今週の予想
3月期末決算発表前に3万円台回復できるか?
米株式の最高値更新にもかかわらず、先週の日経平均株価は上値の重い展開となりました。
5日は3万195円の高値をつけて終値は3万89円、6日(火)は3万208円で寄り付いて終値は2万9,696円、週末の9日(金)は、一時3万64円まで上昇し、終値は2万9,768円となり、全く方向感が出にくい展開でした。
3カ月の短期チャートで見ると、2月16日の3万714円をピークに、3月18日の3万485円、そして先週の4月6日の3万208円で頭を打って、緩やかな下降トレンドになりつつあります。
これを打破するには、先週も示しましたように3月18日の3万485円を突破する必要があります。現時点ではスピード調整の範囲とみている市場関係者は多く、米国株式次第では、このスピード調整が長引くことも考えられます。
ここで気になるのは、日経平均が先週、米国株式の上昇に連動せず下落となったことです。この背景には日本での新型コロナウイルスの感染拡大第4波の影響が考えられます。「まん延防止等重点措置」の適用地域が拡大され、感染が下げ止まる見通しが不透明な状況です。
米国ではコロナワクチンの接種が加速し、経済活動正常化期待で株価が上昇している側面がありますが、日本ではワクチン不足で経済正常化へ、目先のメドが全く見えないままです。この状況が株式にも影響を与えていますので、これを織り込むのに時間がかかっているということです。
人口100人当たりのワクチン接種回数を国別で見ると、イスラエルで100回を突破、英国で50回を超え、独仏伊で20回弱、日本は1回です。この数字の差は政治力によるものです。このため、日本政府の新型コロナ対応の失敗が、株価に影響を与えているとの見方があります。そうであれば、4月に大きな上昇もスタートが遅れるということになるといえます。
今週は、週始め12日(月)の引け後に3月工作機械受注速報値が出ますが、これが1年7カ月ぶりに景況判断の1,000億円を上回った2月に続き、大台を維持できるかが一つの焦点になるとの見方があり、日経平均上昇のキッカケとなるかどうか注目となります。
また、今週も米株式の堅調さが続けば、遅れに追随することになります。予想のレンジは2万9,500~3万500円となります。週の早い段階で3万円台に乗せることができなければ、スピード調整は長引くことになります。
今週の指標:日経平均株価
今週の日経平均は、4月下旬に3月期末企業の本決算発表が本格化する前にスピード調整が終了できるかどうかとなります。チャートから分かるように2月16日の3万714円、3月18日の3万485円、そして4月6日の3万208円と順次アタマを低くしてきています。
ここでスピード調整が終わるためには、チャート(柴田罫線)では終値で3万216円(正確には3万218円)以上まで上昇しなければなりません。その後、本格的な戻りのためには3月18日の3万485円を突破する必要があります。
今週の指標:NYダウ平均株価
決算シーズンに入った中で、新型コロナのワクチン接種が加速しており、経済活動正常化期待が高まって株価の上昇要因となります。バイデン米政権は、これまでの1.9兆ドルの経済対策に続いて、2兆ドル規模のインフラ投資計画を提案しており、さらなる支援拡大も辞さない姿勢を示しています。
FRB(米連邦準備制度理事会)も3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録で経済や雇用が「望ましい」水準をかなり下回る水準で緩和の条件を満たすには程遠いとしており、早期の緩和縮小の思惑は後退。結果的に中期金利の上昇は小幅の上げとなりました。そのためナスダック総合株価指数の上昇も期待できることになります。
今週の指標:ドル/円
今週も引き続き経済正常化期待は継続しドルは底堅い
今週、発表されるインフレや個人消費に関する経済指標は、IMF(国際通貨基金)が4月6日に公表した世界経済見通しで米国経済の強い回復が示されており、ドルの動きはこれを反映した内容になると期待されています。
また、3月CPI(消費者物価指数)と3月小売売上高は前回実績を上回り、4月29日予定の1-3月期GDP(国内総生産)に寄与すると予想されているため、ドルと株価の上昇を支えることになりそうです。
先週の結果
方向感に欠ける展開で、ザラ場で2度3万円台回復するも週末は2万9,700円台で終了
先週の予測では、ナスダックの大幅上昇を受け、日経平均採用銘柄を中心にハイテク株物色になっていることによる、日経平均の上昇であり、このままナスダックの上昇が続けば、値がさハイテク株の上昇で3万円台乗せとなるとしました。ただし、3万円を突破後は戻り売りや利益確定売りで3万円台水準を維持するのは難しく、3月18日の3万485円を突破できるかどうかにかかるともしました。
結果的に、3万円台乗せは一時的となりましたが、その後は方向感に欠ける展開となりました。週始めは、米国市場で前週の4月1日(木)の大幅上昇の後は休日でしたが、この日の3月雇用統計が非常に強い結果となったことで、日経平均は+230円の3万84円と3万円台を回復して寄り付き、一時+341円の3万195円まで上昇しました。後場は伸び悩むものの+235円の3万89円と3日続伸で3万円台乗せで引けました。
翌日の6日(火)は、前日の米国市場で景気回復期待が続き、主要3指標そろって大幅高となり、NYダウは最高値更新となったことで、+119円の3万208円と高く寄り付きました。しかし、ここから反落し、一時▲423円の2万9,665円まで下げ、終値は▲392円の2万9,696円となりました。その後は上値は重いものの大きく崩れない状況が続きました。
7日(水)は、前日公開されたIMFの世界経済見通しが上方修正されたことで、+171円の2万9,867円まで上昇するものの利益確定売りで軟化し、今度は一時▲173円の2万9,523円まで下げ、その後、持ち直して+34円の2万9,730円と小反発で引けました。 8日(木)は、米国市場や上海株式はしっかりしているものの、日経平均は上値が重く、一時▲214円の2万9,516円まで下げる場面があるものの、引けにかけて下げ幅を縮小し、一時プラス転換しましたが、終値は▲21円の2万9,708円と小反落しました。この間に米国では長期金利の上昇一服感が出て、為替市場では円安一服感が出てきたことでグロース株、バリュー株に手詰まり感が強まりました。ただし、米国株はS&P500種株価指数が連日の高値更新、ナスダックも大幅上昇となったことで、9日(金)の日経平均は+156円の2万9,865円で寄り付き、+355円の3万64円と3万円台を回復。しかし、後場には急速に上げ幅を縮小し、+59円の2万9,768円と小反発で引けました。
日本市場の引け後の米国市場は、コロナワクチン接種の加速を背景に経済活動正常化期待が続き、株価主要3指標はNYダウ+297ドルと3日続伸で4日ぶりに史上最高値更新。S&P500は3日続伸で連日の史上最高値更新となり、ナスダックは史上最高値まであと2%未満に近づきました。
注目の3月生産者物価指数は、市場予想の前月比0.5%を上回る+1.0%とインフレ圧力の懸念を示しましたが、長期金利は小幅な上昇のため、株価には影響を与えませんでした。しかし、今後の長期金利の上昇には注意が必要です。シカゴの日経先物は+150円の2万9,920円でした。
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