「IPO」とは?
株式投資をしている人であれば、おそらく聞いたことがあるであろう「IPO」。
でも実は、IPOが何であるか、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。
IPOは、「Initial Public Offering」の頭文字を取ったもので、日本語では「新規公開株式」といいます。
新規公開株式は、証券取引所に上場していない会社が新たに上場する際に、投資家に対して発行したり売り出したりする株式のことです。
IPOは、利益を得られる可能性が高い一方、実際に個人投資家が入手できる株式数は限られているので、通常は抽選により配分されます。
IPO株の申し込み方法は?
私たち個人投資家がIPO株を手に入れるためには、このIPOの抽選に当選しなければなりません。では、IPOにはどのように申し込めばよいのでしょうか。
まずは、ブックビルディングというものに参加をする必要があります。これが、「私はこのIPOが欲しいです」という意思表示になります。
ブックビルディングの後、購入の申し込みをします。ブックビルディングに参加するだけではなく、購入申し込みを忘れないようにしてください。ブックビルディングだけでは購入の抽選を受けることはできませんので注意しましょう。
そして、見事抽選に当選したら、IPOを取得することができます。
IPOの申し込み手順については、参考に楽天証券ウェブサイトも併せてチェックしてみてください。
IPOの結果、実際は?
たとえば、2021年4月1日~9日に実施されたIPOの結果は以下のとおりです。
銘柄(証券コード) | 公募価格(円) | 初値(円) | 上昇率(倍) |
---|---|---|---|
オキサイド(6521) | 2,800 | 6,540 | 2.3 |
セルム(7367) | 1,280 | 1,502 | 1.2 |
表示灯(7368) | 2,000 | 2,673 | 1.3 |
ファブリカコミュニケーションズ(4193) | 6,000 | 6,900 | 1.2 |
アイスコ(7698) | 2,000 | 2,900 | 1.5 |
これを見ると、軒並み公募価格に比べて初値が上昇していることが分かります。
2021年4月9日までのトータルでも、25件のIPO中、全ての初値が公募価格超えとなりました。中には初値が公募価格の3倍、4倍以上になったものもあります。
IPOは初値で売れば勝率9割だが…
このように、抽選に当選してIPOを入手した場合、実に9割以上の確率で、初値が公募価格を上回ります。利益を得られる可能性が極めて高いといえます。
そのため、IPOを入手した人は、初値で売るというのがセオリーとなっています。
では、IPOを入手した後、初値で売らずに持ち続けるという選択肢はないのでしょうか。
IPOにより新規上場した後の株価の動きは、銘柄によりまちまちです。初値を付けた後も上昇を続ける銘柄もありますが、初値を付けてから株価が下落してしまう銘柄の方が多いのです。
例えば公募価格3,000円で100株当選、初値が5,000円、1カ月後の株価が4,000円とすると、初値で売却した方が、1カ月後に売却するより有利となります。
実際、これまで2021年中に新規上場したIPO25銘柄につき、初値と4月9日の終値とを比べた結果、実に17の銘柄が初値を下回っています。2月に新規上場した銘柄に限れば、実に7銘柄中6銘柄が初値を下回っていて、中には初値から40%以上下落しているものもあるのです。
今はマーケットの環境も悪くないので、2021年中のIPO銘柄で公募価格を割り込んでいるものはありませんが、今後銘柄によっては公募価格さえも割り込んでしまう可能性も十分にあります。
こうした理由から、公募株に当選した人は、「初値を付けた後の値上がりの期待」よりも「初値を付けた後の値下がりのリスク」を回避して利益をしっかりと確保するため、初値で売却しているケースが多いのです。
IPOの実際と注意点は
利益を得られる可能性が極めて高いIPOですが、注意しておくべき点もあります。
まず、IPOは小さいリスクで大きなリターンが期待できることから、非常に人気が高いです。IPOの抽選に申し込んでも、ほとんどが外れます。ですから、あまりIPOに過大な期待を抱かないようにしましょう。
購入資金が拘束される
こうした事情から、少しでも当選確率を高めるため、いくつもの証券会社にIPO抽選の申し込みをする方もいるようです。
もちろん、これにより当選確率はアップしますが、このとき注意しなければならないのが、購入資金が拘束されるという点です。
証券会社により、購入資金が拘束されるタイミングが異なりますが、例えばブックビルディング申込時や抽選時に資金拘束される証券会社3社に申し込みをすると、抽選に当選する・しないにかかわらず、購入価格の3倍の資金を準備しなければならなくなります。
参加・申し込みの手間がかかる
また、複数の証券会社に申し込むとなると、事前に口座を開設しておく必要や、ブックビルディング参加・購入申し込みをそれぞれにおいて行う必要があるなど、結構な手間がかかります。
筆者の個人投資家仲間でIPOに何度も当選している人がいますが、その人いわく「投資の利益というよりは作業料をもらっているようなもの」と言っていて、筆者も「なるほど」と思いました。
IPOはローリスク、ハイリターンという夢のような投資対象であることは事実です。でも、当選確率を上げて利益を得るためには、その裏でまめな努力が必要なのです。
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