本日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.75

下値メドは108.15

資本供給源としての株式市場の重要性は低下した。自社株買いで市場は徐々に縮小する

 FOMC(米連邦市場委員会は17日まで開催した会合で、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利誘導目標レンジを0-0.25%で据え置くことを決定しました。声明内容に重要な変更はなし。最近の経済活動を評価しながらも、コロナ流行の影響が残る業種があるとの慎重姿勢を維持しました。

 注目の「ドットチャート」(FOMCメンバーによる金利予想)はどうだったか。

 前回、2023年末の利上げ予想するメンバーは、17人中5人いました。今回はさらに2名増えて、18人中7人が利上げを予想。(昨年12月下旬に就任したウォラー理事は今回初めて予測に参加)

 パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「ドットチャートはメンバー個人の見解であって、FOMCの政策予定ではない」として、「政策変更が必要になったときには、市場が十分な準備ができるように周知する」と述べました。突然利上げして驚かせることはしないから、安心してついてきなさいという意味。利上げ予想は増えたにもかかわらずFRBとの信頼関係のおかげで、マーケットに動揺はありませんでした。

 FOMCが波乱なく終わり、次に控えるのはBOE(イングランド銀行)とトルコ中銀の政策金利発表。トルコ中銀は今夜、 政策金利を17%から18%に利上げするというのが市場予想。しかしこちらはアップサイド・リスクがあるといわれています。今日の注目通貨をご覧ください!

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

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今日の一言

わたしたちの最大の弱点はあきらめることにある

今日の注目通貨

トルコリラ、なぜ、ふたたび「リラ安」?

 約1カ月前の2月16日に年初来高値となる15.23円をつけましたが、その後は勢いを失い、3月9日には13.90円まで下落。

 トルコリラ安の理由はいくつかありますが、まず米債券利回りが1年ぶりの水準まで上昇していることで、リラの魅力が相対的に薄れたことがあります。もう一つは商品価格の上昇が、原油輸入国であるトルコ経済にダメージを与えていること。トルコリラ換算の原油価格は過去最高値を更新しました。トルコ再評価でマーケットのリラ買いポジションが積み上がった時期とちょうど重なったこともあって、下落が大きくなっています。

 FRBが米長期金利の上昇を押し戻そうとはせず「自動運転」に任せていること、また需要見通しの改善で原油価格の上昇基調が続きそうなことで、リラの上値は重い。リラ安を防ぐためにトルコ中銀は予想以上の利上げに踏み切る可能性があります。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
 

トルコリラの見通し、中期的には明るい兆し

 2019年から2020年にかけてのトルコリラは「大安売り」時代。2018年には1リラ=30円の水準で取引されていたトルコリラは、2019年には16円台まで下落。さらに2020年には12円までリラ安が進行して、史上最安値をつけました。

 この大幅なリラ安はなぜ起きたのか。エルドアン・トルコ大統領とトランプ前大統領の仲たがいによる外交問題もありましたが、最大の原因はやはり、CBT(トルコ中銀)による「異例の低金利」政策でした。

 当時、トルコのCPI(消費者物価指数)は13%前後で推移していましたが、トルコ中銀は政策金利を24%から8.25%まで利下げ。その結果、実質金利は大幅なマイナスとなりました。銀行にリラで預金しておくと資産が減っていくだけなので、資産をドルに換える動きが急激に増加。トルコ中銀はリラ防衛のために「リラ買い/ドル売り」介入を実施しましたが効果は薄く、中央銀行が国際的信頼を失うという結果だけが残りました。

 トルコリラが対円で史上最安値となる12円まで下げてもなお安定せず、底なし沼の様相を見せていた2020年11月。ついに当時のトルコ中銀総裁がクビになり、エルドアン大統領の娘婿の財務相も辞任。代わって新総裁に就いたのは市場からの信任が厚いアーバル氏。ここからトルコ中銀は金融政策の正常化に向けて大きく舵を切ったのです。アーバル総裁は手始めに利上げを実施。次に民間銀行に可能な限りの貸し出しを強要していた野放図な信用拡大政策も廃止。金利は上昇に転じ、実質プラス金利が復活し、資産のドル化の動きも止まりました。アーバル・トルコ中銀が海外投資家の信用を取り戻したことで、マネーがトルコ市場に戻ってきたのです。

 コロナ感染率の低下に伴う経済回復は世界共通ですが、特にトルコでは重要な外貨獲得手段である観光産業が期待されています。移動制限の解除による観光産業の再興は、経常収支の大幅改善に貢献することになるでしょう。

前日の市況

 17日(水曜)のドル/円は円高。109.14円からスタートして、NY市場で109.33円をつけ年初来高値109.36円に接近しつつも更新できないまま、FOMCを迎えました。結果発表後は材料出尽くし感もあって108.74円まで下落。終値は108.86円。109円台の終値は3日で途切れることに。
ダウ工平均株価は、早期利上げ観測の不安が薄れたことで、史上最高値を更新しました。

トルコリラ/円:3月の予想レンジ ↑15.00円  ↓13.84円

 トルコ/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は14.42円。14.42円より上ならばトルコ買い優勢、14.42円より下ならばトルコ売り優勢。

15.27円 : 2020年 08月 高値
15.23円 : 2021年 02月 高値  (2021年 高値)
15.22円 : 第4レジスタンス(HBO)
15.00円 : 第3レジスタンス

14.78円 : 第2レジスタンス
14.75円 : 2021年 03月 高値
14.71円 : 第1レジスタンス
14.41円 : 2020年 09月 高値

14.42円 : ピボット

14.16円 : 2021年 02月 安値
14.13円 : 第1サポート
14.06円 : 第2サポート 

13.90円 : 2021年 03月 安値   LAST
13.84円 : 第3サポート 
13.71円 : 2021年 01月 安値 (2021年 安値)
13.61円 : 第4サポート (LBO)
13.21円 : 2020年 09月 安値

2021年 トルコリラ/円データ