円、↓106.67円

 ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は108.02円。108.02円より上ならばドル買い優勢、108.02円より下ならばドル売り優勢。

 2021年これまでの高値は110.97円、安値は102.59円。平均値は106.78円、値幅は8.37円。
1日の最大値幅は1.03円、最小値幅は0.18円。平均値幅は0.56円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて4.59円の円安。

110.97円 : 2021年 03月 高値
110.85円 : 2021年 04月 高値
110.29円 : 2020年 01月 高値(01月17日)

109.88円 : 第4レジスタンス(HBO)
109.37円 : 第3レジスタンス

108.85円 : 第2レジスタンス 
108.69円 : 第1レジスタンス
108.20円 : 2019年 平均値 

108.02円 : ピボット

107.77円 : 2021年 61.8%
107.48円 : 2021年 04月 安値
107.34円 : 第1サポート
107.32円 : 2019年 安値
107.18円 : 第2サポート

106.78円 : 2021年 平均値  
106.70円 : 2020年 平均値 
106.67円 : 第3サポート
106.37円 : 2021年 03月 安値
106.15円 : 第4サポート(LBO)

2021年 ドル/円データ

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

※「毎ヨミ!為替Walker」は、4月29日~5月9日まで休載です。次回掲載は5月10日より再開します。