興味はあるけどよく分からない……それってもったいない!
今年の桜(ソメイヨシノ)は3月には満開、4月には散り始めるせっかちな開花でしたが、それでもやはり春の訪れはホッとします。
そしてこの時期、ぜひ実行してもらいたいことがあるとすれば「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)か、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を始めること」です。投資に興味があるなら、その一歩目を踏み出すことが大切です。
どんなに本を読んでもあなたのお金は貯まりません。しかし、口座開設をして毎月一定額の自動引き落とし設定さえすれば、お金はとにかく増え始めます。
これは、投資に限らず資産形成の王道としての「積み立て」を早期実行することがいかに大事かということです。
そうはいっても、「名前は知っているけど詳しいことはよく分からない……」と、ややこしい仕組みと手続きにためらっている人もいることでしょう。
今回は「iDeCoとNISAのこれだけは知っておきたい知識」をまとめてみたいと思います。
iDeCo編:仕組み
iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金の愛称です。
確定拠出年金には会社が実施する企業年金の一つ「企業型」と、個人が任意加入する「個人型」があり、iDeCoは後者になります。そのiDeCoの特徴をできるだけシンプルに説明すると以下のとおりです。
税制優遇がある
iDeCoへ積み立てたお金は将来自分が受け取るものでありながら、所得税や住民税の課税対象となりません。そのため、本来なら20~30%は課税されるところ、全額を自分の未来の財産とすることができます。また、運用収益もすべて非課税で丸取りできます。受け取り時に課税されるものの軽減税率となっており、税負担はゼロ、もしくはわずかで済みます。
拠出限度額がある
毎月の積立額については上限があります。現状では、企業年金のない会社員が月2.3万円、企業年金のある会社員と公務員が月1.2万円などとなっています。なお、今後は企業年金の実施状況を勘案しつつ、月2.0万円まで引き上げる予定があります。働き方によって異なるので詳しくは楽天証券のiDeCoページなど、ウェブサイトで確認してください。
運用の選択肢は投資信託と預金などがある
iDeCoについては最大35本に絞り込まれた商品リストが提示され、そこから運用の組み合わせを行います。定期預金や保険などの元本確保型の商品と、投資信託が並列しているので、投資をしないで税制優遇だけ得るような選択肢もとれます。
60歳までは解約できず老後資金として積み立てする
iDeCoの大きな特徴は、「60歳まで原則解約不可能」ということです。マネープラン上、近い時期に資金使途のある目的(住宅購入とか子の学費など)には適しません。むしろ下ろせないことをメリットと考え、「老後に2,000万円」の軍資金を作る目的で活用してみるとよいでしょう。また60歳まで何度利益確定しても非課税投資が続けられる、と考えればこれもメリットといえます。
一人1口座しか作れない
iDeCo口座は国民一人1口座しか作れません。口座を開設する金融機関を一つ選ぶことになります(運営管理機関という)。夫婦が各1口座、持つことは可能です。
口座管理手数料がかかる
制度の実施主体である国民年金基金連合会、資産を預かる信託銀行、運営管理機関が口座管理手数料を取ります。運営管理機関については楽天証券のように「ゼロ円」としているところもあります。ただし、所得税や住民税の軽減効果を考えれば、稼ぎのある人は基本的に手数料を上回るメリットがあります。
iDeCo編:始める手続き
iDeCoは「取り扱い金融機関(運営管理機関)」を決めて、「掛金を引き落とす銀行口座」が指定できれば開設できます。
金融機関で随時、iDeCo加入を受け付けています。申し込みの資料と基本的な投資教育の資料が送付されてきたら、申し込みの手続きを行います。
今までは紙の申込書に記入する手続きのみでしたが、2021年に入ってから、それ以外でも行えるようになってきており、楽天証券などはウェブサイト経由で申し込みを完結させられるようになっています。
このとき、必要になる情報は、「基礎年金番号」と「企業年金の実施状況に関する確認書類」があります。後者がちょっと面倒で、会社員の場合、働き方によって掛金の限度額が変わることから、会社の証明印が必要で、必須となっています。将来的には省略される予定ですが、面倒でも会社の総務部などに書類を提出し、必要事項に記入、押印を受けてください。
NISA編:仕組み
NISA(ニーサ)とは少額投資非課税制度の略です。NISAも個人が長期投資を行う場合に、税制優遇を与える仕組みです。
2種類のNISAがある
NISAは一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。
一般NISAは最大5年目の年末まで非課税投資ができ、つみたてNISAは最大20年目の年末まで非課税投資ができます。投資額の上限は一般NISAが年120万円まで、つみたてNISAは年40万円までとなります(累計額で見ると、一般NISAが最大600万円、つみたてNISAは最大800万円)。
税制優遇がある
NISAについては運用益非課税というメリットがあります。通常、株式や投資信託の運用収益には20.315%が課税されますから、これを引かれずに済むことは大きなメリットです。ただし、利益確定のためNISA口座の投資商品を売却した場合、その分のNISAでの運用は終了します(証券口座に入金される)。
選択肢は投資商品のみ
NISAは証券税制の仕組みなので、投資商品のみが対象です。
一般NISAは投資信託や個別株など広く対象としていますが、つみたてNISAは定期積み立てを長期で行える低コストの投資信託に対象が制限されています。とはいえ、合理的な商品の絞り込みがすでに行われていると考えればいいでしょう。
一人1口座開設できる
NISAを活用して投資をする場合、専用の口座が必要です。口座は1年ごと(暦年)に一人1口座分の開設ができます。
一般NISAとつみたてNISAは同じ年に同時開設できませんので、いずれかを選択することになります。といっても年単位で管理されているので「2021年のNISA口座一つ」「2022年のNISA口座一つ」というふうに開設し、それぞれ満期期間まで管理されます。夫婦で各一つずつ開設することもできます。
NISA編:始める手続き
NISA口座は基本的に証券口座の開設とセットで行われます。投資資金の移動があることなどが理由ですが、NISA口座と通常の証券口座とは一体として証券会社のウェブサイトなどで残高がチェックできるため、使ってみると便利な仕組みです。
NISA口座の開設手続きでは、マイナンバーの登録が必須です。これにより運用益の非課税についてあらかじめ了解を得ることで、売却時に確定申告が不要となります。
つみたてNISAで投資を行う場合には、定期的な引き落としを行う銀行口座情報もあらかじめ必要になります。つみたてNISA口座開設後は、定期積み立てする投資信託ごとの定期購入額について指示をして、積立投資がスタートします。
思い立ったが吉日!まずは申し込みをしてみよう
さて、最低限度、これだけは知っておいてほしいというポイントを凝縮してまとめてみました。それぞれ口座開設に当たっての説明ページがあります(楽天証券の場合だと、ショートムービーで説明してくれるコーナーもあります)。
iDeCoもNISAも、各社が商品ラインアップを競い合っていますので、比較サイトを活用しながら納得のいくパートナーを見つけてみてください。
こういう口座開設作業は「思い立ったら吉日」です。このコラムを読み終えて一度ブラウザを閉じてしまったら、おそらく何カ月も資料請求をしないままになってしまうことでしょう。
iDeCoの所得控除は強力な節税ですが、過去にさかのぼって回収することができません。早く始めた人ほどたくさん節税し、その分を老後に備える財産に変えることができます。
この時期に「NISAやiDeCo、やってみようかな」と思っている人はぜひ、口座開設の申し込みをやってみてください。
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