今週の予想

日米2大金融イベントで、週後半への上昇期待が高まる

 今週の日経平均株価の動きは、18~19日の日銀金融政策決定会合を終えるまでは、大きな動きは見込めませんが、16~17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では長期金利の上昇を巡り、踏み込んだ議論や決定が行われるか、注目が集まります。何もなければ週末の日銀金融政策決定会合も波乱はなく、イベント通過後の上昇が期待されることになります。

 週始めは、日米の金融イベントを前に様子見が考えられますが、FOMCの内容次第では週後半にかけて、上昇期待から来週にかけて力強さを取り戻す展開も想定されます。

 今年の彼岸は、3月17日から。その前にFOMC(16~17日)、その後に日銀金融政策決定会合(18~19日)があります。様子見で下げる場面があれば、4月の新年度をにらんで買っていくところです。

 今年の「節分天井・彼岸底」は、結果的にはNYダウ平均株価の連日の最高値更新に下値をサポートされ、2月16日の3万714円の節分天井の後の3月5日の2万8,308円の安値で一気に戻り、スピード調整型となっています。しかし、2月の高値から1カ月で約8%調整し、75日移動平均線(2万8,000円水準)に迫ったので、当面の底値は確認したといえるかもしれません。

先週の日経平均の動き

 先週は、メジャーSQ(特別清算指数)の週で、SQ清算日12日(金)の前後に彼岸底を期待し、3月5日につけた2万8,308円を試す動きとなれば買いチャンスと考えていました。

 しかし、下げのきっかけとなる長期金利も一服し、1.9兆ドルの追加経済対策の成立する週となったことで、NYダウは5日連続の史上最高値更新となりました。

 日本では3月は、メジャーSQ、確定申告、期末、年度末などが重なり、一時的に「売り」が出やすくなる特殊要因があり、そのため12日のSQ日前までは、2万9,000円を挟んだもみ合いとなっていましたが、メジャーSQを通過すると一気に上昇となって+506円の2万9,717円で引け、25日移動平均線(12日時点2万9,492円)も軽く突破してきました。NYダウが強かったことが、下値のサポートとして作用することになりました。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、16~17日のFOMC、18~19日に日銀金融政策決定会合を控え、様子見気分が高まるものの、米国株が堅調であれば日米金融イベントの通過後、上昇期待が出てくることになります。

 2月16日の高値3万714円から、3月5日の2万8,308円まで約1カ月で約8%の下落となって反発しており、安値が確認できているとすれば、週後半から4月相場に向けて上昇する可能性があります。

 チャート(柴田罫線)では、3月4日に売り転換となり、3月5日に2万8,308円まで急落しましたが、すぐに反発し、先週は週半ばまでもみ合った後、週末は+506円の2万9,717円と大幅上昇し、買い転換出現となりました。

今週の指標:NYダウ平均株価

 先週のNYダウは6日続伸し、5日連続の史上最高値更新となりました。チャートで見ると上向きの先細り三角形を突破してきていますので、いったん一服してもそのまま上昇が続く可能性があります。

 今週も成立した1.9兆ドルの経済対策法案に含まれる国民への1,400ドルの直接支給は、週末から実施される予定で、相場を押し上げる材料となります。

 また、長期金利の上昇で売られていたハイテク株も戻りを試しており、押し目買いとして相場を支えそうです。

 ただ、経済の回復に伴い金利上昇傾向は続くことになりますので、ハイテク株の急落前のような上昇は期待できません。OECD(経済協力開発機構)は、大規模な追加経済対策の成立を受けて、世界の経済成長見通しを従来の3.2%から6.5%へ2倍強引き上げました。バイデン米政権は年内にインフラを拡大する計画で、さらに回復を高めることになります。ただし、インフレと長期金利動向は注意となってきます。

今週の指標:ドル/円

 3月16~17日のFOMCで長期金利の過度な上昇を抑えるための具体的議論がされる可能性があり、改めて緩和的な政策を示すとドル買いは縮小の可能性があります。

 ただ、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長をはじめ米金融当局は、長期金利の上昇について「米国経済の回復を反映している」との見方を伝えており、新型コロナウイルスの感染抑制によって景気見通しが改善しつつあるので、リスク回避的なドル売り・円買いが広まる可能性もあります。

先週の結果

SQ前は米株式の上昇を受けてもみ合いが続くが、通過後の週末は大幅高

 先週の予測では、12日(金)は3月メジャーSQの週であり、「節分天井・彼岸底」のアノマリー(経験則)からいえば、2月16日に3万714円と節分天井をつけ、その後3月5日に2万8,308円の安値をつけており、12日(金)のSQ前に、もう一段の下げを期待していました。

 ところが、米国市場で追加経済対策(コロナ救済法案)の成立期待が高まり、同時に経済回復期待も高まったことで、NYダウが5日連騰。そのうち4日連続の史上最高値更新となったことで、日経平均の下値がサポートされ、SQに向けての下落は不発に終わりました。

「節分天井・彼岸底」は日経平均の指数で見ると、2月16日の3万714円から3月5日の2万8,308円まで2,406円幅で約8%の下げとなりましたが、日経平均の指数に寄与度が高いハイテク株中心の上げ下げの結果であり、個人投資家の好む中小型株の動きは目立つものはありませんでした。

 結局、週始めに▲121円の2万8,743円まで下げた後は、米株式市場はNYダウを中心に大幅上昇となるものの、日経平均はSQ前日の11日(木)までは、2万9,000円を挟んだもみ合いで、SQ前の売り仕掛けも入ることはありませんでした。

 12日(金)の3月SQ当日は、前日の米国市場は、NYダウが4日連続の過去最高値を更新し、この日、S&P500種株価指数も最高値更新となりました。

 その背景は1.9兆ドルの米国追加経済対策が成立し、30年物国債入札も無事に終わり、長期金利も落ち着きを見せたことにあります。米国新規失業保険申請件数も予想を下回り、これまで大きく下げていたハイテク株も大きな戻りとなっていました。

 こうした流れを受け、この日の日経平均は+76円でスタートすると、いったんマイナスに転じる場面もありましたが、3月SQ値は2万9,282円となって、SQを通過したことから上げ幅を拡大しました。後場には時間外のNYダウ先物が堅調であることで、+532円の2万9,744円まで上昇し、終値は+506円の2万9,717円となりました。米国の半導体株高の流れから、日本市場も半導体を中心にしたハイテク株の値がさ株が大きく反発していました。

 12日(金)の米国市場は、前日の1.9兆ドルの追加経済対策成立の流れから、景気敏感株を中心に堅調な動きが続きました。NYダウは+307ドルまで上昇し、終値は+293ドルと6日続伸(5日連続の最高値更新)となり、S&P500も+4ポイントと前日に続き最高値更新でした。

 しかし、ナスダック総合株価指数は長期金利が上昇したことで反落となり、▲78ポイントの1万3,319ポイントとなりました。

 為替は109円台の円安となりましたが、シカゴの日経先物は▲50円の2万9,540円で引けました。