新社会人の皆さんはもうすぐ初任給! とワクワクしている方も多いと思います。でも仕事の基本動作は教わっても、お金の知識は誰も教えてくれません。

 今回は新社会人の方も、そうでない方も知っておきたいお金の基礎知識を解説します。

給与20万円のはずが手取りは約16万円のナゾ

チェック1:初任給は20万円だから、20万円が振り込まれる?

 そう思っていたら大間違い! 今まで親の扶養に入っていた人も社会人になると扶養から外れ、自分で税金や社会保険料を納めることになります。これらは給与から差し引かれて振り込まれるため、給与20万円の場合、実際に振り込まれる金額は約16万円になってしまうのです。

給与から差し引かれるもの(給与20万円の場合の概算)

・所得税…3,770円
・住民税…翌年7,287円
・厚生年金…1万8,300円
・健康保険料…9,840円
・雇用保険料…600円
・組合費など(会社による)

チェック2:税金が安くなる「控除」って知っている? 

 学生時代のバイトはまるまる収入になっていたのに、せっかく稼いでも、社会人になるとこんなに引かれてしまうのかと驚いたかもしれませんね。住民税は翌年に納める仕組みになっているため初年度は引かれませんが、2年目から引かれることになるので、このときになって驚かないようにしてください。

 税金は単純に収入金額に対して算出されるものではありません。収入から人それぞれの状況を加味した金額を差し引いた上で算出されます。この諸々差し引かれるもののことを「控除」と言います。「控除」が多ければ多いほど、課税される所得は少なくなり、税金も安くなります

 控除の中で一定の所得内の場合誰にでも該当するのが「基礎控除」です。また、給与の額に応じた「給与所得控除」と給与天引きで支払っている社会保険料も「社会保険料控除」として差し引いてくれます。

 その他の控除は該当する場合に受けることができます。当てはまる控除は人それぞれなので、自分で申告をしないと差し引いてもらえません。控除によって税額が変わってきますので、忘れずに、面倒くさがらずに申告することが大事です。

所得控除の一覧
基礎控除
社会保険料控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
障害者控除
寡婦(寡夫)控除
勤労学生控除
小規模企業共済等掛金控除
生命保険料控除
地震保険料控除
寄附金控除
雑損控除
医療費控除
主な税額控除の一覧
配当控除
外国税額控除
政党等寄附金特別控除
認定NPO法人等寄附金特別控除
公益社団法人等寄附金特別控除
住宅借入金等特別控除
住宅耐震改修特別控除
住宅特定改修特別控除
認定住宅新築等特別税額控除
その他特別控除

控除は「年末調整」と「確定申告」で申告する!

チェック3:控除はどうすればいいか、知っている?

 控除を申告する方法は二つあります。

 一つは年末調整です。会社は見込み額で所得税を毎月天引きしています。これを源泉徴収と言います。源泉徴収した額と本来納めるべき所得税額とのずれを解消するのが年末に行われる年末調整です。年末調整の際に自分が該当する控除の申請をします。そうすると、控除された所得で税額が再計算され、多くの場合源泉徴収されすぎた税金が戻ってきます。

 もう一つは確定申告です。年末調整は会社が行ってくれるものですが、年末調整では対応してもらえない控除もあり、その場合は確定申告をしなければいけません。収入があった翌年に自身で確定申告をすると納め過ぎた税金が戻ってきます。

「しまった! 年末調整で控除の申請をしていなかった!」という人や控除できるものがあったのに「確定申告をしてこなかった!」という人は5年間さかのぼって確定申告(還付申告)をすることができるので、今からでもチャレンジしてみてください。

 初めての確定申告はよく分からないと思います。「税務署」と聞くとなんとなく怖いイメージがあるかもしれませんが、質問をすればていねいに教えてくれますので、分からないことがあれば聞いてみてください。

税制優遇や控除が受けられるお得な貯蓄&運用術

チェック4:お得なマネー術をいくつ知っている?

 控除が増えると税金が安くなります。せっかくがんばって働いて稼いだ給与から徴収されすぎてしまった税金は、きちんと申告して還付してもらいましょう。

 自分に当てはまる控除はないなぁと思った方は控除を受けることができる制度を積極的に利用してみることをオススメします。

●ふるさと納税…寄附金控除

●生命保険…生命保険料控除

●iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)…小規模企業共済等掛金控除

 これは基本的には誰でも始めることができ、控除を受けることができます。

 控除はありませんが、利益が非課税になる制度には、次のものがあります。

●NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)、つみたてNISA

●財形貯蓄

 通常、運用益や利子に対しては約20%課税されますがこれらの制度を活用すると非課税になります。

 お得な制度については、また改めて別のコラムで詳しく説明します。どれもぜひ活用していただきたい制度です。

 マネーリテラシーを高め、仕事にプライベートに充実した社会人生活を送ってくださいね!