5月の米国株式市場は物価高と金利高に対する警戒感を背景にもみ合う展開となりました。

 相場全体の月間パフォーマンスは、ダウ工業株が+1.7%、S&P500が+0.5%、ナスダック総合が▲1.6%でした(5月27日まで)。上海総合指数の+4.7%前後、TOPIX(東証株価指数)の+2.6%前後と比べて見劣りする状況です。

 昨年が好パフォーマンスだったためハードルが高いことに加え、米国内で進む足元の物価高が警戒されている可能性があります。

 セクター別では、S&P500素材が+5.2%、S&P500エネルギーが+4.8%、NYダウ輸送株20種が+2.4%、フィラデルフィア半導体株指数が+1.6%と堅調な一方、一般消費財や情報技術はマイナスで推移しました。

 物価高に強い銘柄や、経済回復期に恩恵を受ける銘柄が物色されています。

 こうしたなか、楽天証券内での5月のランキングは以下となりました。

 引き続きSPYDが1位の座を維持していますが、8位にDirexion デイリー半導体株ブル3倍ETF(SOXL)が浮上するなど、市場のトレンドに乗る動きが見られます。また、テスラ(TSLA)の順位は先月の5位から10位に低下しました。

<2021年5月 米国株式買付者数ランキング>

順位 ティッカー 前月順位 銘柄名 関連するテーマ
1 SPYD 1 SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF ETF、高配当株式
2 VOO 4 バンガード S&P 500 ETF ETF、S&P500
3 AAPL 3 アップル スマホ、PC
4 VTI 9 バンガード トータル ストック マーケットETF 米国株式
5 T 7 AT&T 通信、高配当、配当貴族
6 VYM 6 バンガード 米国高配当株式ETF ETF、高配当株式
7 QQQ 10 インベスコQQQ 信託シリーズ1 ナスダック100
8 SOXL 15 Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF 半導体
9 HDV 8 iシェアーズ コア米国高配当株 ETF 高配当
10 TSLA 5 テスラ 電気自動車
※楽天証券内買付者数ベース。2021年5月1日~5月27日、国内約定日ベース。

 ランキングに入ったDirexion デイリー半導体株ブル3倍ETF(SOXL)を詳しくみていきます。株価は、2月に45ドルを超える場面がありましたが、その後はもみ合い。5月下旬以降は回復傾向でした。

 ベースとなるSOX半導体指数も同様に5月下旬から回復傾向ですが、SOXLは指数の300%のパフォーマンス(手数料および経費控除前)に連動する投資成果を目指しており、相場が大きく動かないなかで人気を集めやすい状況になっています。

<SOXLの株価推移>

出所:楽天証券ホームページ(5月27日まで)

 半導体の今後の見通しについて、調査会社のガートナーは自動車分野を中心に多くの分野で前年比2桁の成長を遂げると予想。

 5G対応スマートフォンの普及本格化や、半導体不足を背景にしたチップ単価の高止まりも追い風になるとみられ、当面、半導体銘柄を物色する動きが続きそうです。