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 商品・サービスの価格表示が4月から、原則として消費税込みの総額に統一されました。これまで税抜きの本体価格で表示してきた企業が多く、消費者が、値上がりしたような感覚になり、心理的に買い控えを招かないか懸念されています。『総額表示』に対して消費関連企業の対応は実質的に値下げ、値上げ、価格据え置きなど分かれています。価格設定の巧拙は企業の業績に大きく影響するため、その対応が注目されます。

【ポイント1】4月より『総額表示』義務化

 4月1日から商品・サービスの価格表示で税抜き価格、消費税額併記は可能ですが、消費税を含めた支払額である『総額表示』が義務化されました。『総額表示』は顧客がわかりやすい反面、税抜きの本体価格に慣れた消費者が、値上がりしたように感じて、買い控えを招かないか懸念されています。

 この義務化に対して、値下げ、値上げ、据え置きなど外食や小売りなどの企業の対応は分かれています。価格設定は今後の業績に大きく影響を与えるため、『総額表示』での企業の価格戦略が注目されます。

【ポイント2】『総額表示』への対応分かれる

 

 ファーストリテイリングは3月4日に「ユニクロ」、「ジーユー」ブランドについて、3月12日から、すべての商品価格を『総額表示』に変更し、これまでの商品本体価格を、そのまま消費税込みの価格にすることを発表しました。約9%の値下げをしたことになります。売り上げが他社比好調の中でのこの決定には驚きの声が上がっており、ここでライバル企業を引き離すためとみられています。

 一方、外食産業は税引き価格しか提示していなかった企業が多く、新型コロナで打撃を受け値下げも難しく対応に苦慮しています。価格表示を工夫して据え置いたり、モスフードサービスやトリドールホールディングスが運営する「丸亀製麺」などは一部商品を値上げして、足元の原材料価格のコスト上昇分などを転嫁する動きもあります。

【今後の展開】『総額表示』の価格設定の巧拙が今後の業績を左右

『総額表示』中心となった場合、価格設定で企業の戦略性が問われます。『総額表示』での価格設定は、価格を下げても顧客が集まれば利益が増える可能性がありますし、価格を上げても顧客離れが進めば利益が減少する場合もあるなど単純ではなく、価格設定の巧拙は今後の業績を大きく左右するとみられます。消費関連企業の『総額表示』義務化への対応が注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。