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強気と弱気が対立する日本株相場。それぞれの見方を確認

 2月15日、日経平均株価は大引けにかけて一段高となり、30年6カ月ぶりに3万円の大台を回復しました。そしてそこから2月22日までの6営業日、大台をキープし続けました。

 2月24日には484円33銭安(2万9,671円70銭)と3万円を割り込んだものの、翌2月25日は496円57銭高(3万168円27銭)と再び大台を回復し「このまま3万円台を維持しそうだ」との気運が高まりました。

 しかし、2月26日に1,202円26銭安(2万8,966円01銭)と急落、一転して不安感が台頭し、その後も反発・伸び悩み・反落を繰り返す目まぐるしい展開が続いています。

 先行きに対する見方は強気と弱気の両方がせめぎ合う格好です。以下、おおまかに両方の見方をまとめておきます。

【強気】

  • 企業業績の(想定以上の)底堅さを勘案すると相場が崩れるとは思えない
  • 1,202円安といっても、「下落率」でみると歴史的下落とまでは言えない
  • そもそも相場というものはアップダウンをするもので違和感はない
  • 日本銀行のETF(上場投資信託)買いが継続しており下支え要因になっている

【弱気】

  • コロナ禍での株高には違和感がある。「バブル相場」であり早晩崩壊する
  • 米金利上昇によって日本株のみならず世界の株が頭打ちになる
  • 菅政権の支持率が停滞しており、政治も株価の懸念になっている
  • バイデン政権下でも米中摩擦は続く公算

 いずれも決定打に欠ける感じがします。現状は「強弱感が対立」という、相場解説でよく使われる用語がしっくりとくるようです。しばらくは先行きを読みづらい時期が続くかもしれません。

緊急事態宣言解除を想定し「外食株」の業績回復が期待されている

 その中で注目されることがあります。一つは首都圏1都3県の緊急事態宣言です。延長されたものの、感染拡大が続いているわけではありません。

 日々の新規感染者数は低位を維持しており、2月17日からはコロナワクチンの先行接種も始まっています。目立った副反応も報告されていないことから、ワクチンへの信頼度は高いものと思われ、今回の延長で「打ち止め感」が出る可能性があります。

 そうなると、緊急事態宣言下で営業時間短縮が続いていた「外食株」への期待が高まります。外食株の動き、とくに夜間の売り上げが大きな割合を占める銘柄のここまでの動きを確認しておきましょう。

コロワイド(7616・東証1部)

 居酒屋「手作り居酒屋 甘太郎」などを展開。傘下に「アトム(7412・東証2部)」や「牛角」、「かっぱ寿司」、「大戸屋」の運営会社を擁しています。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

鳥貴族ホールディングス(3193・東証1部)

 焼き鳥店「鳥貴族」の単一ブランドで東名阪を中心に展開しています。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

串カツ田中ホールディングス(3547・東証1部)

「串カツ田中」を直営とFCで関東中心に展開しています。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ハブ(3030・東証1部)

 首都圏中心に英国風パブ「HUB」、ウイスキー主体の「82」を展開しています。

・6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 足元の上昇はグロース株を上回るほどです。株価の動きからは緊急事態宣言解除に向けて業績回復が期待されていると見ることができます。

東京五輪に向けてインバウンド消費関連株が注目される可能性も

 さらにその先を見通すと、7月23日開幕予定の東京五輪に向けた動きが注目されます。

 3月3日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の橋本聖子会長、IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長、IPC(国際パラリンピック委員会)のパーソンズ会長、東京都の小池百合子知事、丸川珠代五輪相の5者によるテレビ会議が開催されました。

 外国人観客を入国させるかどうかや観客数上限をいつまでに決めるかのスケジュールなどについて確認され、結論を3月中に出すということです。

 この会談は当初、東京都の小池知事、組織委員会の森喜朗前会長、五輪担当大臣だった橋本聖子氏、それにIOCのバッハ会長の4者で2月17日に開催される予定でしたが、森前会長の問題発言から辞任に至る一連の混乱を受けて延期となっていたものです。

 ここから大きく東京五輪に向けた動きが急になり、外国人観客(観光客)受け入れの方向に傾けば、にわかに「インバウンド(外国人の訪日)消費関連株」が注目される可能性もあります。

 現段階では「期待」の域を出ないものの、外食関連株の動きを見てもわかるように、株価は物事を先取りする傾向が強いものです。これまで積極的な物色の外に置かれていた銘柄もあることから、ともすれば…という見方につながります。

「インバウンド消費関連株」とされるものの中から5銘柄を参考として取り上げておきます。

インバウンド消費関連・参考銘柄

コード 銘柄名 株価(円)
2729 JALUX 1,685
2222 寿スピリッツ 7,620
4922 コーセー 17,600
6952 カシオ計算機 2,084
9616 共立メンテナンス 3,905
※株価データは2021年3月3日終値ベース

JALUX(2729・東証1部)

 空港内売店の運営や航空機部品の販売、通販事業などを手掛けています。航空便減便の悪影響が強い企業のひとつです。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

寿スピリッツ(2222・東証1部)

 菓子大手で傘下の地域限定菓子製販会社を統括しています。外国人の土産物需要回復が期待されます。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コーセー(4922・東証1部)

 化粧品大手企業。専門店やデパートでの対面販売が主体ですが、ドラッグストアやコンビニなどにも拡大しています。外国人にも人気のブランドです。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

カシオ計算機(6952・東証1部)

 時計を軸とした精密機器大手企業です。巣ごもり消費で電子楽器の需要が増えました。国内外で人気の腕時計ブランド「G-SHOCK」を擁しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

共立メンテナンス(9616・東証1部)

 寮、ホテル事業が2本柱の企業です。「ドーミーイン」の名でビジネスホテルを大都市・観光地を中心に展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

著者によるこの記事の解説音声はこちら(soundcloudサイト/12分46秒)

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