毎週金曜日夕方掲載

本レポートに掲載した銘柄:TSMC(TSM、台湾、NY ADR)インテル(INTC、NASDAQ)マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD、NASDAQ)エヌビディア(NVDA、NASDAQ)アプライド マテリアルズ(AMAT、NASDAQ)ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)KLA(KLAC、NASDAQ)シノプシス(SNPS、NASDAQ)

1.世界半導体出荷金額は順調な伸びが続く。TSMCの2月売上高は前年比14.1%増。

 世界の半導体市場は順調に拡大中です。世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)は、2019年4月に底打ちし、今回の半導体ブームの中で順調に増加しています。2021年1月の出荷金額は過去最高だった2018年10月の水準まであと5%のところに来ました(グラフ1)。

 半導体需要は、先端半導体から汎用半導体まで好調です。5Gスマホの普及開始に加え、新型コロナ禍の中でテレワーク、在宅学習が普及したことによって、パソコン出荷とデータセンター投資が拡大しました。そしてその後の景気回復によって自動車、家電、産業機器など様々な分野でも半導体需要が拡大しています。その結果、ほぼ全分野で程度の差はあれ半導体の品不足が起きています。

 世界最大の半導体受託生産業者、TSMCの月次売上高も順調に拡大中です。2021年2月は前年比14.1%増となりました。2021年1月の同22.2%増からは鈍化し、前月比(1月比)では15.9%減となりましたが、これは2月に中国で春節があったため、中国国内のスマホ工場が休みになったためと思われます。TSMCには世界中のあらゆる業種から発注が増加しているもようですが、その結果、顧客間で生産ラインの取り合いが起きているもようです。後述のようにTSMCは今年250~280億ドルの設備投資を計画しています。ロジック半導体だけの設備投資としては前代未聞の巨額投資ですが、2021年4-6月期から設備投資の効果(増産効果)が現れてくると思われます。

 TSMCの月次売上高が右肩上がりで増加し、四半期利益が伸び続ける限り、今回の半導体ブームは続き、高水準の半導体設備投資も続くと思われます。

グラフ1 世界半導体出荷金額(3カ月移動平均)

単位:1,000ドル、注:2015年3月から「アジア太平洋・その他」から「中国」を分離、出所:SIA(米国半導体工業会)より楽天証券作成

グラフ2 TSMCの月次売上高

単位:100万台湾ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

2.DRAMスポット価格が急騰。大口価格も上昇に転じる。

 半導体ブームの盛り上がりは、メモリ市況にも表れています。データセンター、スマホ、パソコン、自動車、産業機械など様々な分野でDRAM需要が増加しており、DRAM需給が逼迫しています。これに加えて、旧世代DRAMを生産する一部の台湾メーカーが、従来から生産してきた汎用品よりもTSMC向け特注品を優先して生産するようになったため、2月から汎用DRAMの市況上昇が顕著になりました。昨年11月下旬に1.29~1.66ドルだった4ギガビットDRAMのスポット価格は、直近では2.59~2.78ドルへ67%増から2倍に跳ね上がっています(グラフ5)。

 この結果、DRAM大口価格も上昇に転じ始めています。現在は、DRAMスポット価格に対して大口価格が2.10~2.30ドルと下回っており、このままスポット価格の上昇が続く場合は、大口取引が有利になるため、大口価格がスポットに引きずられて上昇すると思われます。すでにDRAM大口価格は上昇し始めています(グラフ4)。

 スマホ向け、パソコン向けの高性能CPU(7ナノ、5ナノ)の大量生産が始まっているため、メインメモリ(DRAM)とストレージ(SSD、NAND型フラッシュメモリを使った記録媒体)も大容量化、高速化する方向です。そのため、DRAMとNANDの需給関係は良い方向へ向かうと思われます。このことを考えると、DRAMスポット市況は、波はあっても当面は大きな下落は考えにくいと思われます。

 一方、NANDの大口価格は、2月に入り小幅下落しました(グラフ3)。設備投資の増加で需給が軟化したもようですが、DRAM市況に引っ張られる形で今後緩やかに上昇する可能性があります。

 メモリ市場の需給に関連して、メモリ大手のマイクロン・テクノロジーは2021年8月期2Qの業績ガイダンスを上方修正しました(後述)。

グラフ3 NAND型フラッシュメモリの市況(2017年5月29日から)

単位:ドル、国内大口需要家渡し、TLC(注:2017年5月30日付で従来の多値品がTLCに変更された)、出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ4 DRAMの市況

単位:ドル、国内大口需要家渡し、4ギガビット(2018年6月26日までDDR3、それ以降はDDR4)、出所:日経産業新聞主要相場欄より楽天証券作成

グラフ5 DRAMのスポット市況

単位:ドル、小口渡し、現金、出所:日本経済新聞主要相場欄より楽天証券作成、注:2018年6月29日までは4ギガビットDDR3型、それ以降は同DDR4型

3.半導体設備投資も増加へ。

 このような半導体ブームの中で、大手半導体メーカーは大型投資を続けています。前述したように、TSMCの2021年12月期の設備投資計画は250~280億ドルです。2020年12月期の172.4億ドルと比べて45.0~62.4%増という大型投資です。半導体需要が先端半導体から汎用半導体まで増加していることを考えると、2022年、2023年のTSMCの設備投資も2021年並みかそれを上回る水準になると予想されます。

 サムスンも2020年12月期に総額32.9兆ウォン(約3兆円)の設備投資を行いました。メモリだけでなくTSMCを追撃するためにファウンドリ事業(半導体受託生産事業)の設備投資を活発に行ったと思われます。2021年はファウンドリ事業の増強とDRAM投資増加が予想されるため、半導体設備投資は更に増加が予想されます。

 今後動向が注目されるのは、インテルです。ロジック半導体で10ナノから先へ進出しているのはTSMC、サムスン、インテルの3社ですが、TSMCとサムスンが5ナノラインの量産を既に開始したのに対して、インテルは10ナノで止まっています。7ナノCPUの量産開始は2022年末から2023年初頭になる計画です。そのため、インテルはTSMCに5ナノ、3ナノの先端半導体の生産を委託するのではないかと言われています。ただし、10ナノCPUもパソコン向け、サーバー向けに需要が多いため、10ナノラインの増強は続くと思われます。

 汎用半導体(10ナノ台以前の微細化世代)の市場を見ると、中国最大のファウンドリであるSMICが昨年アメリカのエンティティリストに載りました。その結果、事実上西側世界からSMICに向けて最先端の半導体製造装置は輸出できなくなりました。SMICとしては事業の将来に大きな不安がでています。SMICは14ナノまでの量産に成功したとしており、10ナノから先へ進出する計画でした。

 ただし、アメリカのトランプ政権時代の対中国半導体政策は、10ナノから先への中国の進出は許さない、潰す、しかし10ナノ台以前の微細化世代については、関係ない、勝手にしろ、というものです。この政策がバイデン政権に代わってどう変化するかまだ分かりません。しかし、この政策によって、西側の半導体設備投資が大きく伸び、TSMCがアメリカに最先端の半導体工場を建設することを決めました。今年着工する計画です。このようにトランプ政権時代の半導体政策は大きな成果を上げたため、これが大きく変更される可能性は低いと思われます。

 この中で、中国のロジック半導体メーカーの間で苦境に陥ったSMICのシェアを奪う動きが活発になっています。その結果、中国では汎用半導体の設備投資ブームが起きています。これに対応して、例えば東京エレクトロンが古い機種を改めて生産して販売したり、中古品を販売して収益を上げています。

表1 大手半導体メーカーの設備投資

出所:各社会社資料、報道より楽天証券作成
注:1ウォン=0.09円、1ウォン=0.0009ドル。

4.5Gスマホ、パソコン、サーバー向けとも半導体需要は順調に増加中

1)5Gスマホの出荷が増加中

 先端半導体の需要も順調に拡大中です。

 5Gスマホが急速に伸びています。2020年9月15日以降、中国のファーウェイ向けに西側から半導体出荷ができなくなりました。その結果、ファーウェイのスマホシェアは急低下しましたが、その穴をアップルとシャオミが埋める形になり、ファーウェイが健在だった頃よりもスマートフォン市場は拡大しています。ガートナーの調査では、世界の5Gスマホ販売台数は2019年1,671万台、2020年2億1,326万台、2021年予想5億3,853万台と伸びる予想です。

 昨年10~11月にアップルはiPhone12シリーズを発売しました。上位機種(iPhone12Pro、ProMAX)中心に順調に売れています。ただし問題もあります。報道によればサイズの小さい「iPhone12mini」の売れ行きが想定を下回っているもようであり、売れない分だけ減産になるもようです。アップルの競争相手はこの点を突いてくると思われます。即ち、5ナノ(高級機の場合)または7ナノ(普及価格帯や廉価版の場合)の高速CPUを搭載し(ちなみに5Gスマホは7ナノか5ナノのいずれかのCPUを搭載します)、画面が大きく、上位機種、普及機種ともにiPhoneよりも価格を安くすれば売れるはずです。

 これに対してアップルも今年秋の新型iPhone、来年秋の3ナノCPU搭載の新型iPhoneで対抗すると思われます。5Gの普及と相まって、スマホ市場はメーカー間競争によって5Gスマホ中心に拡大が予想されます。

グラフ6 iPhone出荷台数

単位:万台、四半期ベース、出所:アップル、IDC。注:アップルは2018年7-9月期まで

2)5Gスマホ、パソコンの両方でアップルが台風の眼に

 パソコンの世界でもアップルが台風の眼となりそうです。アップルは2020年11月に最新鋭のパソコン用5ナノSoC(CPU、GPUと周辺半導体を一つのシリコン基板上に構築したもの)「M1」を搭載したMacPCを3機種発売しました(M1の生産はTSMCが行っている)。M1搭載パソコンは、ノートブック型の最低価格が10万4,800円とMacとしては低価格帯から投入しました。これが大変な反響を呼び、IDCの調べでは2020年10-12月期のアップル製パソコンの販売台数は前年比49.2%増と急伸しました。2020年暦年でも2,310万台(前年比29.1%増)と市場の成長率を上回る大きな伸びを示しています。

 アップルでは2022年11月までにMacPCの全機種にM1を搭載する予定です。おそらくその後、2022年中にM1の後継版、3ナノSoCを搭載したMacを発売する可能性があります。

 2020年10-12月期決算発表時のアップルの説明によれば、この時期のMac購入者の約半分が新規ユーザーだったそうです。WindowsとmacOSの間には「OSの壁」があったはずですが、この壁が以外に低かったのか(双方に同じアプリケーションソフトを入れておけばデータ互換が可能)、M1の魅力とコストパフォーマンスの良さが既存のMacユーザーのみならず、新規ユーザーを引き寄せたのか、おそらく両方の理由によると思われます。

 OSの市場シェアを見ると、2020年はChrome OSが伸びたため、macOSの伸びは小さいものに見えます。しかし、今後仮にMacが年率30~50%で伸びたときには3~5年でMacがトップシェアになる可能性があります。要するに、独自設計のCPU、GPUを使い、OSがWindowsともChrome OSでもないパソコンがシェアを急速に伸ばす可能性があるのです(ChromeBookはインテル系CPUを使います)。

 もし、Windowsの世界を守りたいならば、インテルは先端半導体の出荷を増やすしかありません。7ナノCPUの生産では出遅れたインテルですが、3ナノの戦いで負けるわけにいかないのです。AMDは5ナノCPU、GPUをTSMCの生産で2021年に投入する可能性はありますが、2021年に獲得できる数量は少量と思われます。サムスンと委託生産契約を結ぶ可能性があるという見方もありますが、この場合生産開始は2022年になりそうです。企業規模の問題もあります(AMDはインテルに比べ企業規模が小さいため、アップルには十分対抗できないと思われます)。このことを考えると、一部の調査会社や報道にあるように、インテルがTSMCの生産により、2021年後半にローエンドとミッドレンジの5ナノCPU、2022年後半にハイエンドの3ナノCPUを調達するというシナリオは、かなり可能性が高いものであると言えます。これが私がインテルに注目する理由です。

 ただし、アップルがパソコン市場で大きなシェアを取ることが出来ても、インテルが先端半導体はTSMC、普及価格帯のCPUは自社生産というベストミックスで再起したとしても、どちらに転んでもTSMCの生産、販売、利益と設備投資は当面は伸び続けると思われます。

グラフ7 Mac出荷台数

単位:万台、出所:アップル資料、IDCプレスリリースより楽天証券作成

表2 パソコン用OSの市場シェア

出所:iPhone Mania、元出所はGEEK WIRE、StatCounter。

5.アメリカ上場企業に注目したい

 今回注目したいのはアメリカ上場の半導体関連企業です。もともと半導体市場はグローバルな市場であり、半導体関連企業はアメリカ、日本、台湾、韓国、中国にあります。表3を見ると、日本が得意なのは半導体製造装置とシリコンウェハを中心とする半導体素材です。半導体デバイスメーカーは日本には少なく、アメリカ、台湾、韓国、欧州には数多くあります。半導体製造装置もアメリカと欧州に有力企業があります。ロジック半導体の設計に不可欠なEDA(ロジック半導体の設計用ソフトウェア)はアメリカのみにあります。

 そのため、半導体関連企業に幅広く投資して、今回の半導体ブームの中で投資成果を上げたいのであれば、日本株だけでなくアメリカ上場企業への投資を検討したほうがよいと思われます。

 実は、同じ半導体製造装置メーカーだけで日米上場企業の株価のパフォーマンス比較を行うと、平均パフォーマンスに大きな違いはありません(表4)。ただし日本の半導体製造装置メーカーは、株式市場で今回の半導体ブームが始まった2019年1月から直近高値まで11倍になったレーザーテックから、同時期に2.2倍に止まったSCREENホールディングスまでパフォーマンスにばらつきがあります。一方、アメリカ上場の半導体製造装置メーカーはおおむね似通ったパフォーマンスになっています。株価を相当意識した経営を行っているためと思われます。

 また、アメリカの株式市場には日本と異なる大きな違いがあります。アメリカ上場株は原則1株から買えるため、少額での投資が可能です。1銘柄に付き、1株数千円から数万円で買えるものが大半で、高くでも30~50万円です。

 これに対して日本は単元制度によって通常は100株単位での投資になります。数万円で買える優良企業は金融株など一部の業種に限られます。数万円で買える銘柄で、最も多いのが将来性の不確かな小型株と業績不振企業です。優良株、成長株の大半が数十万円から数百万円用意しなければ投資できません。表5は私がカバーしている半導体製造装置株と、半導体、ITその他のテクノロジー関連株について最低いくらで投資できるのかを示したものですが、日本株では、アナリストが前向きに評価している株を買っていくとすぐに1,000万円以上になります。これでは最初から真剣勝負になりがちで、失敗したときのダメージも大きくなります。日本株では普通のサラリーマンが買える銘柄の数が少なく、余裕のない運用になる可能性があります。

 ところが、アメリカでは100万円以下で重要銘柄のポートフォリオを構築することができます。投資してみたい銘柄群に少額から投資を始めて、値動きを見ながら投資額を増やしていく、柔軟な運用が可能です。下げ相場の場合でも、各銘柄について数株ずつ持てば、1株ずつ売って様子を見ることもできます。また、アメリカ経済は成長力が強く、様々な成長株、テクノロジー株があります。まさに成長株、テクノロジー株の宝庫です。

 アメリカ上場半導体関連企業の注目銘柄と今後6~12カ月の目標株価は以下の通りです。

TSMC(TSM、NY ADR)            170ドル
インテル(INTC、NASDAQ)          80ドル
マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ) 110ドル→130ドル
AMD(AMD、NASDAQ)          100ドル
エヌビディア(NVDA、NASDAQ)       640ドル
アプライドマテリアルズ(AMAT、NASDAQ)  150ドル
ASMLホールディング(ASML、NASDAQ)    750ドル
KLA(KLAC、NASDAQ)          370ドル
シノプシス(SNPS、NASDAQ)          310ドル

 このうち、マイクロン・テクノロジーは会社側が業績ガイダンスの上方修正を行ったため、これについてレポートします。KLAは新規カバレッジのレポートを載せます。これ以外の銘柄については業績表を示します。

表3 日本と世界の半導体関連企業(主要企業のみ)

出所:楽天証券作成
注:シルトロニックはフランクフルト中心に欧州市場に上場。

表4 日本株とアメリカ株のパフォーマンスを比較してみた

単位:円、ドル

表5 株式投資に最低でいくらかかるのか

単位:万円
注:2021年3月11日終値で計算。1ドル=108円で換算。端数は切り上げ。手数料は考慮せず。

6.注目銘柄

マイクロン・テクノロジー

1.マイクロン・テクノロジーは2021年8月期2Qガイダンスを上方修正した

 マイクロン・テクノロジーは2021年3月3日付けで、1月7日の2021年8月期1Q(2020年9-11月期)決算発表時に公表した2021年8月期2Q(2020年12月-2021年2月期)の業績ガイダンスを上方修正しました。それによれば、当初ガイダンスの売上高56~60億ドル(前年比16.7~25.1%増)、売上総利益率24.0~26.0%、完全希薄化EPS 0.34~0.48ドルは、売上高62~62.5億ドル(同29.2~30.3%増)、売上総利益率26.0~27.0%、完全希薄化EPS 0.51~0.56ドルになる見込みです(表6の2021年8月期2Q予想(今回)は会社側ガイダンスを元に当期純利益を計算したものです)。

 業績ガイダンス上方修正の主な要因は、会社側によれば、第1にDRAMの需要増加(数量増加)と平均単価(ASP)の上昇です。DRAM需要は会社側の予想よりもかなり強いもようです。NANDも需要増加が業績に寄与しています。また、DRAM平均単価の上昇は、年明け後に起きた大口価格の小幅上昇と品種構成の改善が寄与していると思われます。

 DRAM需要をけん引している分野は、スマートフォン向け、クラウドサービス向け(データセンター向け)、ノートPC向け、グラフィック向け(映像処理向け)、自動車向け、産業向けなどです。企業向け(企業向けサーバー用DRAM)はこれまで不振でしたが、今後は緩やかに改善すると思われます。

表6 マイクロン・テクノロジーの業績

株価(NASDAQ) 89.31ドル(2021年3月11日)
時価総額 99,581百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 1,115百万株
単位:100万ドル、%
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前。 

2.2021年8月期、2022年8月期の楽天証券業績予想を上方修正する

 会社側によればDRAMの需給関係が予想以上にタイトで、在庫水準も低下し始めているもようです。そのため、今3QはDRAM市況の更なる上昇が期待できそうです。

 また、DRAMだけでなく(DRAMでは同業他社と同じく微細化を進めた先端DRAMに注力しています)、NANDにも注力しています。NANDでは最先端の176層を業界に先駆けて生産しています。

 今回の業績ガイダンス上方修正をベースに、楽天証券では2021年8月期、2022年8月期業績予想を上方修正します。2021年8月期は前回の売上高250億ドル、営業利益37億ドルを、売上高260億ドル(前年比21.3%増)、営業利益42億ドル(同39.9%増)に、2022年8月期は前回の売上高310億ドル、営業利益60億ドルを、売上高330億ドル(同26.9%増)、営業利益70億ドル(同66.7%増)に上方修正します。2022年8月期はDRAM市況上昇と数量増加が重なることで好業績が予想されます。

3.今後6~12カ月間の目標株価を110ドルから130ドルに引き上げる

 今後6~12カ月間の目標株価を、前回の110ドルから130ドルへ引き上げます。楽天証券の2022年8月期予想EPS 5.61ドルに、DRAM市況の上昇と数量増加が重なり好業績が期待できることを見込んで、想定PER 20~25倍を当てはめました。引き続き投資妙味を感じます。

KLA

1.半導体検査装置の大手。量産ライン用ウェハ欠陥検査装置で市場を独占。

 KLA(ティッカーシンボルはKLAC、NASDAQ上場)は、半導体検査装置の大手です。特に重要なのが半導体量産ライン向けシリコンウェハ欠陥検査装置であり、KLAが市場シェア100%を得ています。半導体メーカーの量産ラインとシリコンウェハメーカーの量産ラインで必ず使う検査装置です。

 次に重要なのは、パターニング装置です。シリコンウェハ上に回路を描画する使う各種の検査装置とシミュレーション用ソフトウェアを揃えています。

 この他、特殊半導体プロセス(真空装置、エッチングプロセスツールなど。MEMSデバイス向けなど)、プリント配線基板、ディスプレイ、電子部品用の各種検査装置を生産、販売しています。

2.業績順調

 KLAの2021年6月期2Q(2020年10-12月期)は16億5,100万ドル(前年比9.4%増)、営業利益5億7,000万ドル(同23.1%増)となりました。

 ウェハ検査装置が順調に伸びており、今2Q売上高は6億8,700万ドル(同13.4%増)となりました。2020年6月期に比べ伸びは鈍化していますが、二ケタ成長が続いています。

 TSMCに代表されるようにロジック半導体の大型設備投資が始まっていますが、量産ライン構築の際にKLAのウェハ欠陥検査装置が必ず必要になります。また、生産能力の逐次増強が続いている最先端半導体向けの高純度シリコンウェハの量産ラインでも高精度のウェハ欠陥検査装置が必要になります。シリコンウェハメーカーによると、微細化が進むにつれてウェハ欠陥検査装置は値上げされているもようなので、採算は良くなっていると思われます。

 またパターニング、MEMS(微小電気機械、センサなどに使われる)製造などに使われる特殊半導体プロセスも堅調でした。サービスは製品売上高の増加に伴って増加しました。

表7 KLAの業績

株価 296.36ドル(2021年3月11日)
時価総額 45,720百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 154百万株
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

表8 KLA:主要製品売上高(四半期)

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

表9 KLA:主要製品売上高

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

3.2021年6月期、2022年6月期も業績順調が予想される。

 会社側は、今3Qの業績ガイダンスを、売上高16.65~18.15億ドル(前年比16.9~27.5%増)、当期純利益4.62~5.67億ドル(同5.9~7.3倍)としています。引き続きウェハ欠陥検査装置が伸びると予想されます。

 楽天証券では、2021年6月期2Qまでの実績と、半導体メーカー、シリコンウェハメーカーの設備投資動向から、2021年6月期を売上高69億ドル(同18.8%増)、営業利益24億ドル(同36.4%増)、2022年6月期を売上高80億ドル(同15.9%増)、営業利益29億ドル(同20.8%増)と予想します。

4.今後6~12カ月間の目標株価を370ドルとする。

 今後6~12カ月間の目標株価を370ドルとします。2022年6月期の楽天証券予想EPS 16.21ドルに成長性を考慮して想定PER20~25倍を当てはめました。中長期で投資妙味を感じます。

<主要半導体関連企業の業績表>

表10 TSMCの業績

株価 609.00台湾ドル(2021年3月11日)
株価(NYSE ADR)   120.58米ドル(2021年3月11日)
時価総額 15,791,370百万台湾ドル(2021年3月11日)
発行済株数 25,930百万株
単位:百万台湾ドル(1台湾ドル=3.71円、0.035ドル)、台湾ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化後。
注3:TSMCは台湾市場、ニューヨーク市場に株式を上場している(ニューヨーク市場はADR)。ここでは台湾市場の株価によってPERと時価総額を計算した。

表11 インテルの業績

株価 63.31ドル(2021年3月11日)
時価総額 259,191百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 4,094百万株    
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

表12 アドバンスド・マイクロ・デバイシズの業績

株価 81.23ドル(2021年3月11日)
時価総額 97,882百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 1,205百万株
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

表13 エヌビディアの業績

株価 519.74ドル(2021年3月11日)
時価総額 321,719百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 619百万株
単位:百万ドル、%、倍    
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

表14 アプライド マテリアルズの業績

株価(NASDAQ) 117.19ドル(2021年3月11日)
時価総額 107,229百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 915百万株
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

表15 ASMLホールディングの業績

株価(アムステルダム) 456.90ユーロ(2021年3月11日)
株価(NASDAQ) 544.40米ドル(2021年3月11日)
時価総額 190,756百万ユーロ(2021年3月11日)
発行済株数 417.5百万株 単位:百万ユーロ、ユーロ、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前。
注3:ASMLホールディングはアムステルダム、NASDAQに上場しているが、ここではアムステルダム市場の株価でPERと時価総額を計算した。

表16 シノプシスの業績

株価(NASDAQ) 234.26ドル(2021年3月11日)
時価総額 35,724百万ドル(2021年3月11日)
発行済株数 152.498百万株
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済株数は完全希薄化前(Basic)。

本レポートに掲載した銘柄:TSMC(TSM、台湾、NY ADR)インテル(INTC、NASDAQ)マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)アドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD、NASDAQ)エヌビディア(NVDA、NASDAQ)アプライド マテリアルズ(AMAT、NASDAQ)ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)KLA(KLAC、NASDAQ)シノプシス(SNPS、NASDAQ)