ここまでの4月相場はおおむねドルのシーズナリーチャート通り
4月も終わりに近づき、この先の日本はゴールデンウイーク相場を迎えることになるが、4月のドル相場はおおむねドルインデックスのシーズナリーチャート通りの動きとなっている。1~3月はドル高、4月はドル安、5月はその揺り戻しというやや複雑な季節にこれから入っていく。
ドルインデックス先物のシーズナリーチャート
ユーロ/ドル(日足)
ドル/円(日足)
4月のドル安に反応して、昨年の4月以降は下落基調となっていたゴールドも、久々に買いシグナルが点灯している。
ゴールドCFD(日足)
黄金の180日間が終わると大きな買い場は秋以降⁉
株式相場は「10月末に買って翌年4月末に売る」という、いわゆる「ハロウィーンルール」という半年間投資のアノマリーが有名だが、この黄金の半年間投資は4月末で終わりである。
NYダウのシーズナリーチャート(過去20年の平均)
NYダウCFD(日足)
日経平均のシーズナリーチャート(過去20年の平均)
日経平均CFD(日足)
シーズナリーサイクルから言えば、5月から10月半ばまでの半年間は、株式相場は横ばいのレンジ相場か下げ相場が到来する可能性が高まる。この期間の売買はポジションを縮小して、トレーディングベースで臨むのがよいだろう。シーズナリーサイクルだけに限定すれば、次の大きな株式の買い場は10月末から11月の頭になる。そこから年末まで大きく上げるというのが近年の相場だ。それは株と同じような動きをする豪ドル/円やNZドル/円相場も同じである。
2021年はブラックスワンの年か⁉
「ブラックスワン」とは、「予測不可能で、可能性が低く、影響が大きい出来事」と定義するのが最も適切だ。地震のような平凡な自然災害も含まれるが、より一般的には、予測不可能な経済・金融・政治上の災害と理解されている。
GnS Economicsというサイトを運営しているトーマス・マリネンが、「2021年はブラックスワンの年か」というコラムを書いている。以下はその抜粋である。
ブラックスワン現象は予測不可能だが、それに至るまでのトレンドを観察できることが多く、2012年にGnS Economicsを立ち上げたときからそのようなプロセスを目指している。例えば、最近では火山の圧力の上昇を観察することができるようになった。これは当然、噴火を保証するものではないが、噴火の可能性を示唆するものだ。
潜在的なブラックスワンの発生に寄与する最も憂慮すべき傾向の一つは、2017年から警告してきた世界経済の脆弱性の高まりだ。最近では、世界各国の政府や中央銀行のロックダウンや無分別な「支援政策」によって、世界経済の脆弱性が悪化している。
これにより、世界の企業のゾンビ化は加速し、内在する資産バブルは拡大を続け、今やインフレ・ショックが待ち受けている。これらにより、経済の「噴火」の可能性が高まっている。しかし、政治的なショックも近づいているかもしれない。
現代の政治が、この複雑な経済政策の問題を理解し、正しく対処することができなかったことが、この混乱に陥った主な理由の一つである。
政治の(長い)失敗
政府による経済運営でのひどい失策の跡は、長くて残念なものだ。最近の不始末の出発点を1984年にさかのぼることができる。
1984年当時、米国第7位の商業銀行であったコンチネンタル・イリノイ・ナショナル・バンク・アンド・トラスト社が連邦政府の救済を受けたとき、金融システムにモラルハザードの種が導入された。銀行の株主は一掃されたが、連邦準備制度と連邦預金保険公社(FDIC)が、事実上すべての預金口座と債券保有者の損失をカバーした。銀行は再建され、コンチネンタル・バンクと改称されたが、最終的には1994年にバンク・オブ・アメリカに買収された。
コンチネンタル・イリノイ社の救済は、「大きすぎて潰せない」という言葉を生み出し、モラルハザードを助長し、経営不振の銀行を支え、あらゆる種類の経済的歪みを引き起こす方向へと世界を導いたのだ。また、金融機関を中心とした経営難に陥った企業を救済する政策にも拍車がかかった。
もう一つの決定的な出来事は、1987年10月19日に米国の株式市場が20%を超える大暴落を起こしたことである。この暴落は、現在でも1回の取引での史上最高記録である。このとき、FRB議長に就任したばかりのアラン・グリーンスパンは、低金利、豊富な流動性、市場の勢いを背景にマーケットを上昇させ、その後の混乱を収拾するという政策方針を打ち出した。この戦略は、コンチネンタル・イリノイの半救済に始まる一連の銀行救済と相まって、市場の損失の社会化の基調となった。
1987年10月のグリーンスパンによる運命的な決定は、このようにしてFRBと他の中央銀行が過去43年間にわたって市場救済措置を繰り返してきた道筋を作ったのであり、それは今や期待される政策対応となっている。
「重心」に位置するセントラル・バンカー
問題は、このような中央銀行の積極的な政策を、金融市場や銀行部門がどこまで許容できるか、そして政治家がこのプロセスをどこまで許容するかということだ。
多くの中央銀行アナリストが主張するように、中央銀行による市場への介入には理論的な限界があるということだ。しかし、それはどこにあるのか。同様に重要なのは、中央銀行自身がこの限界をどのように認識するかということである。
すべては未知数だが、中央銀行がリスク資産のすべてを買おうとしないことはほぼ確実であり、我々もそう思う。つまり、ある時点で彼らは「タオルを投げ出す」ことを余儀なくされるのだ。
急激なインフレの出現は、中央銀行が金融市場の混乱に対応する能力を制限する新たなショックとなるだろう。中央銀行が利上げを余儀なくされた場合、資産・債券市場や銀行セクターが容易にクラッシュする可能性がある。
彼らはそれを知っている。彼らはどうするのか?
大地震が近づいている?
私たちは、1913年に連邦準備制度が創設されたときに敷かれた道の終わりに到達しているのかもしれない。
なぜなら、急激なインフレが発生すれば、中央銀行は利上げを余儀なくされ、さもなければ暴走したインフレと通貨の暴落のリスクを負うことになり、その結果、過剰なレバレッジをかけた世界の金融システムが崩壊する可能性が高いからである。いずれにしても、大規模な危機が起こることはほぼ確実であり、中央銀行が危機の前提条件を作ったことが容易に証明されるため、現代の中央銀行の破滅を告げることになるだろう。
また、政治システムも脆弱だ。
もし欧州で復興基金が承認されなければ、ユーロ圏の崩壊が突然始まるかもしれない。米国の政治状況は、「不穏な静けさ」と言った方がいいかもしれない。バイデン政権は、脆弱性を抱えたシステムを管理しているが、時間が経てば経つほど影響が大きくなる脆弱性の原因に対処しようとしない、あるいは対処できないでいる。
残念ながら、今年は数十年に一度の政治的、経済的な大地震が起こるかもしれない。したがって、2021年は「ブラックスワン」の年になるかもしれない。
出所:ゼロヘッジ
筆者は、ブラックスワンの到来は来年ではないかと思っている。米国のバブルゲージのパーセンタイルはまだ100%を記録していないからだ。バブルの崩壊は時間の問題ではあるが、相場が国家管理となっている現在、それがいつ到来するのかはわからない。しかし、今は長期投資をする時期ではないだろう。
米国のバブルゲージのパーセンタイル
4月21日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』
4月21日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』は、永倉弘昭さん(常務執行役員 FX 事業部長)をゲストにお招きして、「2021年はブラックスワンの年か?」・「ゴールデンウイークと円高」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
4月21日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
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