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 ESG(環境・社会・企業統治)投資は欧米を中心に広く浸透しており、日本においても投資残高は拡大傾向にあります。背景には新型コロナ感染拡大により環境への意識が変わるなど、持続可能な社会を目指す流れが世界的に起こっていることも関係しています。ESGを考慮した運用は今後さらに加速していくと考えられ、運用者に対して投資をする金融商品の評価・開示を義務化するなどの規則にも注目されます。

【ポイント1】2020年は『ESG投資』の重要性が一層高まった年

 2020年は、日本でも『ESG投資』への認知度が大きく高まった年となりました。新型コロナの感染拡大は、環境に配慮した商品やサービスを選ぶようになるなどの行動の変化や、自然環境への配慮の必要性を強く意識させる要因となりました。また、菅総理から「2050年温室効果ガス排出量ゼロ」が表明されたり、米国ではバイデン大統領の当選によって、これまでの環境問題軽視のスタンスから一転して環境重視に切り替わりました。

【ポイント2】資金の流入はさらに続く

 

 米国の金融商品の調査会社であるEPFRグローバルによると、ESG関連株式ファンド(投資信託)への資金流入は依然として拡大傾向にあり、2018年から足元までの累計の資金流入額は3,300億ドルを超えてきています。

 投資信託への資金流入の他、公的年金など投資額の大きい機関投資家もESGの視点で資金を投じています。これはESGに取り組む企業は長期にわたる企業経営において経済環境や自然環境の変化などのリスクへの対応力が高いとされるためです。

【今後の展開】ESGの重要性は高まる+見極める目を

 ESGはバイデン大統領が表明する環境重視や欧州のグリーン・リカバリー(コロナ禍からの環境に配慮した復興)など、持続可能な社会へ向かおうとする世界の流れができており、日本も脱炭素を推進するなど政府が積極的な姿勢を示していることから取り組みが加速していくと考えられます。ESGは国連が推し進めるSDGs(持続的な開発目標)にも包含される形となっており、ますます重要度が高まると考えられます。

 そうした中で、ESG関連銘柄に投資するファンドも増えており、人々がファンドへの投資を通じて持続可能性に貢献できる機会が広がっていると考えられます。一方で、企業にとってESGへの取り組みが当たり前になってきているため、投資家にとってはESGの取り組みの優劣をより的確に見極める必要性が高まっています。

 また、グリーンウォッシュという環境保護を装うなどの企業や投資スキームも存在すると報道され、欧州ではこの3月10日から環境へ配慮した投資であるかどうかを峻別(しゅんべつ)する新しい取り組みが始まっています。拡大していく時にこそ、実態が伴っているかをしっかりと見抜く目を持ちたいものです。