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『カーボンプライシング』とは、二酸化炭素(CO2)など地球温暖化につながるガス(以下、温暖化ガス)の排出量に価格を付け、排出した企業や家庭にお金を負担してもらう仕組みです。世界的に「脱炭素」が求められる中、『カーボンプライシング』を導入する国が増えてきていますが、日本では一部の導入にとどまっています。政府は、2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロ目標に向け、より本格的に活用し排出削減につなげたい考えです。
【ポイント1】温暖化ガスの社会的費用を見える化する『カーボンプライシング』
『カーボンプライシング』とは、CO2など温暖化ガスの排出量に価格を付け、排出した企業や家庭にお金を負担してもらう仕組みです。価格を付けることによって温暖化ガスに伴う社会的費用を「見える化」することができ、価格による経済合理性から、よりエネルギー効率の良い技術・製品の普及や排出量削減の効果が期待されます。代表例としては炭素税、排出枠取引、国境調整措置が挙げられます。
日本では、炭素税の1つである「地球温暖化対策のための税」CO2排出量1トン当たり289円が石油石炭税に上乗せされる形で課税されており、平均すると1世帯当たり1カ月100円程度と試算されています。各国の課税水準は1,000円以下から1万円以上とさまざまですが、日本が非常に低い水準にあることは問題視されています。成長につながる『カーボンプライシング』の導入に向けて年内に一定の方向性が示される予定です。
【ポイント2】排出枠取引は世界的に拡大
排出枠取引は、温暖化ガスの排出枠を定め、企業間で排出権利を取り引きする仕組みで、排出削減を促し市場メカニズムによって全体の排出量を削減する制度です。国境調整措置は、輸入品に対しその製品が作られた際のCO2排出量に応じて課税するもので、温暖化対策が十分でない国に対し、対策を促す効果が期待されます。
欧州ではCO2排出枠取引が普及しており、気候変動対策強化を背景に昨年12月、約15年ぶりに高値を更新し、足元1トン40ユーロ台となっています。CO2排出量トップの中国では2月から排出枠取引の運用が開始されました。
【今後の展開】グリーンリカバリー(緑の復興)のもと『カーボンプライシング』による新たな経済の成長が期待される
地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の昨年12月会合では、各国からコロナ禍で落ち込んだ経済の回復と成長を、環境政策の強化でめざす「グリーンリカバリー」を進める動きが報告されました。米国では4年間で2兆米ドル、欧州連合(EU)では10年間で官民合わせ1兆ユーロなどの環境への投資が計画されており、環境政策という視点が新たな資金の流れや需要を呼ぶことが期待されます。また、欧米では国境調整措置の導入が検討されており、その動向が注目されます。
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