せっかくの非課税制度、ちゃんと活用されている?

 NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)とは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度のことです。

 そのうち、「つみたてNISA」はその名の通り、少ない金額を投資して積み立てる資産形成を前提としているため、年間40万円の非課税枠を20年という長期間にわたって利用できる点が特徴です。少額から始められ、対象商品は長期投資の相性のよい投資信託に限定されているので、投資初心者の方にもおすすめの制度です。

 では、そのつみたてNISAを利用している人は、どんな商品で、どんな資産運用をしているのでしょうか。今回は、「みんなの投資ランキング」つみたてNISA版の最新データをご紹介します(2021年2月末時点、楽天証券調べ)。

利用者は20~30代が6割超え!若い世代ほど資産形成を始めている

 まずは、男女比と年齢構成から見ていきましょう。

 楽天証券でつみたてNISA口座を開設している人は、男性が約6割、女性が4割。年代別に見ると、前回(2020年5月末時点)調査よりも20代の割合が増えた結果、20~30代が全体の60%超を占めました。

 なお、これを「2021年2月末時点で積み立て設定をしている人」に限定すると、20代の割合は28%まで上昇します。若い世代ほど、つみたてNISAを活用した資産形成に積極的で、早期に行動に移しているということが分かります。

 このように、年代別に見ると若年層が大部分を占めてはいますが、つみたてNISAは、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)のように年齢上限がなく、どの年代でも利用できる制度です。せっかくの非課税枠ですから、年齢に関係なく活用されることをおすすめします。

出所:楽天証券(2021年2月末現在)

みんないくら積み立てている?

 続いて毎月の積立金額です。

 つみたてNISAの非課税枠は年間40万円です。これを12カ月で割った約3万3,000円が、毎月の積立上限額の目安になります。

出所:筆者作成
対象: 2021年2月末現在、つみたてNISA設定をしている楽天証券顧客

 積立設定額の平均は前回調査から約1,200円上昇し、2万5,408円となりました。

 平均額が押し上げられた背景には、「3万円超」の方が増えたことが挙げられます。3万円以上の金額を設定している人は、前回調査から8.7ポイント上昇し、今や過半数を占めています。つみたてNISAは年間非課税枠の未使用分を翌年以降に繰り越すことができませんから、非課税枠を最大限に活用したいと思う方が増えるというのは、自然なことかもしれません。

 なお、積立金額は途中で変えることもできるので、まずは確実に続けられそうな金額から始めるとよいでしょう。

資産形成も「継続は力なり」

 つみたてNISAに限らず、積立投資を成功させるポイントは、無理のない金額でコツコツ続けることです。

 というのも、積立投資は、効果を実感できるようになるまでに3年から5年程度の時間がかかる場合があるからです(半年から1年などの短い投資期間の場合、積み立てよりも一括購入のほうが相場上昇時に結果が出やすくなります)。最初に金額設定で背伸びをすると、後々無理が生じ、積み立てそのもののモチベーションを維持することが難しくなります。

 まずは少額でも確実に続けられる金額で始めること。そして、日々の値動きに一喜一憂しない「鈍感力」を身につけることが大切です。

 ちなみに、楽天証券でつみたてNISAを始めた人のうち、2年以上積み立てを継続している人は92%、1年以上積み立てを継続している人は96%に上ります。いずれも前回調査から上昇しており、「積み立てデビュー」された方は着実に積み立て効果を実感できているものと思われます。

 ここまで見てきた通り、毎月の積立額は増え、継続率も伸びているつみたてNISAですが、冒頭でお話ししたように、全体では20代の利用者の増加が目立っています。

 実際に、2021年2月末の楽天証券におけるつみたてNISAの利用者は、2019年12月末の39万4,468人から109万4,776人へと3倍弱に拡大しています。このことから、2020年来のコロナ禍は、日本人のお金に対する向き合い方、投資や資産形成に対するマインドにも大きな影響を与え、つみたてNISAの利用者像を変えることになったと言えそうです。