1月半ばから34%調整で好機到来か、EV向けのIGBT事業が成長エンジンに

現地コード 銘柄名
03898

株洲中車時代電気

(CRRCタイムズ・エレクトリック)

株価 情報種類

31.50HKD
(4/9現在)

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 香港の全体相場が調整する中、鉄道向け電力制御システム大手、株洲中車時代電気の株価は1月中旬から34.2%下落。BOCIは投資の好機が到来したとみている。同社は半導体製造分野の大手であり、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:電源電力の制御や供給を担う半導体素子の一種)製品の第2生産ラインの稼働がこの先、電気自動車(EV)市場におけるシェア拡大を後押しするとの見方。また、同社H株の支援材料として、上海証取のハイテクイノベーション・ボード「科創板」への重複上場計画を挙げた。2021年下期にはバリュー株がアウトパフォームする見通しに触れた上で、目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

 BOCIによると、中期的な成長エンジンとなるのは、IGBT製品の第2ラインの稼働。第1ラインは鉄道車両や送電網向けの高電圧タイプを生産するが、第2ラインではEV向けの1,800-1,200V型を製造する。すでに2020年末から試運転を行っており、2021年末には量産化を開始する運び。同社はいずれ、モーター、ギア、電力制御システムを含む、EV向けの部品フルセットの供給を目指す方針を明らかにしている。

 主力の鉄道車両関連ビジネスを見ると、2021年の動力分散方式車両(EMU:高速鉄道用車両)および機関車の引き渡し量はほぼ横ばいか、あるいは緩やかな伸びを示す見込み。中国の鉄道投資は2021年に前年並みで推移するとみられ、鉄道車両の調達規模も安定的に推移する可能性が高い。

 一方、最大の支援材料は、間近に迫った上海「科創板」への重複上場。同社のような部品製造大手は通常、A株株価がH株を上回る可能性が高く、これが結果的にH株のバリュエーションを後押しする見込み。また、同社は管理職者向けのインセンティブスキームを検討中。これが実現すれば、経営陣らと株主の利害が一致し、同列に並ぶことになる。

 1月半ばから34%下落したことで、同社の現在株価は2021年予想PER(株価収益率)でわずか11.2倍の水準にある。BOCIは「科創板」上場に向けたIPO(株式の新規公開)が支援材料となるだけでなく、2021年の業績も前年を上回ると予想。さらに、2021年下期にはバリュー株が焦点になるとみて、同社を含む主要テクノロジー分野の業界最大手がアウトパフォームする見通しを示した。2021年予想PER16.5倍をベースに目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。