ザックリ下落したナスダック

 2月下旬から3月前半にかけてナスダック総合株価指数がザックリと調整しました。その結果、普段なかなか安く買うことができない元気の良い銘柄が安くなっています。

 そこで今回はそのような企業の中から、直近の決算がよかった銘柄を5社ピックアップしたいと思います。

決算がいい元気なナスダック銘柄1:アファーム

 アファーム(AFRM)は元ペイパル幹部のマックス・レヴチンにより2012年に設立された無担保消費者金融業者です。

 消費者がエクササイズバイクなどの高価な商品を購入するとき、割賦で購入することを可能にします。この借り入れはクレジットカード残高に算入されないため、アファームを利用することでクレジットスコアが悪化することはありません。

 同社のアプリは若者たちの間でたいへん人気となっており、ブランドのイメージがよいのです。

 アファームの12月期決算はEPS(1株あたり利益)が予想▲76セントに対し▲45セント、売上高が予想1.89億ドルに対し2.04億ドル、売上高成長率は前年同期比+56.9%でした。

 トータル・プラットフォーム・ポートフォリオは37億ドル(前年同期は22億ドル)でした。

 昨年2020年の夏に与信の基準を厳格化したので焦付きは歴史的に低い水準に下がりました。貸倒引当金比率は6.9%(前年同期は8.5%)でした。

 今後はもう少し積極的に貸し出し、成長を取りにいく戦略に出る考えです。

 GMV(グロス・マーチャンツ・ボリューム)は21億ドル、前年同期比は+55%でした。GMVに占める売上高比率は9.8%(前年同期は9.7%)でした。

 トランザクション・コストは1.14億ドル(前年同期は9,270万ドル)でした。GMVに占めるトランザクション・コスト比率は5.5%(前年同期は6.9%)でした。

 営業マージンは▲15.5%、修正営業マージンは▲0.9%でした。

 アクティブ顧客数は450万人、前年同期比+52%でした。

 顧客あたりトランザクション数は2.2回でした。前年同期比+7%でした。

 第3四半期の売上高は予想1.89億ドルに対し、新ガイダンス1.85億~1.95億ドルが提示されました。GMVは18億~18.5億ドルを見込んでいます。

 2021年の売上高は予想7.47億ドルに対し新ガイダンス7.6億~7.8億ドルが提示されました。GMVは72.5億~73.5億ドルを見込んでいます。

 アファームの成功を見て、メガバンクなどの伝統的な貸し手もクレカ・ユーザーに対して積極的に割賦の利用を奨励しはじめています。その意味では一見すると競争は激化しているように見えます。

 しかし、消費者は銀行からの割賦の勧誘に応じることは消極的です。

 さらにマーチャンツのプロモーションとの連携プレイという面においてアファームの方がはるかに周到にマーチャンツと事前に打ち合わせし、消費者にとってお買い得感のある提案ができていると思います。

決算がいい元気なナスダック銘柄2:デジタル・タービン

 デジタル・タービン(APPS)は、消費者がアンドロイドOSを搭載したスマホを購入し、初めて起動した時、そのデバイスが勝手に数個のアプリをインストールするソフトウエアを提供しています。

 大部分の消費者にとり、プリ・インストールされたアプリがスマホの画面上にあったほうが便利です。なぜなら自分の使いたいアプリをいちいち探してインストールする手間が面倒だからです。したがって、アプリ自動インストール・ソフトウエアは消費者にとってもメリットがあるのです。

 デジタル・タービンはベライゾン、AT&T、シングテル、ジオ、グローブなどの世界のキャリアーと提携し、彼らが消費者に使ってほしいアプリをプッシュします。

 デジタル・タービンの12月期決算はEPSが予想18セントに対し21セント、売上高が予想7,586万ドルに対し8,859万ドル、売上高成長率は前年同期比+146.0%でした。

 デバイスあたり売上高は前年同期比+25%でした。特に海外市場での伸びが著しく、サムスン、アメリカ・モバイル、シャオミなどのパートナー経由の売上高の伸びが目立ちました。

 2021年のEPSは予想63セントに対し新ガイダンス67セント、売上高予想2.8億ドルに対し新ガイダンス2.98億~3.0億ドルが提示されました。

決算がいい元気なナスダック銘柄3:トゥイリオ

 トゥイリオ(TWLO)はソフトウエア・デベロッパーがメールや電話などを通じて自動的にカスタマーにコンタクトするためのソリューションを、クラウドを通じて提供している企業です。

 一例としてフライトが遅れた場合、航空会社が「あなたの乗る便が悪天候で遅れています」というようなメールを自動的に送信することを可能にしています。

 同社の第4四半期決算はEPSが予想▲7セントに対し4セント、売上高が予想4.55億ドルに対し5.48億ドル、売上高成長率は前年同期比+65.5%でした。

 ダラー・ベースト・ネット・エクスパンション率は139%(前年同期は125%)でした。前期は137%でした。

 トップ10顧客が総売上高に占める割合は13%(前年同期は14%)でした。

 海外売上比率は27%でした。

 年度末の顧客数は22.1万口座(前年同期は17.9万口座)でした。

 第1四半期のEPSは予想▲2セントに対し新ガイダンス▲12セントから▲9セント、売上高予想4.87億ドルに対し新ガイダンス5.26億~5.36億ドルが提示されました。

 同社の今後の成長余地としては、いままでの一方通行のメッセージングではなくカスタマーからの質問やフィードバックにAI(人工知能)が応えるという双方向コミュニケーションです。これはいまだ端緒についたばかりですが、成長余地が大きいです。

決算がいい元気なナスダック銘柄4:トレードデスク

 トレードデスク(TTD)は、ウェブにデジタル広告を出そうとする人が、セルフ・サービスで自分の予算に合った広告の出稿を可能にするクラウド・ソリューションを提供している企業です。

 同社のサービスを通じて、ディスプレイ広告、ビデオ広告、オーディオ広告、ソーシャルメディアでのキャンペーンなどが行えます。

 トレードデスクの第4四半期決算はEPSが予想1.88ドルに対し3.71ドル、売上高が予想2.92億ドルに対し3.2億ドル、売上高成長率は前年同期比+48.2%でした。

 純利益は1.52億ドル(前年同期は5,090万ドル)でした。

 ノンGAAP純利益は1.85億ドル(前年同期は7,160万ドル)でした。

 第1四半期の売上高は予想2.09億ドルに対し新ガイダンス2.14億~2.17億ドルが提示されました。

決算がいい元気なナスダック銘柄5:ロク

 ロク(ROKU)は消費者がケーブルテレビの契約を解約し、茶の間のテレビでインターネットのストリーミングを楽しむ際、それを可能にするソフトウエアならびにハードウエアを提供している会社です。

 同社のサービスは月極め契約をする必要はありません。その代わり「ロク・チャンネル」では広告が表示されます。

 これまでケーブルテレビに広告を出していたブランドは、消費者がケーブルテレビをどんどん解約しているので困っていました。ロクはそんな広告主に新しいキャンペーンの場を提供しているわけです。

 同社の第4四半期決算はEPSが予想▲3セントに対し49セント、売上高が予想6.17億ドルに対し6.50億ドル、売上高成長率は前年同期比+58.0%でした。

 アクティブ口座数は前年同期比+39%の5,120万口座でした。

 ストリーミング時間は前年同期比+55%の170億時間でした。

 ARPU(1契約あたり月間平均収入)は前年同期比+24%の28.76ドルでした。

 プラットフォーム売上高は前年同期比+81%の4.71億ドルでした。

 プレーヤー売上高は前年同期比+18%の1.79億ドルでした。

 プラットフォーム粗利益は前年同期比+85%の3億ドルでした。

 プレーヤー粗利益は460万ドルでした。

 プラットフォーム・グロスマージンは63.8%(前年同期は62.5%)でした。

 プレーヤー・グロスマージンは2.6%(前年同期は▲0.5%)でした。

 修正EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は前年同期比+650%の1.14億ドルでした。修正EBITDAマージンは17.5%(前年同期は3.7%)でした。

 第1四半期の売上高は予想4.6億ドルに対し、新ガイダンス4.85億ドルが提示されました。