2020年本決算は14%増益、2021年にセメント需要の加速と新素材の成長を予想

現地コード 銘柄名
03323

中国建材

(チャイナ・ナショナル・ビルディング・マテリアル)

株価 情報種類

11.04HKD
(3/31現在)

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 セメントの世界最大手、中国建材の2020年12月本決算は、純利益が前年比14%増の126億元と、BOCIの予想を2%上回った(売上高は同0.5%増の2,548億元)。続く2021年について、BOCIは前年比29%の利益成長を予想。その主因として、減損損失の大幅な縮小見通しを挙げている。また、前年実績の低さから、2021年にはセメント需要の伸びが加速すると予想。新素材部門でも一部の製品の需要が急増するとの見通しを示した。さらに、海外での新型コロナウイルスの感染状況が改善すれば、2020年に苦戦したセメントエンジニアリング部門も急速に正常化に向かうとの見方。2021年、2022年の予想純利益をそれぞれ9%、7%増額修正した上で、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2020年に計上した各種の減損損失および引当金は総額125億元。ただ、BOCIによれば、2017年に吸収合併した中材国際(Sinoma)に絡む多額の損失を計上するのはこれで最後となり、2021年には減損損失・引当金が93億元に縮小する見込み。2022年以降はさらに減少する見通しという。

 中国国内のセメント需要は2020年に前年比わずか1.6%増。年前半の新型コロナの感染拡大と年半ばの中部・東部での大洪水が痛手となった。ただ、2021年には前年実績の低さから、大幅増に転じる見込み。直近の統計を見ると、2021年1-2月の国内セメント生産量は前年同期比61%増。旧正月休暇中の帰省自粛で建設工事が例年より早期に再開したため、セメント価格も上向いた。

 一方、新素材部門では、ジプサム(石膏)ボード、ガラス繊維糸、風力発電用ブレードなどの2020年の販売量が、いずれもBOCIの予想を上回った。国内での風力発電設備の導入促進はこの先、風力用ブレードとガラス繊維の需要増を後押しするとみられる。

 エンジニアリングサービス部門は20年に赤字を計上したが、これは新型コロナの感染拡大で、海外プロジェクトが停滞したため。ワクチン接種に伴い、海外で感染抑制が進めば、同部門は急回復する可能性が高い。

 同社は負債を100億元の幅で削減する目標を掲げる。実現すれば、財務費用はこの先、縮小することになる。

 BOCIは目標株価の算出基準を21年予想ベースにシフト。これに伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いた。今後のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇セメント価格が急落する可能性、◇新製品の収益が予想を下回る可能性を挙げている。