2020年に14%減益、新契約価値マージンの改善見通しも外交員採用難を懸念

現地コード 銘柄名
02628

中国人寿保険

(チャイナ・ライフ・インシュランス)

株価 情報種類

 16.06HKD
(3/26現在)

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 中国の生保最大手、中国人寿保険の2020年12月本決算は、純利益が前年比14%減の502億6,800万元と、BOCIの予想およびブルームバーグのコンセンサス予想をいずれも下回った。同年度に取得した新規保険契約の価値を示す新契約価値(NBV)は0.6%減と、市場の予想並みながらも、BOCIの予想から2.3%下振れ。総収入保険料や正味経過保険料などのその他主要指標も、総じて小幅に予想を下回った。BOCIは2021-23年の予想EPS(1株当たり利益)を減額修正するとともに、目標株価を引き下げたが、株価の先行きに対しては強気見通しを据え置いている。

 2020年本決算は経常収益が前年比10%増の8,049億6,100万元で、純利益が予想を下回る502億6,800万元。運用収益の伸びは予想を上回ったものの、主に保険金請求額の増大が最終利益の下押しを招いた。NBVは2020年下期に前年同期比11%減。初年度保険料に占めるバンカシュアランス(銀行窓口販売)の比重の拡大や、払込期間10年以上の保険商品から得られる初年度保険料の減少(2020年7-9月期に前年同期比27.5%減、10-12月期に11.3%減)を受け、NBVマージンが縮小したことが響いた。

 ただ、2021年上期、特に1-3月期には、NBVマージンが明らかに改善する見込み。定義を含む規定変更に先立つ重度疾病保険の需要増によるもので、これが2021年通期のNBVの回復にも寄与する可能性が高い。

 一方、個人営業部門の外交員数は2020年12月末に137万8,000人と、前四半期比で13%減、上期比では18%の落ち込みとなった。BOCIは20年本決算において、この点が最も失望すべきポイントの一つだったと指摘。中でもアップセールス(高額商品への買い替え促進)チームが上期比21%縮小する中、新たな外交員の確保がかなり困難となる見通しを示した。外交員の流出は、同社が個人営業チャネルのチーム再編を行うとともに、KPI(重要業績指標)メカニズムを再導入した結果だが、ほかに業界全体での外交員採用競争の激化も影響したという。

 BOCIは2020年の数字を踏まえ、2021-23年の予想NBVを3%引き下げた。さらに保険関連の経費比率の上昇を見込み、予想EPSを2-4%減額修正。PBR(株価純資産倍率)と株価EV倍率(株価をエンベディッドバリューで割って求めた)の加重平均値をベースに、目標株価を引き下げた。新たな目標値は2021年予想株価EV倍率で0.44倍、PBRで1.12倍の水準となる。

 この先の支援材料としては、外交員の生産性が大幅に改善する、NBVマージンが予想以上に改善する、本土A株相場が好況となるなどの可能性を指摘。逆にレーティング引き下げにつながる潜在リスクとしては、外交員争奪戦が一段と激化する可能性と、保障型商品の需要が縮小する可能性を挙げている。