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消費者物価指数予測:4月から6月まで3%以上、コア指数は4月から7月まで2%以上
4月13日に発表された3月の米国消費者物価指数は、前年同月比で+2.6%と目安である2%を超えてきました。日米欧の中央銀行の大規模金融緩和は続いていて、米国においては1.9兆ドルの新型コロナウイルス追加経済対策も既に動き始めています。このような中、米国におけるインフレ懸念の声は日増しに高まってきています。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、4月14日にテーパリング(量的緩和策における金融資産の買い入れの段階的縮小)について、「利上げの検討時期よりもかなり前になる可能性が高い」とコメントしました。これまで、物価上昇については「一時的」、テーパリングについては「時期尚早」と発言していたので、マーケットに対して少しずつテーパリングを意識させるようにしているのか、発言にも変化が感じられる状況となっています。
米国の物価動向については4月の値がいよいよ3%台かと注目が高まっています。このため、米国の消費者物価指数とPCEデフレータについて、足もとの数値から今後の予測をしていきたいと思います。
まず、消費者物価指数についてみていきましょう。直近の2021年3月の数値は前年同月比+2.6%と2%を超える値に、コア指数は+1.6%となっています。
米国消費者物価の推移(2019年1月~2021年3月)
今後の予測をする上ではコロナウイルス感染症の影響を低減させるために、食品・エネルギーを除いたコア指数の1年前の値である+2.1%と直近値である+1.6%の平均値の+1.85%で上昇していくものと仮定します。また、本来であれば季節調整をすべきですが、ここでは季節調整はしないものとします。
今後の予測は次のようになります。
消費者物価指数は4月から6月まで3%台を付ける値となっています。7月、8月も2%台後半の値となっていますが、一方で、コア指数のほうは8月には2%を切る値となっています。
PCEデフレータ予測:4月から7月まで2%以上、コア指数は4月、5月に2%以上
次に、FRBがより重視していると言われているPCEデフレータをみていきましょう。直近の2021年2月の数値は前年同月比+1.6%、コア指数で+1.4%となっています。
米国PCEデフレータの推移(2019年1月~2021年2月)
今後の予測においては、コア指数の1年前の値である+1.7%と直近値の+1.4%の平均値の+1.55%で上昇していくものと仮定します。また、季節調整はしないものとします。
PCEデフレータは4月から7月まで2%以上ですが、8月には2%を切る値に、コア指数も6月以降は2%を切る値となっています。
予測値をみると、食品やエネルギーを加えた総合指数、特に消費者物価指数は大きく上昇しますが、FRBが重視するコア指数のほうは2%を十分に超える値が続くとは言えない状況にあります。これは、コア指数において大きな割合を占める家賃がコロナウイルス感染症の影響で1年前と比較して上がっていないことが大きな要因となっています。
ただし、足もとではS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)の1月の値が+11.1%となるなど、住宅価格は上昇ピッチを速めています。このことが今後、家賃の上昇につながり、コア指数の前年比での上昇に効いてくるかもしれません。
商品指数は4月に入って再度上昇、3月の生産者物価指数は前月比+1.0%
消費者物価指数の先行指数と言われている商品指数と米国生産者物価指数についてもみていきましょう。
ダウ・ジョーンズ・コモディティ指数の推移(2019年1月~2021年4月)
商品指数は3月に調整をしていましたが、4月に入って再度上昇に転じてきています。
米国生産者物価の推移(2019年1月~2021年3月)
生産者物価指数の3月の値は、前月比+1.0%、前年比+4.2%と大幅に上昇しているので、今後の消費者物価指数、PCEデフレータの値は、前述の予測値よりも一段高い数値になるのではと思います。
ここ半年を振り返ると、昨年11月あたりから商品指数が上昇ピッチを速め、本年1月から生産者物価指数の上昇が顕著になり、3月には消費者物価指数も2%を超える値となりました。物価上昇は川上→川中→川下と移っていくため、この先の消費者物価が継続して上昇するか否かは、川上にあたる商品指数が継続して上昇するかどうかが鍵を握っていると私はみています。
いずれにしても、FRBのテーパリング、利上げの時期をみる上で、物価の動向は最重要項目でもあるので、川上の商品指数、川中の生産者物価指数、川下の消費者物価指数のいずれについても引き続き注視していきたいと考えています。
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