足元でボラティリティが高まる米国株式市場ですが、投資家から支持されるセクターも変化しています。昨年はナスダック総合指数のパフォーマンスが良かったですが、今年は3月以降、ダウ工業株やS&P500がアウトパフォームしています。

<米国株式市場の主要指数の推移>

 背景にあるのは、米国経済の拡大期待と、それに伴う米国10年債利回りの上昇です。セクター別でみると、パフォーマンスが良いのは資源価格の上昇に支えられたエネルギー、素材などのコモディティ銘柄、金利高による利ザヤの拡大が期待されている金融株、新型コロナ禍の終息と経済拡大期の中で追い風が吹くと予想される資本財銘柄などです。

<S&P500のセクター別パフォーマンス例>

 経済の拡大や物価上昇に対する期待が続く限り、上記のセクターは今後もアウトパフォームが続く可能性が高いです(コモディティ価格の変動には注意する必要があります)。

 こうしたなか、経済の拡大期に恩恵を受けやすい景気循環株から、足元の四半期決算で大きなポジティブサプライズを出したものを3つ紹介します。景気循環株のリスクは、足元で起きているコモディティ価格の上昇や半導体の不足にありますが、足元で市場の期待を上回る着地ができたものは比較的リスクが低そうです。

1.ヴァルカン・マテリアルズ(VMC)

 建築に使用される骨材メーカーの大手。骨材とは、コンクリートやアスファルトを作る際に使う砂利や砂を指す。これから右肩上がりに拡大するような市場ではなくて、この業界は経済の拡大期に需要が増えて業績が大きく拡大しやすい。

 同社には、すでに新型コロナの影響緩和と経済回復の恩恵がでてきている。直近の決算である2021年1-3月期は調整後EPSが47%増益となり、市場予想を56%上回った。一部の地域の天候不順があったものの、会社側は「住宅建設が加速を継続しており、幹線道路の着工も増加し始めた。」と発言している。また、「昨年延期された仕事のいくつかもスタートした。」と述べており、コロナ禍後の環境が追い風になっている状況。販売価格の上昇やコスト削減も進んでおり、通期でも2桁増益が予想されている。

<株価チャート(5月20日まで)>

出所:楽天証券ホームページ

2.カミンズ(CMI)

 ディーゼルエンジンや天然ガスエンジン、発電装置などを製造する米国大手メーカー。海外でも事業を展開している。

 足元の業績が堅調で、1Qは19%増益となり市場予想を18%上回った。エンジンの部品不足や、輸送料金の値上がりなどネガティブな材料も発生したが、需要も堅調。北米のトラック需要の回復、ならびに、世界的な建設や掘削需要の高まりが追い風になった。トラックの需要では、特に軽トラ向けのエンジン需要が高まっていて、軽トラの売上は36%増収と大きく伸びた。今期はコストの効率化も進めることで、通期でも2桁増益となる見込み。

<株価チャート>

出所:楽天証券ホームページ

3.オシュコシュ(OSK)

 さまざまな車両を製造。具体的には、高所作業車、フォークリフト、救急・消防車両など。去年は、経済活動が制限されるなかで、大幅減益となったが、足元では回復の兆しがでている。2021年1-3月期は18%増益で着地し、市場予想を31%上回った。最近の話題としては米国の郵政公社と、配達に使う、次世代車両の設計で大型契約を結んでいる。

<株価チャート>

出所:楽天証券ホームページ