今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは111.10

下値メドは110.10

インフレは、グローバルではなくローカル。FRBと日銀は全く逆の問題を抱える

 4月2日(金曜日)のマーケットは、イースター(復活祭)で欧州市場が休場。NY株式市場も休みとなり、市場参加者が少ない中での取引となりました。

 この日のドル/円は110円台半ばで上下。110.56円からスタートして、110.37円まで下げた後、雇用統計の結果を受けて米長期金利とともに上昇して高値110.75円をつけました。終値は110.65円。

 雇用統計は予想通りの「強い」結果となりましたが、ドル/円は111円台に乗せることなく2営業日連続で前日の高値を下回りました。安値も前日より低く、3月25日から6営業日連続で切り上がっていた記録はストップ。イースター休暇のせいなのか、それとも円安モード休止の兆候なのか。重要指標が数多く出番を待つ今週は、ドル/円の動きがあることを期待。今日の注目通貨をご覧ください。

 その前に、先週金曜日に発表された米3月雇用統計の強さを確認します。次ページをご覧ください。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

 

今日の一言

水清ければ、大魚なし(言動が潔癖で厳格すぎると、人が寄りつかなくなる)

雇用統計 エピソード6「レイオフ従業員の帰還」

 BLS(米労働省労働統計局)が4月2日に発表した3月雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が+91.6万人に大幅増加。コロナウイルス感染の大流行によって縮小していた米国の経済活動が、徐々に再開していることが労働市場の改善につながっています。

 3月の失業率は6.0%まで低下。昨年4月の最悪期に比べて著しく改善しましたが、コロナ流行前の2月時点(失業率3.5%)よりも、まだ2.5パーセントポイント近く下回っています。失業者は970万人で減少基調であるものの、昨年2月時点(580万人)より依然400万人多い。失業率は米国の州によって違いがあり、例えばハワイ州は9.2%、NY州は8.5%もある一方、サウスダコタ州は2.9%と低い。観光・レジャー産業の依存度が高い地域は失業率が高止まりしています。

 NFP(非農業部門雇用者数)は91.6万人増えました。コロナによるダメージが最も大きかったレジャー・サービス業を中心に、教育、建設業など幅広い分野で雇用が増加する明るい兆しが見えました。とはいえ、昨年2月のピーク時に比べて840万人(5.5パーセントポイント)少ない。

 3月の失業者のうち、一時解雇者(レイオフ)は20.3万人減って200万人。一時解雇者は1年前よりもまだ130万人多いものの、2020年4月時点の1,800万人に比べると大幅に減少。一方、永続解雇者(パーマネント・レイオフ)は340万人でほぼ横ばい。前年比ではまだ210万人多い。労働参加率は61.5%で前月とほぼ変わらず。

 コロナ流行を理由に在宅勤務をした被雇用者の割合は21.0%で、前月の22.7%から減少。また新型コロナ流行による会社の休業や倒産を理由に働けなかった人は1,140万人いましたが、1月の1,330万人からは減少。雇用統計の数字は「真実」を伝えてない?「米雇用統計「めちゃ強い」! 実は大きな「勘違い」だった?」 をご覧ください。

今日の注目通貨

 欧州と英国のマーケットは、イースター(復活祭)で、本日(月曜)も休場となります。

トルコは今日、3月のCPI(消費者物価指数)を発表します。トルコ経済によかれと信じて利上げを続けたアーバル・トルコ中銀総裁は、エルドアン大統領の逆鱗に触れてクビを切られました。今月トルコ中銀は「利下げ」するとの観測が浮上しています。もはやトルコに対して好意的な考えを持つ投資家や格付け会社はいません。物価上昇のなかで利下げするなら、トルコリラの史上最安値更新は避けられないでしょう。その伏線となるトルコCPIの最新データに注目が集まります。

 6日(火曜)はRBA(豪準備銀行)が政策金利。政策金利は据え置き予想ですが、RBAの声明に注目。

 今週のハイライトは7日(水曜日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録。FOMCは17日まで開催した会合で、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定しました。声明内容に重要な変更はなく、最近の経済活動を評価しながらも、コロナ流行の影響が残る業種があるとの慎重姿勢を維持しました。

 しかし、FOMCメンバーの中に反逆者はいなかったのか?パウエル議長が否定しても、 FRB (米連邦準備制度理事会)の「緩和縮小」の予想時期はマーケットのなかでじわじわと前倒しされています。今回のFOMC議事録は注目です。

ドル/円:今週の予想レンジ ↑111.40円、↓109.41円  

 今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は110.41円。110.41円より上ならばドル買い優勢、110.41円より下ならばドル売り優勢。

114.55円 : 2018年 高値

112.62円 : 第4レジスタンス(HBO)
112.40円 : 2019年 高値(19年04月24日)
112.22円 : 2020年 高値(20年02月20日)
112.01円 : 第3レジスタンス

111.71円 : 2020年 03月 高値(03月24日)
111.40円 : 第2レジスタンス 
111.21円 : 第1レジスタンス

110.97円 : 2021年 03月 高値

110.41円 : ピボット

109.60円 : 第1サポート
109.41円 : 第2サポート

108.80円 : 第3サポート
108.20円 : 2019年 平均値 
108.19円 : 第4サポート(LBO)

107.32円 : 2019年 安値

106.70円 : 2020年 平均値 

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成