今週の予想

2万9,000円前後を中心に2万8,500~2万9,500円のレンジを想定

 今週は、先週の急落後のいったんの反発を受け、2万9,000円前後で様子見となりそうです。この状況の中で、日米の金融政策を議論する会合が開かれ、また、国内企業の3月期決算発表が本格化します。

 27日に日銀金融政策決定会合、27~28日にFOMC(米連邦公開市場委員会)があります。FOMCではこれまでと同じように大規模金融政策を継続する方針とみられ、投資家には安心感が広がり、株式にも堅調な動きが期待できます。

 一方、日本銀行には気になる動きがあると持論する市場関係者がいます。それは、日銀は4月に国債の購入を減額させており、先週の大きな下げでも21日に701億円ETF(上場投資信託)を購入しただけで、相場を支える動きではありませんでした。

 市場関係者の間では、「日銀は金融緩和縮小に動いている」という認識が広まっているということです。新型コロナウイルスの感染拡大で景気低迷が続く日本の株式市場にとって日銀の金融緩和縮小が事実であれば痛手となります。もちろん、日銀は否定するでしょうが、カナダ中銀は来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆しており、日米欧協調による金融緩和も終わりに近づいているということかもしれません。

 チャートの動きから見ると、先週は、日足での三角保ち合いを下放れし、75日移動平均線を切って2万8,419円まで下落。その後、22日に679円高の2万9,188円と大きく反発して、75日移動平均線を回復しました。しかし、割り込んだ25日移動平均線(22日時点2万9,409円)を下回っています。少なくともここを突破しなければ、3万円台は時間がかかることになります。

 今回は、連休に向けての上昇という過去の経験則は難しくなったかもしれません。特にこれまでの新型コロナウイルスから、感染力が2倍という統計もある変異株N501Yに置き換わりつつあり、感染拡大第4波の収束が早期に実現できるか、疑問になっています。

 投資は慎重なスタンスが必要ですが、コロナ禍の中でビジネスチャンスが生まれ、業績を伸ばす企業も出現してくるので、注意深く銘柄を選んで投資すべきでしょう。

 今週の日経平均は、2万9,000円前後を中心に2万8,500~2万9,500円のレンジが基本といえます。

今週の指標:日経平均株価

 先週の日経平均は悪材料が重なって、20日、21日と2日間で約1,200円下落。22日は反動で+679円の2万9,188円と大きく反発して、75日移動平均線(22日時点2万9,144円)をいったん回復しました。しかし、すぐ上に25日移動平均線(22日時点2万9,409円)があり、これを突破しなければ3万円台回復には時間がかかります。当面は米国株式がサポートになるものの、日経平均は2万9,000円前後でのもみ合いが続き、3度目の「緊急事態宣言」の結果を確認する動きとなりそうです。レンジは2万8,500~2万9,500円が想定されます。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週は、ハイテク株の決算に注目が集まりそうです。それ以外に28日にバイデン米大統領の就任後、初めての議会演説があり、インフラ計画や気候変動対策に加えて、キャピタルゲイン課税への言及もあるかもしれません。まだ現在のところ、大量の失業者がいる中で増税をすぐに推し進めるとは考えにくく、直近は良好な企業決算や景気回復期待を背景に相場の上昇が継続すると考えられます。

今週の指標:ドル/円

景気回復期待でドル売り縮小

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、4月27~28日にFOMCを開催し、現行の金融政策の維持を決定する見通しです。金融緩和政策の長期化への思惑は消えていないので、ドルの反発を抑える要因となります。また、28日予定のバイデン大統領の演説で増税計画について話すとみられているので、ドル買いを抑制することになりそうです。

先週の結果

大阪、東京の「緊急事態宣言」や米株安を受け、一時2万8,500円割れの場面も

 先週の予測では、新型コロナ感染再拡大を受け、「まん延防止等重点措置」の対象が広がり、さらに大阪府、東京都などに「緊急事態宣言」の発令が出るようだと、いったん大きく下落し買い場へ向かうとしました。

 チャート(柴田罫線)の下げ型を見ると、2月16日の3万714円、3月18日の3万485円、4月6日の3万208円と順次アタマを低くする順下げの三尊天井の型となっています。また、日足で見ると4月6日の3万208円を上値、75日移動平均線(16日時点2万9,045円)を下値とする三角保ち合いとなっており、この中で25日移動平均線(16日時点2万9,542円)近辺で煮詰まっています。ここで25日移動平均線を切って下放れとなると、75日移動平均線の2万9,000円台が次の下値ポイントとなり、ここを切るとさらに下放れとなって調整が長引くことになります。

 結果的には、20日(火)に大阪府が週内にも「緊急事態宣言」要請の見通しと報道され、2万9,500円台の保ち合いを下放れし、▲584円の2万9,100円と次の下値まで一気に下がってきました。

 さらに21日(水)は、欧米株安で売り先行の中を全面安で一気に2万8,419円まで下げてきました。しかし、3月5日の2万8,308円、24日の2万8,379円を下回らず踏みとどまり、週末は2万9,020円と2万9,000円を守って引けました。

 結局、先週は新型コロナ感染の再拡大から大阪、東京などに「緊急事態宣言」の発令の可能性が高まり、日本経済への警戒感から株が売られました。また、米国株がFRBによる金融緩和を段階的に縮小する観測が浮上し、またバイデン大統領の富裕層へのキャピタルゲイン課税の強化が伝わり下落となりました。さらに、ドル高一服となって円がジリ高となったことも悪材料となり、21日(水)には一気に75日移動平均線を下に切りましたが、上述したように3月の安値を割り込まず、週末は2万9,020円で引けました。

 ただし、日経平均の日足での三角保ち合いは、75日移動平均線(22日時点2万9,144円)を下放れしたままです。

 週末23日の米国市場は、バイデン大統領の富裕層へのキャピタルゲイン課税は、共和党の反対などで実現性は低いとの見方から米国株式は大きく買い戻され、S&P500種株価指数は1週間ぶりの史上最高値更新となっています。シカゴの日経先物は+245円の2万9,215円でした。