高まる天然ガスの重要性
英石油大手BPが発表した「BPスタティスティカル・レビュー2020年版」によれば、世界の1次エネルギー消費に占める天然ガスの割合は24%で、石油の次に重要です。
世界の1次エネルギー消費シェア
いま世界各国は地球温暖化ガスの抑制に取り組んでおり、化石燃料への依存を減らし、リニューアブル(再生可能)エネルギーへと移行しようと試みています。
しかし、上図の割合からも分かるとおり、ソーラーに代表されるリニューアブルへ、一足飛びに代替されることは困難です。
そのため、当面の方策としては、リニューアブルに注力する一方で、最も環境に悪い燃料である石炭を、比較的クリーンな天然ガスに置き換えることで地球温暖化ガスの抑制を促進することが必要になります。
天然ガスの出荷はどうしているのか
天然ガスは扱いにくいコモディティー(商品)で、その運搬には、伝統的にパイプラインが使われてきました。陸続きなら外国への輸出も可能です。実際、ロシアは近隣諸国にパイプラインで天然ガスを輸出してきました。
しかし国によっては、豪州のようにたくさん天然ガスが採れても、パイプラインでは輸出できない国もあります。この場合、天然ガスを一度液化して体積を小さくし、LNG(液化天然ガス)船に積んで輸出し、消費地で再び気化する手法が取られます。
この手法を使えば、遠い国にも天然ガスを安定的に供給することができます。これが、LNGが伸びている理由です。
天然ガスの輸出量推移
LNGの主な輸入国は?
主なLNG輸入国は日本、中国、韓国、インドです。特に中国とインドの伸びが著しいです。
主なLNG輸入国
従ってLNGの成長ストーリーは、突き詰めれば中国やインドがいま火力発電所で使用している石炭を、天然ガスに置き換えるストーリーであるといえます。
LNGに関連する企業は?
LNGの輸出実績の大きさは、ロイヤルダッチシェル(RDS.B)、シェニエール・エナジー(LNG)、エクソンモービル(XOM)、トタール(TOT)、シェブロン(CVX)の順です。
ただ、シェニエール・エナジーを除く他の会社は、主なビジネスが石油なので株価は必ずしもLNGの材料で動くとは限りません。LNGの液化、運搬、再ガス化に特化した企業ではゴラールLNG(GLNG)とニュー・フォートレス・エナジー(NFE)があります。
ゴラールLNGはオフショアの作業船上で海底から採り出した天然ガスを液化し、それをLNGタンカーで輸出、消費地で再ガス化を船上で行うという革新的な技術で天然ガスを運搬しています。
ニュー・フォートレス・エナジーも同様のことをやっていますが、プエルトリコ、ジャマイカ、ブラジル、メキシコなどニッチ市場へのエネルギーの提供に特化しています。
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