今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは111.15

下値メドは108.70

現金使用の減少は、中央銀行の経済的影響力の低下を示している

 6日(火曜)のドル/円は、上下して結局円高。前日、週明けのマーケットで一時109円台まで下げたドル/円はこの日、110.11円でオープン。欧州時間に高値110.55円まで上昇するも勢いは続かず、NY時間朝に109.67円まで下落。その後も110円台に戻ることなく終値は109.74円。終値の109円台は3月29日以来。

 英投資ファンドのCVCが、日本の大手電機メーカーに2兆円を超える金額の買収提案をしたと伝えられたことが円高材料のひとつになったようです。先月末には別の日本の大手電機メーカーが、米IT会社を1兆円で買収との報道がドル/円が111円近くまで上昇する要因になりました。

 米国では経済指標が上向いています。先週金曜日の3月雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が+91.6万人に大幅増加、失業率は6.0%まで低下しました。景気指標のISMは、製造業、非製造業ともに過去数十年間で最も高い数字を記録。コロナウイルス感染の大流行によって縮小していた米国の経済活動の再起動を示しています。

 その一方で強い経済指標は、FRB(米連邦準備制度理事会)に「出口戦略」の検討を始めるように圧力をかけることになります。今夜(日本時間明日早朝)はFOMC(米連邦市場委員会)議事録が公表されます。全米各地区の連銀総裁の講演も多く予定されています。キーワードは「緩和縮小」。注目です。

 FOMC議事録の前に、前回のFOMCを簡単に振り返ります。次ページをご覧ください。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

わたしと同じ欠点を持つ人間はいても、同じ美点を持てる者はいない – パブロ・ピカソ

Against All Odds

 FOMCは3月の会合で、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定。声明内容に重要な変更はなし。最近の経済活動の再開を評価しながらも、コロナの影響から抜け出せていない業種も多いとして、慎重な見通しを維持しました。

 注目だったのは「ドットチャート」(FOMCメンバーによる金利予想)。前回の会合では2023年末の利上げ予想するメンバーは17人中5人いたのですが、今回はさらに2名増えて、18人中7人が利上げを予想。(昨年12月下旬に就任したウォラー理事は今回初めて予測に参加)

「ドットチャートはメンバー個人の見解であって、FOMCの政策予定ではない。」と、パウエルFRB議長はマーケットに先走りしないよう繰り返しています。FRBは「政策変更が必要になったときには、市場が十分な準備ができるように周知する」のですが、その必要になる時期が少しずつ早まっているようです。

今日の注目通貨

ドル/円:今週のレンジ予想:↑112.01円、↓108.80円 

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は110.41円。110.41円より上ならばドル買い優勢、110.41円より下ならばドル売り優勢。

114.55円 : 2018年 高値

112.62円 : 第4レジスタンス(HBO)
112.40円 : 2019年 高値(19年04月24日)
112.22円 : 2020年 高値(20年02月20日)
112.01円 : 第3レジスタンス

111.71円 : 2020年 03月 高値(03月24日)
111.40円 : 第2レジスタンス 
111.21円 : 第1レジスタンス

110.97円 : 2021年 03月 高値

110.41円 : ピボット

109.60円 : 第1サポート
109.41円 : 第2サポート

108.80円 : 第3サポート
108.20円 : 2019年 平均値 
108.19円 : 第4サポート(LBO)

107.32円 : 2019年 安値

106.70円 : 2020年 平均値 
106.37円 : 2021年 03月 安値

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成