ESGって何?

 近年、何かと目にする機会が増え、注目度が高まっている「ESG」。実は、投資信託の世界でも、新ファンドの設定が相次いでいるほか、以前から運用されていたESG関連のファンドを見直す動きも出ています。今後は投資信託を選ぶ上で、ESGの視点を取り入れた方がよいのでしょうか。

 本題に入る前に、そもそも「ESG」の各アルファベットは何を意味するか分かりますか。まずは、「今さら聞けない」ESGの基礎知識を押さえておきましょう。

クイズESGとは?

正解は…

E……Environment(環境)
S……Social(社会)
G……Governance(企業統治)

 ESGは上記の3つの視点の非財務情報を考慮して行う投資のこと。「運用を担う受託者=運用会社」が投資先を選定する際の判断材料として、業績予想だけでなく、企業のガバナンスや社会貢献活動など、数値化しにくい非財務情報をも活用するという考え方です。

 国内外のさまざまな実証研究によれば、ESGの取り組みに積極的な企業は、その成果が業績や株価にプラスに反映されているといわれています。

 単なる「リターンの大きさ」ではなく、「リターンの質の高さ」を追求するのがESG投資の本質です。

なぜ最近、ESG投資が脚光を浴びているの?

 近年ESG投資が日本でも認識されるようになった理由の一つとして、私たちの年金の運用を担うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のESG投資をめぐる動きがあります。

 GPIFは、2015年にPRI(国連責任投資原則)に署名した後、2017年に投資原則を改め、株式はもちろん、債券などすべての資産でESGの要素を考慮した投資を進めていくことを表明しました。

 GPIFは株式の直接投資ができないため、実際には、運用を委託された運用会社が投資先候補の企業と対話を重ね、ESGの基準を満たした投資信託を組成・運用しています。こうしてできたESG運用プロセスが、個人投資家向けの投資信託にも応用されるようになったというわけです。

ESGファンドは、どんな内容なの?

 現在、日本国内で個人向けに展開されている、ESGの概念を取り入れた投資信託には大きく分けて2つのパターンがあります。

 1つは、ファンドの投資方針として、投資先銘柄の選定時にESGいずれかの項目のスクリーニング(絞り込み)を行うことを明示しているパターン。

 そしてもう1つは、運用会社がフィデューシャリーデューティー(受託者責任)の一環として、自社の運用プロセスにESGのスクリーニング基準を組み入れているパターンです。

 現状、日本の投資信託市場では、前者のファンド単位でESGのスクリーニングを行うパターンの方が圧倒的に多く、中でも「E」=環境に焦点を当てたものが大多数を占めます。

 後者のように、運用会社単位でESGの基準を定め、その順守を徹底して運用を行うという姿勢は、ESG投資の最先端である欧州の運用会社を中心に導入が進んでいます。

 最近は、運用会社各社が自社のウェブサイト上でESGへの取り組みについて積極的に情報発信を行っているので、興味のある方は、「責任投資」や「社会的責任」などのキーワードを参考に、気になる運用会社のウェブサイトを参照してみてください。運用会社の理念に共感できるかどうかは、ファンド選びで大切にしていただきたいポイントの1つです。

 以上見てきたように、日本の投資信託市場におけるESG投資の歴史はまだ浅く、過去の実績を参考にしてファンドを選ぶことが難しいのが実情です。個々のファンドが掲げるテーマはもちろんのこと、運用を担う運用会社や投資顧問会社の理念に共感できるかなども含め、ファンドの中身を理解した上で購入を検討してください。

実際、どんなファンドがあるの?

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