今週の予想

新型コロナ感染拡大の影響を受け、いったん下落すれば買い場へ

 今週も引き続き、日経平均は新型コロナウイルス感染拡大の影響が重しとなりそうです。

 米国株式が史上最高値を更新し続けているにもかかわらず、2週続けて日本株式が軟調です。この理由は、新型コロナ感染拡大が続くことで「まん延防止措置」の対象が広がり、日本経済に影響を及ぼすことになり、それを織り込んでいるということでしょう。

 今週も埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県が追加されることになり、大阪府は緊急事態宣言の発令が検討されています。

 柴田罫線のチャートの型を見ると、2月16日の3万714円、3月18日の3万485円、4月6日の3万208円と順次アタマを低くしており、目先の日経平均のチャートでは、4月6日の3万208円を上値、75日移動平均線(16日時点2万9,045円)を下値とした三角形で、25日移動平均線(16日時点2万9,542円)近辺で保ち合いが煮詰まっているところです。

 ここでは、25日移動平均線を終値で切ると2万9,000円に向かって下放れとなります。可能性としては低いと思いますが、2万9,000円を割る下放れとなると調整が長引くことになります。

 しかし、国内的には米国や中国向けに輸出が回復しており、過剰流動性の地合いも変わりません。このもみ合いはテクニカルの過熱感を冷やしている(スピード調整)とすれば、4月6日の3万208円を終値で抜けてくると上放れとなって、5月連休に向けての「株高」というアノマリー(経験則)が実現することになります。

 どちらになるかは新型コロナの感染拡大により、まん延防止措置の対象地域がさらに拡大すれば、投資家心理を冷やすことになりそうです。とはいっても新型コロナ感染は、コロナワクチンの接種が進んでいけば解決することですので、株価が大きく下がれば買いチャンスとなります。

今週の指標:日経平均株価

 目先の株価は新型コロナ感染拡大で、チャートからはいったん下放れも想定されるようになってきています。前述したように、2月16日の3万714円をピークにアタマを重くしており、現在、もみ合いが25日移動平均線を下値に続いています。

 この25日移動平均線(16日時点2万9,542円)を終値で切ると下放れとなって、75日移動平均線(16日時点2万9,045円)がサポートラインになりますが、ここを切ると当面、調整入りとなります。

 一方、新型コロナ感染第4波の拡大が限定的であれば、過剰流動性の地合いは変わらないので、米国株式に遅れて反応し、3万208円を上に抜ければ逆に上放れとなります。

今週の指標:NYダウ平均株価

 今週も引き続き、経済活動の再開を背景とした景気回復期待や企業の好決算が相場を押し上げることになりそうです。

 ジョンソン&ジョンソンのコロナワクチン接種が中断しているにもかかわらず、政府は全米国民分のワクチンが確保されていることを確認済みで、夏に向けて経済活動の再開に拍車がかかると思われます。1-3月期GDP(国内総生産)が5%近くの成長を示唆しており、相場の上昇を後押ししそうです。

今週の指標:ドル/円

コロナワクチン接種に不透明感はあるが、ドルは下げ渋りか

 FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の長期継続観測は後退していないことや、ワクチン接種について有効性や安全性の不透明感が広がり、リスク回避の円買いが観測されています。しかし、ユーロ、英ポンド、豪ドルではドル売りは大きく広がっていないため、ドル売り・円買いが強まる可能性は浮上しないとみられています。

先週の結果

先週の日経平均は、新型コロナ第4波を受け、NYダウの堅調さにも連動せず

 先週の予測では、4月下旬の3月期本決算発表前に、3万円台回復となるかに注目とし、その場合、これまで米株式に連動して上昇してきた日経平均が、前週は米株上昇に連動せず、下落となっているため、米株式の上昇に連動しなければ調整が長引くことになるとしました。その背景は、日本国内で第4波感染拡大を見せているということです。

 これを踏まえて、予想レンジを2万9,500~3万500円としましたが、3万円は突破できず、コロナ感染拡大に影響され2万9,500~2万9,900円の中の動きとなりました。

 12日(月)は、前週末の米株式の上昇を受けて+106円の2万9,874円と高寄りした後は、期待されていた安川電機の決算が予想に届かず、決算発表後、急落。一時▲154円の2万9,613円まで下げ、午後も「企業決算を見極めたいムード」となり、終値は▲229円の2万9,538円で引けました。 

 13日(火)は、前日の米株式は主要3指標とも小幅安でしたが、時間外での米株先物が堅調だったことで、日経平均は+66円の2万9,605円で寄り付き、一時+359円の2万9,897円まで上昇しました。しかし、後場になると伸び悩みましたが、終値は+212円の2万9,751円と大幅反発しました。 

 14日(水)は、前日の米株式でNYダウは続落するものの、S&P500種株価指数は最高値更新、ナスダック総合株価指数は大幅高となりましたが、寄り前発表の2月機械受注が予想を大きく下回ったことで、日経平均は一時▲184円の2万9,567円まで下落。多少下げ幅を縮小するものの、上値は重く終値は▲130円の2万9,620円でした。 

 15日(木)は、前日の米国株式がマチマチの動きで材料もなく、日経平均は▲47円の2万9,573円と売り先行で始まるものの、株価先物に断続的な買いが入って、一時+166円の2万9,787円まで上昇。しかし、後場はこう着状態となって方向感に欠ける展開となり、売買代金が減少する中で上げ幅を縮小して+21円の2万9,642円と小反発で終わりました。 

 この日の引け後の米国市場は、3月小売売上高が予想を大きく上回り、新規失業保険申請件数も減少し、長期金利の低下を受けて、NYダウは3万4,000ドルを突破し、S&P500は連日の史上最高値更新となり、ナスダックも最高値更新まで1%未満のところへきました。 

 16日(金)の日本市場は、前週末と同様に米株式の上昇に対して反応せず、米株式の上昇に連動しにくくなっていることを示しました。これは、日本国内で第4波の新型コロナ感染拡大を日本経済へ影響を織り込んでいるためだと思われます。+146円の2万9,789円と高寄りした後は、一時マイナス圏に沈み、落ち直すものの上値は重く、+40円の2万9,683円と小幅続伸で引けました。

 引け後の米国市場では、市場予想を上回る決算発表や経済指標の改善を受けて、さらに景気回復期待が高まって、NYダウは3日続伸し、S&Pとともに連日の史上最高値更新となり、ナスダックも最高値更新まで、あとわずかのところへきています。シカゴの日経先物は+65円の2万9,795円でした。