今週の予想

日経平均は4月相場入りまで軟調で、TOPIXは堅調な動きか

 FOMC(米連邦公開市場委員会)の緩和政策の継続が、景気回復をさらに強めるとの予想から期待インフレが上昇しているため、米長期金利が上昇し、再び米ハイテク株が売られる展開となっています。さらに長期金利が上昇して、ハイテク株が下げると米株式全体も、さらに上を目指すのが当面難しくなります。

 日経平均株価は、NYダウ平均株価に連動しているため、NYダウの上昇が鈍れば、同様になります。

 特に先週末19日(金)に日銀のETF(上場投資信託)買い対象から日経平均型が外されたことは、しばらく日経平均の軟調な動きにつながる可能性もあります。TOPIX(東証株価指数)は堅調でも、日経平均は軟調という場合も想定されますが、4月の新年度入りで調整されて、上を目指してくる可能性は高いと思われます。

 先週半ば、FOMCの2023年までゼロ金利政策の維持という結果を受けて、NYダウ平均株価は3万3,000ドル台を突破。FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和策の維持が、逆にインフレ期待を高めることで、17日(水)に長期金利が1.75%まで上昇しました。これらを受けて18日(木)は再びハイテク株が売られて、ナスダック株価指数が▲409ポイントの1万3,116ポイントと大幅下落しました。

 これに加えて、この日は日本銀行の金融政策決定会合でETFの買い入れ枠が撤廃された他、買い入れ対象から日経平均型が外され、TOPIX型1本になったことで、後場は日経平均株価が一段安の▲424円の2万9,792円となり、TOPIXは+3ポイントの2,012ポイントで終わりました。

今週の指標:日経平均株価

 先週末の日銀金融政策決定会合で、日銀のETF買い入れから日経平均連動型を除外し、TOPIX型1本に変えることを発表したことで、今週の日経平均は不安定な値動きとなる可能性があります。

 日経平均が18日に3万円台を回復してからの下落だけに目先は上値が重く、4月相場に向けてもう少し調整が必要となりそうです。ただ、TOPIXが相場を支えることになりそうです。

今週の指標:NYダウ平均株価

再び3万3,000ドル台を前にもみ合いか?金融株は軟調の可能性

 先週末の米中外交トップ会談で対立が露呈し、この警戒感が今後の相場に影響する可能性があります。

 この状況の中でFRBは、新型コロナ感染拡大を受けて、2020年4月から金融市場の混乱を防ぐために実施していた、大手銀行に対する資本規制の特例措置を3月末で終了することを発表。このことで、金融株中心に売りが加速し、NYダウは2日続落となりました。

 今週も金融株は軟調となる可能性があり、さらに長期金利の上昇の行方も分かりにくいため、しばらくは様子見となってもみ合いが続きそうです。

今週の指標:ドル/円

1ドル=109円を挟んだもみ合い続く

 先週のFOMCでゼロ金利政策の長期化を示しました。これによって経済の正常化が早まるとの期待も出て、10年債利回りは1.7%台まで上昇。しかし、ナスダック株価指数は急落となり、この流れを受けてドル買い・円売りの方向になりました。

 ただし株価が調整するようだと、ドル売り・円買いの流れも出てくるので、ドル/円は109円を挟んだもみ合いの可能性があります。

先週の結果

FOMCの結果を受けて終値で3万円台回復も、週末は米金利高で大幅反落

 先週の予測では、FOMC(16~17日)、その後、日銀金融政策決定会合(18~19日)という日米金融イベントを通過するまでは、日経平均の大きな動きは期待できず、そのため上昇は週後半に期待されることになるとし、特にFOMCの内容次第では、週後半に力強い動きが想定されるとしました。

 結果的には、週後半は堅調な米株式の動きを受けて、日経平均も様子見とはならずに堅調な動きとなり、一時、3万円を回復する場面もありました。その後、FOMCの前に17日(水)は一服するものの、FOMCの結果を受けて18日(木)は大幅反発し、3週間ぶりに終値で3万円台回復となりました。しかし、週末は前日の米長期金利の上昇で米株安を受け▲424円の2万9,792円で引けました。

 3月15日(月)は、先週末のNYダウの5日連続の最高値更新を受け、日経平均は12日(金)の+506円の2万9,717円の大幅上昇後の反落もなく、+49円の2万9,766円と5日続伸となりました。

 16日(火)は、前日の米株式の堅調な動きを受け、日経平均は一時+259円の3万26円と3万円台を回復しましたが、その後は伸び悩み+154円の2万9,921円と6日続伸しました。

 17日(水)は、FOMCを前に様子見となり、日経平均は▲95円の2万9,825円まで下げるものの、+63円の2万9,984円まで反発し、後場に再度マイナス圏入りし、終値は▲6円の2万9,914円と7日ぶりに小反落となりました。この日の米国市場でのFOMCの結果は、2023年末まで利上げがないことが示され、パウエルFRB議長も緩和的金融政策を変更する場合は、インフレ率が2%を十分に上回る場合としたことで株価は上昇。NYダウは+189ドルの3万3,015ドルと初めて3万3,000ドルを突破しました。

 これを受けて18日(木)の日経平均は、一時+570円の3万485円まで上昇し、終値は+302円の3万216円となりました。TOPIXも+24ポイントの2,008ポイントと終値で2,000ポイントを回復し、1991年5月2日以来の高値となりました。

 週末の19日(金)は、前日の米長期金利の上昇で、NYダウは▲153ドル、ナスダックは▲409ポイントの大幅安を受け、日経平均は▲312円の2万9,904円で寄り付き、前場は軟調なもみ合いが続きました。その後、日銀がETFの買い入れ停止などの金融政策の修正を発表したことで、後場は一時▲595円の2万9,621円まで下落し、終値は▲424円の2万9,792円となりました。ただし、TOPIXは+3ポイントでした。

 日本市場の引け後の19日(金)の米国市場は、マチマチの動きとなりました。FRBが銀行の資本規制に関する特例措置を延長しないことを発表したことで、銀行株が軒並み安となり、NYダウは▲234ドルの3万2,627ドルと続落する一方で、前日大きく下げたナスダックは反発となりました。シカゴの日経先物は▲140円の2万9,350円でした。